第九十三話 炎帝と勇者
「さてと……テクストを倒すとするか」
そう思ってテクストを突き刺しておいた岩の方を見る。しかし、そこには何もなくて血痕だけが残っていた。
よく周りを見てみると、どうやったのか顔だけのテクストが自分の身体部分にくっついた。
それで再生できた様だった。
「おい、まさか逃げられるとは思ってないよな?」
「フフフ……ケインちゃん?君が何故こんなに早くここに来れたのか疑問だったんだぁ〜。今確認してみたら、エルファトクレスを勇者に押し付けてきたみたいじゃないかぁ〜。さっき洗脳を解除したけど……エルファトクレスだけは残しておいて良かったよぉ〜。良いのかい?勇者はまだ炎帝には勝てないよ?」
「お前……やっぱり洗脳を解除してなかったから。まぁいい、もしかしたら勝ってるかもしれないし、僕はそもそも勝敗なんかどうでも良い。エルファトクレス様はきっと自分で洗脳を解除するさ」
「そんなわけないよぉ〜。僕の洗脳は1度かかったら僕の方から解除しない限りは解けないからねぇ〜」
すると、ボロボロのエルナを担いだエルファトクレスが洞窟に入ってきた。
「エルファトクレスちゃん!ちょうど良かったぁ〜このケインちゃんとクウガ君をぶちのめしちゃってよぉ〜」
エルファトクレスは何も言わずにテクストに近寄る。
すると、油断していたテクストにきつめの一撃を喰らわせる。
「ガハッ……なんで…僕の洗脳は絶対解けないはずなのにぃ……」
「絶対なんて言葉……信頼できませんよ?残念ながら私は洗脳を乗り越えられました。さあ!観念して下さい!」
そう言ってエルファトクレスが剣を再度握る。
「待ってください、エルファトクレス様」
「ケインさん……どうしたのですか?まさかコイツの助命でも?」
「いえ、ただ決着をつけさせてもらいたいのです。僕の手で」
「……本当は恨みがあったので私の手で殺したかったのですが、貴方には借りがあります。ここは譲りましょう。それに……弟子の成長を見ることが出来たのも貴方のおかげの様ですしね」
「ありがとうございます」
僕は剣を持つ。テクストに向けて……
「おい、もうお前に大切なものを奪われたくないんだ。いい加減ケリをつけようぜ」
「クッ!舐めるなよ僕が本気を出せばお前程度……」
そう言ってヴァンパイアを呼び出してくる。
こうして最後の戦いが始まった。




