144.この世界とは…俺
コアに鼻先でつつかれる。
体が大きく揺れるから、やめて。
コアのツンツンってドンって感じになるから。
急に声を出して心配したのか?
もしかして神様たちの声が聞こえない?
『すまない、地球の者。少しこの世界を調べてからもう一度話がしたい』
「わかりました、家に戻っています」
『家?』
「えぇ、森の中で仲間と生活をしています」
『そうか、すまないな』
『あの…』
見習いの1人が神様の話の邪魔をしているが大丈夫か?
空気を読めよ…俺は読まないが。
「…何か?」
『なんで生きて…』
「は?」
『ば、馬鹿!』
…よし、聞かなかったことにしよう。
聞きたい気もするが、ものすごく疲れる答えしか返ってこない気がする。
あ、これは聞いとこう。
「神様、1つお聞きしたいことが」
『なんじゃ?』
「どうして神様たちの声が聞こえるのか不思議で」
『ふむ、こやつらが作った何かに触れてはいないか?』
「触れて?」
手の中の物を見る。
壊した壁の欠片をしっかり握りこんでいる。
『あったかの?』
「はい。神獣を閉じ込めていたと思われる壁の欠片が、ありがとうございます」
今一番気になることも分かったし、帰ろう。
コア、家に帰ろう。
何だかとても疲れてしまった。
……
あ~コアの背中って癒される。
ゆっくり走ってくれているので、風が気持ちいい。
帰りもコアの背中で楽ちんです。
2日かかって帰ってきた我が家。
家が見えたらほっとした。
あ~農業隊が種まきしてる。
もうそんな季節か。
…しまったマシュマロの地下に雪!
今からでも間に合うかな…。
コアから降りてとりあえず雪!
・・・え?
遠くから飛んでくる姿が見える。
あれは龍だよな。
うん、間違いなく龍だ。
巨大化しているけど、なんで!
あ、そういえば神獣の力を閉じ込めて利用って…。
神獣の力が戻ってきたのか?
だから成長を?
…10mぐらいあるよな。
巨大な姿で畑を気にして慎重に降りてくる姿って…面白い。
マシュマロだ。
雪がないけど…大丈夫のようだ。
飛びトカゲ…以前と同じようにすり寄ると転げるから!
君たち成長しているから!
加減して加減!
農業隊、子アリ、ちびアリ、子蜘蛛、ちび蜘蛛。
種まき、ありがとう。
畑のアメーバも。
ただいま、心配かけてごめんよ。
子供達も走って家から出て来てくれた。
懐いてくれたな~。
さて、バーベキューでもしようか。
…龍達のサイズは自由自在なのか。
バーベキューの言葉で小さくなれるなら家に帰ってきた時に小さくなってほしいな。
カレン、止まり木に止まるときは火を消さないと、また止まり木が燃えるから!
一つ目さん、少しは俺にも仕事!
……
「待たせたの」
「どちら様で」
仙人がいる。
これぞまさしく仙人という雰囲気と風貌をした。
こんな知り合い、いないんだが。
あ、日本語だ。
「…神なのだが」
「…それはすみません」
とりあえず目の前の椅子に座ってもらう。
一つ目が果実水と果物のお皿を持って来てくれる。
何があったか知らないが、ずいぶんとお疲れのようです。
「そなたの事は確認が取れた」
「そうですか」
「すまなかった。勇者召喚の事、この世界に閉じ込めた事」
なるほど、俺は閉じ込められていたらしい。
…知らない事実って怖いな。
「見習いどもはこの森に落とせば…適応できずにそのな…」
「あ~わかりました」
つまり俺は、殺すつもりでこの森に落とされたと。
目撃者を消すって感じかな…神様見習いだよな?
そんな視線を向けてしまったらしい。
神様が大きなため息を付いた…ご苦労様です。
「この世界の事じゃが、あれらが勝手に作ってしまった世界でな」
「そんな簡単に世界は作れるので?」
「世界の実が創造主によって作られておる、それを盗んだのじゃ」
世界の実があれば世界を作れるのか。
簡単に盗めるのか?
それは怖いな。
「神様候補だけが入れる場所だ、盗まれるとは考えなかった」
神様候補が盗み。
ダメだろあの3人。
「この世界も順調に作り上げていたようだ、だが」
話が長い。
つまりなんだ?
順調に世界は作りあげてきたが神獣たちが神として祀られてムカついていたと。
そんな時にある国の王様が見習いたちを神様として祀ってくれた。
それに気分を良くして、力を籠めた【ませき】というものを渡したらしい。
…本物の馬鹿だな。
その状態でもしっかり見ておけばよかったが、
勇者召喚の方が、早く神様に格上げされるのではないかと考えて、召喚方法の研究に没頭。
その間、数百年はこの世界を放置。
勇者召喚に失敗して、いろいろな神様に怒られて、ペナルティとして神力を数年封じられると。
起死回生を考えている時にようやくこの世界の事を思い出して戻ってきた。
俺がいろいろやった後で。
あ~俺、やっちゃってるね。
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