23話 1年夏休み3
「にしてもさぁ」
「んー?」
口の中で溶けるそれを堪能しながら生返事を返す。秋田くんもそれを気にせず食べながら続けた。
「テスト結果、張り出されなくてよかったよね」
「あぁ……」
ゲームなどではよくある成績上位者の張出し。あれがうちの学年にはなかった。一学期中間、期末、どちらもだ。これはすごく助かる。
「張り出されたら波留さん目立つもんね〜」
「君もだろう。期末試験の結果良かったらしいじゃん」
「まぁね。波留さん何位だっけ」
「2」
「すごいなぁ」
「因みに3位は篠崎だったらしい」
「聞いたの?」
「話してるのが聞こえた。秋田くんは何位だった?」
「なるほど。俺は17位」
「張り出されなくてよかった」
「ねー」
上位何位まで張り出されるかわからないが、私は確実に名前が載っていただろう。それは避けたい。すごく目立つ。騒がれるのが嫌で今回の結果もあまり他人には教えていないし。
「1位は辻村くんかな」
「そうなの?」
「ゲームだとね。赤坂くんは運動のほうが得意だったはず」
「そういやそうだった」
辻村は確か体が弱いから家にいることが多くて、そのぶん勉強してるんだっけか。たしか。
「張り出されたら目立つし、高等部でも張り出されないといいけど」
「ゲーム内ではそんな描写なかったから大丈夫って信じてる」
成績良い方が何かと都合がいいからね、安心して成績取りに行きたい。そう言った秋田くんは前世の記憶を思い出してから猛勉強したらしい。折角覚えてるんだから活用しないと勿体無いんだそうだ。
私はアイスを食べながら外を眺めた。天気が良い。そして夏休みだからか通りには人が多い。
「波留さん何見てるの?」
「んー? 人多いなーって」
「夏だもんね」
「夏だねぇ。」




