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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
99/232

22話 1年夏休み2

「あっ、アイス売ってる!」

「へぇ。美味しそう」



 ゲームセンターを出るとアイスを販売している店を見つけた。最近暑くなってきたからか中々繁盛しているようだ。


「波留さんアイス食べよう!」

「いいよ」

「買い食い久々だなぁ〜」


 るんるんと今にもスキップしだしそうなテンションの秋田くんとアイス屋の列に並ぶ。何食べよう。


「秋田くんはあんまり買い食いしないの?」

「今はね。まず買い食いしようなんて考えなかった」

「なるほど。秋田くん何味にする?」

「俺は……この『まぜこぜ☆ミラクルアイス』にする」

「チャレンジャーだね」


 秋田くんが選んだのは虹色のアイスである。何入ってるのこれ。何を入れたらこんな色になるの。


「そういう波留さんは?」

「無難なチョコ」

「無難〜」


 無難の何が悪い。チョコ美味しいじゃないか。


 秋田くんと話しているうちに順番が来たので店員さんに頼む。品はすぐに出てきた。


「え……予想以上なんだけど」

「すごいね」



 秋田くんの手には禍々しい……いや、おどろおどろしい? アイスがある。本当にまぜこぜだ。これ何味なんだろう。


「秋田くん感想きかせて」

「食べる?」

「そんな勇気はない」


 店内の窓際の席が空いていたのでそこに座る。少し日差しが眩しいけれど、店内はクーラーがきいているので涼しい。買ったアイスを一口口に含んだ。


「あ、チョコんまい」


 クッキーが入ってるからサクサクした食感も楽しめるし。美味しい。やはり無難なのは良い。


「それ何味?」


 手に持ったアイスを一口食べた秋田くんに尋ねると彼は首を傾げた。


「なんかパチパチして、スーッとして、そのあとマンゴーみたいな味がして……あとバナナ?」

「美味しいの? それ」

「んー、まぁ。波留さんも食べてみなよ」

「じゃあ私のもどうぞ。チョコ」

「わーい」


 秋田くんにアイスをズイッと近づけると秋田くんはスプーンでそれを掬う。私も同じように秋田くんのアイスを少しもらった。すごく、毒々しい。


「チョコおいしいね」

「チョコ美味しいよね」


 いざ、覚悟を決めて掬ったそれ口に含む。






 口の中で凄く弾けた。





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