132.真っ赤な仲間…まさかの食べ方!
マシュマロが戻ってきた。
…赤い毛糸玉を背負って…。
毛糸玉ではないな、仲間のトカゲだ。
えっとまた綺麗な色だな…これって成長したら真っ赤なトカゲになるのか?
ふわふわもマシュマロも色はそのまま引き継いで成長したよな。
そういえば地球のトカゲもカラフルだったな。
赤とか緑とか、確か真っ青もいたか、トカゲの世界は派手好きなのか?
で、赤い毛糸玉だが…なんだろう。
ものすごく不貞腐れているような気がするのだが。
何とも複雑な魔力が流れてくる。
お、ふわふわが来た。
視界にふわふわが映ると、隣を猛スピードで赤い球が駆け抜けた。
びっくりした!
駆け抜けたのは赤い毛糸玉でふわふわに突進したようだ。
魔法をぶつけることなく絡み合って広場を転がっている。
何と言うか、トカゲと毛糸玉では遊んでいるように見える。
が、危険には間違いないのでウサ、クウヒ、危ないからこっち!
リス達も危ないよ、前に巻き込まれて大変だっただろ。
…いや、あの時は反撃していたか。
あ、一つ目ありがとう。
ウサ、クウヒ、お茶が来たよ。
一つ目が作ったおやつもあるのか。
成功したのか、さすがだな。
砂糖と小麦と果汁と油で作ったケーキ。
試行錯誤を重ねて完成したケーキ。
それが机の上に山積み。
多くない?
大丈夫?
そう…あぁなるほど。
広場ではいまだに絡み合って喧嘩中もしくはハードなふれあい中。
ウッドデッキでは匂いにつられてマシュマロと飛びトカゲ、もちろんコア達、チャイ達、アイ達も。
お、親玉さんも匂いにつられて来たのか?
今日はナナフシたちの姿も少し見える。
ナナフシたちは食べないらしい、残念。
リス達はすでに自分達の分を確保してまとまっておやつタイム。
では、いただきます。
口に入れると優しい甘さとしっとりしたケーキの食感。
…あの材料でここまでのモノを作るとか、さすが一つ目。
目の前のハードなふれあい中を放置して寒い日のひと時。
あ、マシュマロには暑すぎたのか…ウッドデッキは結界で覆って温めているからな、ごめん。
結界の外でおやつを楽しむようだ。
飛びトカゲは問題なしと。
あ、ふれあい時間が終わったようだ。
怪我は…大丈夫と、よかった。
ふわふわがケーキに気が付いたようだ。
ケーキに向かって一目散に走って…飛んだな。
怒られるぞ、そのままケーキに突撃すると。
…一つ目に睨まれるトカゲ…シュールだ。
お、赤いふわふわも食べるか?
ウッドデッキの下まで来たが戸惑っているようだ。
お皿にのったケーキを赤いふわふわの前に置く。
マシュマロのように暖かいところが苦手な可能性もあるしな。
椅子に座りなおして見ていると…食べた。
あ~なるほど、そうか、手を見ていないはずだ。
…いや、おかしくないか?
カエルだろ、その食べ方って。
トカゲも舌を伸ばして食べるのか?
あれ?
トカゲが獲物を捕る画像などは見たことはないが…。
…どうやって飲むんだ?
果実水をコップに入れて置いてみる。
匂いを嗅いで舌でコップを包み口元へ…。
器用だな。
美味しかったらしい舌で舐めとっている。
…なんだろう。
知りたかったはずなのだが…この何ともやるせない感情。




