101.木、だよな…コアは一番。
気まずい。
非常に気まずい。
枯れた木を見る。
樹齢が恐ろしいほどの大木。
そんなおそらくナナフシたちの大切な木を枯らしてしまった。
…どうしようか。
ん?
枯れた木の根元に何かある?
近づくといきなり見ていた部分から光があふれる。
「っぅわ」
あ~目がちかちかする。
いきなりはやめてほしい。
目が落ち着いてきたのでもう一度見てみるが、何もない。
…なんなんだ?
周りを確認。
コア達には問題はないようだ。
子蜘蛛達も大丈夫。
リス達もびっくりしたようだが問題なし。
ナナフシたちは…ごめん、まったく分からない。
とりあえず大丈夫だろう、きっと。
ん?なんだ?
ズボンが何かに引っ掛かったか?
…えっと、木だな。
うん、木だよ。
根が6本で小型の木、地上で動いているけど、確かに木だ。
…木の魔物かな、これは敵?
違うかな、ものすごく友好的な雰囲気がダダ漏れだ。
ナナフシたちが木の魔物を見て固まっている。
ナナフシの前で手を振ってみるが…。
大丈夫だろうか。
それにしても木を枯らすわ、木の魔物をおびき寄せるわ、どうなってるんだ。
今日は厄日だろうか。
ん?
ごめん、別に無視したわけでは。
あれ、そういえばコア達や子蜘蛛達が静かだな。
周りを見るとなぜかみんな目を見開いて驚いているようだ。
何に?
俺は周りを見る。
変わっているのは木の魔物だけ。
?これが問題なのか?
特別、怖さもないんだが。
どうしようか。
……
枯れた木はどうしようもないのでナナフシに謝っておいた。
えらくびくびくしていたがどうしたんだ?
で、木の魔物だが…連れ帰ることになった。
…ズボンを離さないため仕方なく。
離そうとしたら、つかむ木の枝が増えた。
成長スピードを無視した不思議な光景。
ちょっと見入ってしまった。
なので一緒に家に。
新しい広場…はダメだ。
地下が大切。
ん~…この子、根を張るのかな。
普通に根っこ部分で歩いているんだけど。
まぁ何とかなるかな、なるなきっと。
ナナフシたちも一緒に来るの?
帰りの道にナナフシたちもいた。
まぁいいか。
問題は起こさないだろう、なんとなく。
……
家の隣にある湖の近くが気に入ったらしい。
それにしてもどうしてみんな同じ反応なんだろうか。
…木の魔物を見た瞬間に微動だにしなくなる。
つまり、固まる。
この子が何か特殊なのかもしれないな。
…木だよな。
動いている以外におかしな所はわからないのだが。
ちょっと不安になってくる。
コアに大丈夫かジェスチャー。
深く頷かれた。
大丈夫らしい、コアは最初から一緒にいるので信頼度が一番。
コアが大丈夫なら大丈夫って感じになっている。
負担が多くて申し訳ない。
すごいな、根っこが土の中に潜り込んでいく。
と言うか、ここに定住するのか?
特に問題は…ふわふわは大丈夫。
なら問題なし。
…もしかして周りの木もこうやって場所とかを移動して根付いたのだろうか。
異世界だ、あり得るかも。
木が自分たちでここがいい~って大移動か。
地球でいえばヌーみたいに。
…木の魔物を見る…移動…数が多くても可愛いのでは?
遠くからなら。




