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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
110/232

33話 1年学園祭2




 くじを引いたら5等だった。

 一番下よりはマシだけど、あたりでもないそれ。景品はいくつかある中から選べたから使えそうなものを選び取る。




「で、なんでガムテ?」

「生徒会の備品のガムテ結構使ったから」

 補充できるなって。と言いながらガムテをカバンにしまう。私以外の3人はハズレの飴を舐めている。


「さて、次はどこに行くかな」

「あ、私このクラス行きたい」

「喫茶店か。いいね、行こう」

 美野里ちゃんがパンフレットで示したのは兄のクラスだ。そういえばまだ行ってなかった。兄はいるだろうか。まぁいても裏方だろう。

 兄のクラスへと足を進めた。



「おや、波留ちゃん」

「一宮さん」

 兄のクラスへ向かっている途中、一宮さんが声をかけてきた。一人かな。

「もしかして梓のところ行くの?」

「はい。一宮さんは?」

「僕も。もうすぐシフトが終わる時間だから、その後一緒に回る約束してるんだ」

「相変わらず仲良いですよね」

「まぁね」


 ほんわりと笑う一宮さんに癒やされているとガジリ、と力強く方を掴まれた。美野里ちゃん力強いね。なんか指が食い込みそう。ところで、なんでそんなギラついた目をしているの。なんで私と一宮さんを交互に見てニンマリ笑うの。


「波留ちゃんこの方は?」

「一宮さん。兄の友達」

「こんにちは。一宮宏和です」

「本田早苗です」

「浅田美野里です!」

「秋田湊です」

 それぞれ挨拶をして行き先が一緒ならと5人で歩き出す。さてさて、兄はどうしているかな。









 猫耳。


「似合ってるね」

「全く嬉しくない褒め言葉をありがとうございます席に案内しますね」

 ひと息で言った兄が席に案内してくれる。兄は猫耳をつけていた。格好自体は普通のウェイターなんだが。耳と尻尾がある。


「梓、これ見られたくなかったんだね」

「わかったなら見ないでくれるかな」

「兄さん耳触っていい?」

「どうぞ」

 席についてから言えば兄は少しかがんでくれた。おぉ、リアル。もふもふだもふもふ。

「梓は裏方じゃなかったっけ?」

「裏方だったんだけどね。今日休んだ子の代わり。今だけだよ」

「わーい激レアだー」

 写真撮っておこう。カメラを構えたら兄が消えた。どうやら後ろに回ったようだ。速いな。


「ご注文は?」


 私の背後に回った兄の言葉に反応してそれぞれ注文する。私はチョコクレープ。


「今日は兄さんが作らないの?」

「今こっちやってるからね。明日は裏方に入るけど」

「じゃぁ明日も来る」

 兄さんが作るやつ食べたい。と言ったら兄に無言で頭を撫でられた。何故だ。


「波留さん本当にお兄さん好きだね」

「うん」

 何を今更。あ、チョコクレープ美味しい。





 その日の夜、有村さんから兄のウェイター姿の写真が添付されたメールが送られてきた。ありがとう有村さん。お礼に可愛い猫の写真を送っておこう。確か好きだったはず。

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