118.コアとチャイの子供2
-コアとチャイの間に生まれた子供視点-
森が変わった。
森の中を走る風が以前は少し不快なものも交じっていたが今は全くそれを感じない。
逆に優しく包み込むような魔力を感じる風になった。
龍さん達が教えてくれた。
世界樹が主様の魔力を多く取り入れたことで世界樹そのものが進化をした可能性があると。
今までにない事だから見守る必要があると。
大変な事のはずなのに龍さん達はどこか嬉しそうに世界樹を見つめて。
世界樹と一番かかわりの深かったのは龍さん達だと父様が言っていた。
だからこそ今の世界樹の生き生きした姿がうれしいのかもしれない。
世界樹の進化と同時に森を覆っていた魔眼の力が目に見えて減少してきた。
森に狩りに行くと魔眼の黒い力が消えている場所を見ることができる。
今までは主様の結界の外は真っ黒で不気味だった。
母様も父様もけして結界の外には出るなって。
アイさん達やシュリさんもとても苦しそうな顔をする。
とても嫌な事があったみたい。
シュリさんは嫌な事はあったがそれのおかげで主様と出会えたと言っていた。
だから嫌な事だけではないと。
人の王が森を支配するために魔眼を使って森を侵略していると教えてもらった。
魔眼が弱くなっているということは人の王に何かあったのかな。
そのまま消えてくれたら森の魔眼は全部消えるかな。
だったら消えてほしいな。
主様が大切にしている仲間。
俺達もその仲間に入っているのがうれしい。
その仲間を苦しめる者は全部いなくなって欲しいな。
仲間が苦しんでいたら主様が悲しむから。
父様にいったら優しく舐めてくれた。
うれしいな。
……
兄弟だけで森を走りまわる。
キラーボボを兄弟だけで捕まえる。
いつもは母様と父様が一緒、もしくはほかの種の大人が一緒。
でも、今日は兄弟だけ。
そして狙いは俺達が今、狩れる最大の敵、キラーボボ。
いつものように背中に安心感はない。
緊張している、けど大丈夫。
兄弟を信じる、俺の力も信じる。
ちょっとヒヤッとしたけど狩れた。
キラーボボだ。
うれしい。
兄弟みんなで大盛り上がり。
森の中ではだめだけど、興奮が抑えられない。
母様みたいに空中に浮かす魔法。
まだまだ俺だけでは不安定なので兄弟で力を合わせて。
ふ~、あとは帰るだけ。
「なぁ声が聞こえないか?」
兄弟の言葉に俺たち全員が耳を澄ませる。
ん、とくには…あ!
たしかに声だ、微かに声が聞こえる。
俺たちは声のもとを探るため身を隠しながら近づく。
どうやら声が聞こえたのは結界の外。
敵?罠?
父様は人は非道な事でもなんでもする、だから気を付けよと。
…罠の可能性があるのかな?
でも、この場所は森の中心部…。
声だけを聴くと今にも死にそうなほど弱い。
どうしようかと兄弟で顔を見合わせる。
声が小さくなった。
…死ぬのか?
ん~見てくると走り出す。
慌てて兄弟が全員で付いて来ようとするのを止める。
結界の外に出るのでまずは俺だけ。
何かあったら、もしくは帰って来なかったら母様と父様に。
叫びながら声の聞こえた方向へ。
声を頼りに隠れながら近づく。
いた!
周りを確認してほかに気配がないか探る。
まだ、魔眼の力が残っているので少し探りにくい。
魔眼に対応するのは初めての事で少し戸惑う、正直、魔眼の影響が怖い。
でも、今は主様が強力な結界を張ってくれている。
だから大丈夫!
恐怖にぐっと耐える。
目に見える者以外にほかにはいない事を確認できた。
そうとう強いモノだと隠れることもできるが…覚悟を決めて姿を見せる。
あ……えっと、どうしよう。
俺の姿を見た瞬間に死んだ?
…あれ?生きてる?
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うれしいと同時にビビってます。
これからもどうぞ気長によろしくお願いします。




