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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
高校生編
189/232

七話

 ぽかぽかと陽気の良い日の放課後、私は裏庭に足を運んでいた。今日は理事長いるだろうか。いるなら土いじりしたい。


「あれ、姉さん?」

「圭」


 のんびりと歩いていると圭が声をかけてきた。今日は生徒会もないのですぐ帰ると思っていたよ。


「姉さんどこいくの?」

「裏庭」

「僕も行くー。理事長いるかなぁ」

「あれ、圭も知ってるの?」

「たまに手伝うよ」

 兄弟そろって理事長手伝ってたのか。兄弟って似るものだな。


「姉さん高校生活どう?」

「あまり変わらず」



 そう、あまり変わらない。

 赤坂たちはたしかに話しかけてくるものの、その頻度はそこまで高くなく、周りに目をつけられるほどでもない。離や人目のないところでは前のように距離が近かったりするが、人目のあるところでは一定の距離が保たれている。多少の配慮はされているらしい。

 篠崎とは生徒会の関係で会話する機会が多いがそれは前からだ。菊野先生とも授業であうくらいで、なにか特別話しかけられたりすることはない。

 そして槙原。彼女とは席が前後なので話すが、人見知りをあまりしないらしい彼女はどんどん友好関係を広げていっている。確かに一部の人間は外部生を避けていたりするが、そうでない生徒も多い。上手くやっているようだ。


 そんなわけで私の生活は今の所特に問題はない。


「圭は?」

「僕も普通〜」

「平和が一番だね」

「そだね〜」


 ほわほわと笑う圭はとても可愛い。最近また背が伸びているけど、可愛い。


「あっ、理事長先生!」

「こんにちは」

「おや、今日は二人で来たのかい。こんにちは」

 裏庭では理事長がジャージ姿で花壇に土を入れているところだった。入れ替えるのかな。


「お手伝いします!」

「今日は何やるんですか?」

「土の入れ替えと、肥料かな。今回はなんの花にしようかねぇ」

「僕かぼちゃがいいです」

「いちごがいいです」

「きみたちね……」


 だめか。できたら食べたかったんだが。

 私達の言葉に困ったような笑顔を浮かべる理事長。さて、手伝うかな。

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