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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
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89話 バレンタイン


 学園祭も無事に終わり、気がつけば2月。



 今日はバレンタインデーだ。


「はい、波留ちゃんっ」

「ありがとう。美野里ちゃんもはい」

 美野里ちゃんとチョコレートを交換する。今年も高そうなチョコだ。


「波留ちゃん、私からも……」

「ありがとう。私からも、はい」

 早苗ちゃんとも交換して、そしてそれを仕舞いながら後ろを向く。後ろの席には秋田くんが座っていた。


「秋田くん、はい」

「やったー! ありがとう波留さん!」

 手渡したチョコを嬉しそうに掲げる秋田くん。そこまで喜ばれるとなんか嬉しい。


「おはよう」

「ん、おはよう篠崎くん。早速手を出して」

 登校してきた篠崎にそう催促すればなんの疑いもなく両手が差し出された。その上にチョコを乗せる。


「……」

「あれ、チョコ嫌いだっけ」


 キョトンとした表情のまま固まる篠崎に声をかける。たしか好き嫌いはないと言っていたはずだが。……あれ、この情報はゲームからだっけ? 


「いや、好きだけど……貰えると思ってなかったから」

「お世話になったし」


 同じ生徒会役員だし、と言えば納得した様子で篠崎は鞄にチョコをしまった。


「お返しは何がいい? やっぱ3倍返し?」

「なんでも。チョコでも、クッキーでも、肩たたき券でも」

「肩たたき券」

「最近肩こりが酷いんだ」

「整体いけよ……」

 まぁ生活に支障が出ているわけではないし。もっと酷くなったら行く。



 その後も仲良くしてもらった人にチョコを渡して、担任にも渡して、授業を受けて、気がつけば放課後になっていた。持ってきたチョコがだいぶ減ったので荷物が少しだけ軽くなった。



「毎年思うけど、この学校の生徒が配るチョコ、高そうだよな」

「それな」

「お前も含んでるからな!?」


 生徒会室への道を篠崎と二人で歩く。

 というか、私のは至って普通なチョコだ。見た目は高そうに見えるけど。実際はそこまででもない。

 篠崎はどうやらそこそこの数を貰ったらしく、鞄とは別の手提げにチョコが入っているのが見えた。


「モテモテだね」

「去年までは殆ど貰わなかったんだけどな。なんか今年は貰った」

「モテ期か」

「義理だろ。……なんか俺達に対する当たりも弱くなったし、それも関係してるんじゃないか?」


 俺達、とはきっと外部生のことなんだろう。確かに少し前までは嫌な感じがすると言っていた。当たりが弱くなったのは……取り巻きたちに何か変化があったんだろう。実際に聞いたりしたわけではないのでわからないが。赤坂たちが何かやったのかな。


 生徒会室の無駄に豪華な扉をあけて中に入る。



 山盛りのチョコの存在感がすごかった。

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