114.第5騎士団 団長2
-エンペラス国 第5騎士団 団長視点-
魔法陣の完成が目の前に迫る。
森に入れば攻撃されると報告があったが、それもない。
俺たちの強さを見て逃げ出したか?
つまらんな。
襲ってきたら遊んでやるのに。
魔獣がエサにしたゴミを襲おうとして我が団に返り討ちにあっている。
まぁ強いのだろうが俺たちの敵ではないな。
たしかに襲ってくるのは俺たちの国が放った魔獣かもしれないが問題にはならんだろう。
恐れる方がどうかしている、
…あのゴミはもう駄目だな。
エサにした奴隷が痙攣している。
もう少し役に立ちやがれ、ったく。
他のエサを用意させようと…、
森が光り出す。
とうとう攻撃か!
きやがれ、返り討ちだ。
「来るぞ、姿を見せたらやれ!ただし最後までとどめを刺さないようにな!」
何処からともなく笑い声が聞こえる。
さぁ姿を見せやがれ。
血祭りにしてやる。
光があふれだし周りの景色がぼやけだす。
視界が見えにくくなり苛立つ。
「隠れてないで、出てきやがれ!」
声に答えたわけではないだろうが、
森を焼く魔法陣の場所から魔導師達の悲鳴が聞こえる。
俺達ではなく魔導師を狙いやがったか。
させるか。
光の中、魔法陣が展開されている場所へと走る。
見えた魔法陣から異様な黒い光が出ているのが確認できる。
悲鳴をあげていた魔導師を探すと…燃えていた。
慌てて水魔法で火を止める…消えない!
部下も駆けつけ水魔法を何度も試すが全く効果がない。
「クソ!どうなっている!」
魔法陣からも火が上がり魔法陣に近い場所に居た部下にもその火が燃え広がる。
部下の叫び声が周りに響きわたる。
慌てて魔法陣から距離をとるが、まるで炎が生きているように周りにいる部下に襲いかかっている。
魔法陣から黒い光が空に向かって放たれる。
次の瞬間には炎は消え去り、静寂が訪れる。
魔導師も部下も燃えカスすら残さず完全に消えていた。
呆然としていると結界を破るための魔法陣の場所からも悲鳴が聞こえる。
最初と同様に魔導師だろう叫び声。
今度も同じかと部下に近づかないように指示を出す。
ある程度離れた場所で立ち止まると…。
「なんだ…これは」
魔導師と魔法陣を守る部下…だっただろう肉片があたりに散っている。
魔法陣は青く光り大地に吸収されるように消えていく。
それと同時にあたりに散った物も吸い込まれるように消えていった。
大量に流れた血、それすらも消えていく。
「……」
誰1人声を出すものはいない。
光は完全に消えて、光が表れる前の森に戻っている。
…まるで何事もなかったように。
団を立て直そうと声を出そうとした瞬間。
体が地面にたたきつけられる。
口から肺の空気が押し出され、何処か痛めたのか血も一緒に飛び散る。
全身にのしかかる恐ろしい怒りに満ちた魔力。
指一本動かすことができない。
微かに目を開くと目の前には副団長の姿。
だが、口から大量に血を吐いてその姿は生きているようには見えない。
叫び声すら出せないくるしさ。
ゆっくりと体が押しつぶされる。
呼吸もできず視界がかすれてくる。
体の中から骨の砕ける音が聞こえた、その音が耳の中に響き渡る。
大量の血が口から勝手にあふれる。
かすれる視界の中に小さい足が見える。
…意識が遠のく、何が起こったのだ…我々は王の…。
自業自得ってありますよね。
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