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ショートショート7月~

じたばた

作者: たかさば
掲載日:2020/07/10

ザッ・キィイイーーーーン!!!


「ああー!!またしくったぁああああ!!!」


僕の鎌は、ターゲットをわずかにかすり、地面に突き刺さった。

うぉおおお!!先端、曲がっちゃったよ!!!

コレではいつまで経っても鎌に自我が芽生えてくれないよぅ…ぐすん。


僕の足元では、魂のしっぽがじたばたしている。

くそう、忌々しいしっぽめ!!


…持ってくけどさあ!!!



僕は死神一年目。

研修を終えて、この四月に鎌をはじめて握った。

悪意にまみれたクソみたいな魂を刈るべく、ただいま人間界に初出張中な訳なんだけど。


…もうさ、マジでくじけそう。

全然、魂、刈れない。


めっちゃ真っ黒な奴がいてさ、キターって思って刈ろうとするんだけどさ、全然しとめる事ができない。

狙うも、刈り取れず、いつもいつも!しっぽ切られて、逃げられちゃう。


魂のしっぽを切り落とされちゃうとさ、悪意がね、切れたとこからこぼれ出しちゃうんだよ。


で、魂から悪意が出ちゃうもんだからさあ、すっごくうすーくなっちゃってさ。

しかもしっぽがなくなっちゃうってことは、魂が丸くなっちゃうんだよね。

人間性が変わっちゃう。…こうなると、お手上げだ。


魂が丸くなった人ってのは、僕たちの管轄外になっちゃうんだよ。


丸くなった魂は、天使が迎えに来て、審判されて、天国行きか地獄行きかを決められる。


悪魔ってのは、基本悪い人しか刈っちゃだめなんだ。


地獄に落ちた奴の、後悔や無念、恨みや怒りや…そういうのを食ってる僕たちなんだけど。

それはその…食い物ではあるけれども、贅沢品ではないって言うか。


悪魔なら一度は食べたい、贅沢品。それが、真っ黒な魂なんだ。

天使が迎えに来る前に刈り取って、食べる事が許されている、悪い奴の魂。


本当に悪に染まった奴の真っ黒い魂ってのはさ!

この上なく甘美で、もったりとしていて、それでいてこってりしてて!!

大昔に父さんに一口食べさせてもらったことがあるんだけどさ、本当に美味いんだよ。


僕がいつも食べてる、切れたしっぽなんかさ、ホントイガイガしててエグみがあって…うぐぐ。


まあ、ともかく。


…このおっさんは地獄行きだね。悪い事し放題だったみたいだから。

この後地獄に行って、後悔牧場か恨み畑で散々後悔し続けて恨み言ほざいて、悪魔たちに提供し続ける事になるんじゃないのかな。

後悔や恨みってのはさ、悪魔たちには欠かせないものであってね。

このところ自虐風味が人気なんだ。このおっさんは何味の感情を生み続けることになるのかな?


色々考えてるうちに、目の前の魂はもうすっかり丸くなった。

魂の持ち主のおっさんも、毒気が抜けてぼんやりしてる。


散々悪いことして悪意の塊みたいだった魂なのにさ。

僕がしっぽ切ったせいで悪意が抜けちゃってさ。

コレじゃ僕ら悪魔は、食べることができない。

誰だよ!こんなルール決めたのは!!


今度こそ、絶対食えると思ったのに!!

こうなったら後は、天使が魂迎えに来るのを待つしかなくなっちゃうんだよな…。


「はい、どうも!」


…ああ、ほら、すっかり顔なじみになった天使が来ちゃったじゃん。

クッソー、相変わらずイケメンだな。見あげんの地味に首が痛いんですけど!


「はは、またしっぽ切っちゃいましたか。ごちになります!!」

「うぐぐ…こっちは切りたくて切ってんじゃないやい!」


ちょっとだけ涙目になっちゃうのも、仕方ないことだと思う!!

睨みつける僕を、天使はニヤニヤ見下ろしながら。



ぽふ。ぽふ。



頭ぽんぽんしてきやがった!


「ッ!!!子供じゃないぞ!!」

「…君、向いてないんじゃないの、こっちに転職したら。俺が親切丁寧に面倒見てあげるよ?…俺専属にしてやるし。」


何なんだ!!色気たっぷりで僕を…僕を見るんじゃない!!頭から…その清廉な手を…どけろぉおお!!!!



パシィッ…!!



僕は大きな手の平を自分の手ではじき返してやった、やったぞっ!!


「すみませんね!僕BLは地雷なんですよ、ははは!!じゃ!!!」


ここにいると色々とやばそうだ!


僕は一目散で逃げ出し…あれは!!

公園のベンチの向こう側に!ちょー真っ黒の!!ド級のクッソきたねえ魂が!!


「いっただきぃいいいいい!!!」


僕は鎌を振り上げて!!!

勢いよく!!

魂めがけて振りおろすっ!!!



ガッ・キィイイーーーーン!!!



「は、はへっ?!」



僕の鎌は、魂を刈ったけれどもっ!!

振り下ろされた先に!!

ベンチがあってええええええ!!!!



ヒュルンヒュルン…!!!



鎌ッ!!鎌が折れちゃって!!!!



根元から折れた鎌ッ!!鎌が!!




ザンッ!!!!!



「ぎゃあああああああああああああ!!!!!」


ぼ、僕!!僕のたま、たま、魂いいいいいいい!!!!

足元に突き刺さった折れた鎌が!僕の魂に刺さってるぅぅぅぅ!


「あーあ、自分で自分の魂刈っちゃって、まあ…。」


僕の魂が!!しっぽ!!しっぽがちぎれてっ!!!

しっぽがじたばたしてるぅうううううう!!!


「君、魂丸くなっちゃうね?ほら、どんどん、悪魔の証?こぼれてる。」


僕…僕はどうなっちゃうんでしょうか…。

涙が、こぼれてきちゃったんですけど…。


「…ま、とりあえず、一緒にあがろっか?」

「うん…。」



僕は、背の高い天使に連れられて、天国に行くことになってしまい。


「はい、良くできました。」



ぽんぽん。



「っ!うぅぅ…。」


真っ赤になって、ジタバタしている毎日を送ってます…。



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― 新着の感想 ―
[良い点] あらららら〜 尊い [気になる点] しっぽを切って丸くなるという発想よ! さすがです。 [一言] かわいい
2020/07/10 21:38 退会済み
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