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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
150/232

71話


 3月半ば、私は秋田くんとカラオケに来ていた。


 特に歌うわけでもなく、二人して真顔で座っているだけだ。



 なんでこんな状況になっているかというと、つい先日また二人揃って離へと招かれたからだ。そして皆で人生ゲームをやった。そんな中、秋田くんは気がついてしまった。


「俺達……赤坂くんたちと凄く仲良くなってない……?」



 秋田くんのつぶやきを聞いた赤坂は満面の笑みを浮かべて。


「そうだなっ」


 と肯定してくれた。

 そんな状況に危機感を覚えたらしい秋田くんから緊急招集がかかったわけだ。


「俺達さ……平和に学校生活を送りたいって言ってたじゃん……」


 真顔のまま秋田くんが話し始める。そうだね。


「なんで高等部に上がったら問題の種になるであろう彼らと仲良くなってるんだろう……平和から遠ざかってない……?」

「人生ってうまく行かないよね」

「そだね……」

 ココアを飲みながら頭を抱える秋田くんを眺める。正直、逃げても追ってくるし、どうしようもないと思う。


「正直、絶交とまでは行かなくていいから、こう、モブらしい立ち位置に行きたい」

「……友人っていう立ち位置のモブだって居るはずだよ……」

「波留さんそれ俺の目を見ながら言って?」

「……」

 モブの定義はともかく、今の秋田くんは徐々に普通のモブから離れていっていることは確かなので、何も言えずに視線そらした。


 話していると頼んでいたポテトが届いたのでそれを食べながら話が再開される。


「あの3人とは話してて楽しいし、別に問題はないんだけど」

「取り巻きがなぁ」

 赤坂たちの取り巻きはとても主張が激しい。と、いうより、なにやら暴走気味な気がする。赤坂たちに他者……特に外部生を近づけないようにしているように見える。クラスで辻村が外部生と会話している姿も見たことがない。


 ちょっと、あれは行き過ぎている気がする。しかし私にはどうしようもない。この間離に行った時、赤坂たちもそれについてはどうにも思うところがある様だったのでその内何かしら手を打つだろう。


「取り敢えず来年度はいい感じに彼らの眼中からフェードアウトしていきたいと思うんだ」


 キリッとした顔で秋田くんがそう宣言した。まぁ、それができれば万々歳ではあるが。


「どうやって?」

「取り敢えずあの3人と別のクラスになる」

「運頼みすぎる気がするが」

「だって俺達にはどうしようもなくない!? 同じクラスになったら毎日顔を合わせちゃうし」

「まぁねぇ」



「3人とは別のクラスになりますように!」







 そして、桜舞う季節、張り出されたクラス分けを見て秋田くんが私に抱きついてきた。今年は3人とはクラスが離れている。



「神様ありがとう!」

 件の3人とはクラスが離れたからか、秋田くんは嬉しそうだ。

「篠崎くんは同じクラスだけどね」

「篠崎くんは取り巻きいないからギリギリセーフ!」

 判定がだいぶ甘くなっている。

「9年目もよろしくね波留さん!」

「こちらこそ」


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