15.休憩…不安。
洞窟を見てまわった。
最初に入ったほぼ四角形の空間には出入り口が3か所。
1つは鳥のいた空間に続く通路へ。
もう1つは最初の洞窟とほぼ同じぐらいの空間に続く、通路へとつながっていた。
最後に外への出入り口。
新しく見つけた空間も、ほぼ四角形で出入り口は2か所。
今度は通路はなく、出入り口からすぐに次の空間に。
その空間には出入り口は1つだけ。
洞窟から外につながる出入口は1か所。
防犯面ではちょっと安心した。
しかもドローン千里眼で確認したが、俺のいる場所は岩山の頂点に近い。
襲うなら岩山を、駆け上がらなければならない。
…俺もこの岩山を駆け上がったんだよな。
ん? 防犯面ちょっと心配か?
まぁ洞窟内の入り口は1つだから大丈夫だろう。
鳥のいた洞窟の一番奥の空間に戻って、岩に座る。
体はなんだか力がみなぎって、疲れを感じない。
だが、精神的にはかなり疲れた。
怒涛の1日過ぎるだろう。
何時だろう。
わからん。
とりあえず…寝られる場所を手に入れた。
次は。
……
ダメだ。
……
「はぁ〜」
今まで安全な日本にいたのだから…
いろいろな不安が頭をよぎる。
この世界で目が覚めてから、いろいろな問題を全て放置して、目の前のことだけに意識を向けてきた。
俺の性格上、立ち止まると、再び歩き出せるか分からないからな。
安全な場所だけは確保しないと。
体がかすかに震えている。
ここまでを思い返して、怖いものは怖いって。
考えがまとまらない。
どうしたらいい?
どうしよう。
……
帰りたいな〜
帰りたいね〜
……
かえりたい。
ふっと意識が引き戻される。
太ももに感じる温かさと重さ。
下を向くと最初に出会ったオオカミ。
気持ちよさそうに目を閉じている。
頭をなでると…喉がグルグルと鳴っている。
「ふっ…お前、野生だろう?」
俺の言葉にちらっと上目遣い。
可愛い、おぬしやるな〜。
「仕方ないよな、考えても。慌てても。悲観しても」
気持が落ち着いた。
太ももに頭をのせている奴のおかげだな。
癒しか…随分凶暴な顔の癒しだな。
15話達成!




