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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
91/232

16話 過去5




 長い年月をかけてやっと現実を受け入れた私には重すぎる設定である。現実は小説より奇なりとはよく言うが、これは予想外過ぎた。



 それからしばらく頭の片隅に「ゲームの中」という事実が住み着いた。前世であんな死に方をした私は面倒事、特に恋に関することは絶対に避けたかった。しかしここは乙女ゲームの世界。恋を中心に回る世界である。恋にまつわる面倒事だらけだ。泣きたい。



 だから乙女ゲームのキャラクターは全力で避けようとしたし、私が知っているストーリーに沿って進んでほしかった。そうすれば面倒事を避けられるよう、対策を練ることができる。私はゲームの主人公によくある聖人のように清らかな心なんて持っていないし、自分が大事である。だから、赤の他人が恋に纏わる問題を起こそうが構わないし、私の知らないところでやってくれと思ってた。あんなトラウマ二度とゴメンだ。あと普通に面倒事も嫌だ。


 幸い私はモブだったので、これは、彼らにかかわらなければある程度はマシだと思った。だから避けた。なのに向こうからやってきた。逃げたら追いかけられた。泣きたい。



 実際に関わると彼らはゲームの性格と少し違うようだった。まぁ小学生だからな。これから高校生になるまでに性格も変わってくるだろう。特に木野村。



 それから彼らとなんだかんだちょいちょい関わって、心当たりのある出来事にも巻き込まれていった。暫くすればここがゲームの世界だとかそういう考えは頭から抜けていった。彼らも私も今ここに生きていて、ここは現実。まぁ、それでも目立ちたくないし、面倒事は嫌なので彼らとはなるべくかかわらないようにした。




 そして6年生の冬、男に刺された。トラウマ復活である。ぐちゃぐちゃになった頭の中で考えたのは男を逃さないことだった。相当、私を殺した男を逃してしまったことを悔やんでいたようだ。他人の協力もあって捕まえられたが、あの男は許さない。あのあとまた死に際の夢を見るようになった。昔よりはマシになったが、それでも辛い。



 それでも何とかまた穏やかに過ごせるようになって、今に至る。

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