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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
高校生編
212/232

エイプリルフール2

 登校したら色んな人間に見られたし、私以外は誰も性別が変わってなかった。


「ほ、本当に波留さんなの?」

「うん。制服は兄のを借りた」


 教室で目の前に座る秋田くんとのんびり話す。他のクラスメイトは遠巻きだ。


「お兄さんそっくりだね」

「みたいだね」


 自分でもそう思う。

 兄の制服を着た自分を見たらもう完全に兄だった。兄より少し幼い気がするが。


「ひぇ、イケメンじゃん……むり……」

「何故距離を置く」


 ジリジリと後ずさる秋田くんと距離を詰めるが秋田くんはこちらを見ない。


「にしてもすごく見られる」

「そりゃあそうでしょ」


 まぁ昨日まで女子だったし、当たり前か。それにしても見られるな。あまり目立ちたくない。


「眼鏡でもかけるか」

「貸さないよ? 俺の本体」

「……予備とかないの?」

「ないよ。というかその顔に眼鏡属性追加しないで。性癖に突き刺さるだけだよ」

「……」


 確かに兄の眼鏡姿はなかなかよかったな。家でしか見れないからレアだし。

 取り敢えず眼鏡は諦め、少し離れたところにいる美野里ちゃんと早苗ちゃんに目をやる。


「こっちこないの?」

「本当に波留ちゃん……?」

「お兄さんじゃなく?」

「そうだよ」


 まだ疑われていたらしい。


「波留ちゃんがイケメンに」

「このクラスのイケメン率ェ……」


 なにやらブツブツ言う二人が少しずつ近づいてくる。小動物かな。

 その様子を見守り、手の届く範囲まで来た二人を見下ろす。ふと、美野里ちゃんの髪型が気になって手を伸ばした。


「いつもと違う髪飾り」

「えっ、あぁ。この間お店で見つけて……」

「似合ってるね、可愛い」


 褒めた瞬間距離を取られた。


「波留ちゃん、それはいけない!!」

「えっ」

「ひぇ……波留ちゃんがイケメンタラシに……」

「えっ」

「波留さん……」

「なにさ……」


 何故か早苗ちゃんたちからは距離を取られ、秋田くんからは呆れたような視線を向けられた。


「え、あれ、間切!?」

「男になってるね」

「格好良いですね」


 私が困惑していると仲良く三人で登校してきた辻村たちがこちらへやってきた。私は赤坂と同じくらいの身長らしい。辻村はそれよりも大きい。


「朝起きたらね。おはようございます」

「おはよう! はは、先輩そっくりだ!」

「前から似てるとは思ったけどここまでとは……」

「格好良いです」

「ありがとうございます」


 物珍しいのか私をジロジロみる三人。まぁ遠巻きにされるよりは良いか。

 三人に好き勝手させていると篠崎と槇原も登校してきた。


「間切先輩?」

「残念間切波留です。おはよう」

「間切って男だったっけ」

「女だよ」

「性転換?」

「朝起きたらこうなってた」

「男になっても無表情なのか」

「みたいだね」


 篠崎はさほど驚かずわたしに近寄ってくる。その後ろから槇原も顔を出した。


「ほんとだ、間切さんだ」

「おはよ」

「おはよう!」


 どうやら槇原もあまり驚いていないらしい。挨拶をして顔をのぞき込まれる。


「可愛い顔してるね」

「ありがと」

「今日一日そのまま?」

「たぶんね」


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