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86話 笑い合う二人


3年間ずるずると一ヶ月に1話、2話しか投稿できていなかったこの作品ですが…先週からしれっと毎日投稿してみたらランキングに載りだして、汗…汗…って感じですw

サボりにサボってたのでまだまだ認知度も低いですが、毎日万単位でアクセス数が伸びていくのがとても嬉しいです!!感謝感謝m(_ _)m









「………アルスくん………ここ、こうしてみたらどうかな?」


「なるほど………ありだな」





 書庫で本を読み漁って数日、実際は数時間天空都市に滞在し、ある程度方向が決まってからポリオに会ったアルス。

流石はドワーフの王族というべきポリオは、術式が得意らしく、それを知って二人で新たな術紋を作るために連日放課後に集まっていた。




 かなりイイ線いってるとアルスは思っている。

あとは、発動する為の媒体と、起動させる為の大詰めの部分なのだが……




「アルスくん、龍の血はどうする?」


「あぁ、そこは問題ないなクロに分けてもらえばいいし」


「………あ、アルスくんの相棒?」


「そう、クロは高位の龍種だからな。龍の血としては問題ないだろう。だけど、発動するのかは難しいよな………。賭けみたいなものだもんな」


「確かに、人間に術式を刻むなんて聞いたことないもんね。でも、なんか何故かは分からないけど、出来る気がする」


「ははっ ポリオの前向き思考はいいな。俺も見習おう」


「暗くなってても仕方ないからね!それに可能性があるだけで嬉しいんだ………それとさ」




 ポリオはなにか言いかけてアルスを見た。

真っ直ぐな瞳に、どうした?とアルスは首を傾げる。




「失敗してもいいじゃん!身体に模様が残っても、良い思い出じゃない?また何度でも挑戦すれば良いと思う」


「………王子としてはどうなんだ?」


「大丈夫大丈夫……僕、第三王子だし……絶対王にならないし。アルスくんが必死に僕の為に考えてくれた、そして二人で目標の為に頑張ってる。僕、友達とかいなかったからそれだけでも嬉しい。だから、失敗しても何の問題もないよ!成功するまで何度でもやろうよ!僕らは長命種なんだから!!」




 明るい顔でそう言ってアルスに微笑むポリオに、小さい体なのにとんでもない器だなとアルスも微笑む。

前世知識が無駄に残っているからなのか、タトゥー………と思ってしまう。

いや、入れてる人に偏見はないけど、それが友人となると偏見の目で見られる可能性があるだけで傍から見たら抵抗感がある。

だが、ポリオにはそんなことは小さな事のようだ。




「ポリオ………必ず成功させよう」


「創造神様の使徒であるアルスくんがついてるからね!!大船だね!」


「必ず陸に連れてってやる」


「ふふ……ははっ!!それは安心だ!!」




 そう言って肩を抱いて笑う友人にアルスはとても心地よい感情が湧いた。

まだそこまで日数は経っていないが紛れもなくポリオは友人だと思う。

彼の為なら何かあった時国単位でも助けに行くだろう。


















 それからさらに数日…




「…………ねぇ、アルスくん。」


「ん?」


「これさ、本当に成功するかもね」


「ポリオ………俺もそんな気がしてる」




 ポリオとアルスが考えた術紋は相当な精度だと二人が納得できるものだった。

その中で最初に手掛けたのは火の指向性を持った術紋である。

どこまでいっても複数の指向性を一つの術紋にすることは不可能だとすぐに分かった。

で、じゃあ何の属性がいいか?とポリオに聞くと、ドワーフは火でしょ!とすぐに火魔法で決まった。




 術紋は完成したと思う。

ただ、起動するのかは不明。

あくまで魔導具とは異なる術式だ。




 アルスは帝宮でのんびりしているクロを呼び出す。

二人が研究しているのは蒼天本部のアルスの自室である。




 クロに初めて会ったポリオは口をあんぐり開けて目を見開いている。

クロはクロで初めて見るポリオに興味津々で尻尾を揺らしている。

日に日に大きくなり正しく龍!といった雰囲気が格段に上がったクロだが、こうして見ると性格は犬のようだとアルスは苦笑を浮かべている。

本当に最強種なのだろうか?

いや、確かにたまに森に一緒に行くとその辺の魔物なんて遊び道具のように蹴散らしているのだが………




「クロ……ちょっとだけ血をくれないか?」


『血?いいけど〜痛い〜?』


「大丈夫……痛くはしないさ」




 許可を取ったのでアルスはなるべくクロに痛みを与えないように最小にして最適な動きで土魔法の針を出してクロの指をプスリと刺す。

簡単にやっている雰囲気なのだが、クロは高位の龍、それを土魔法の針で傷付けるというのは生半可な技術ではない。

凄まじい強度をかなり細くした針で保つだけでも常人にはできない技量である。

だが、アルスは鼻歌を歌える程の余裕な顔でそれを行いクロから出てきた血を受け皿に入れていく。




『すご〜い、痛くない〜』


「だろ?………ちゃんと後で回復魔法も掛けるからな……少しだけジッとしててな」


『わかった〜』




 そんなアルスとクロのやりとりをポリオはじっと見つめている。




「ねぇ……アルスくん。ドラゴンと喋れるの?」


「ん?あぁークロは賢いからな。念話で話せるんだよ……」


「凄い………」


「そんなことよりポリオ、魔石を砕いてくれ」


「了解!!」




 異世界の術紋だと魔石は使わず龍の血を使うのだが、こちらの世界の術式ではインクと魔石を使用するらしい。

その両方を使ってみよう、というのが二人の案だった。

使う魔石もかなり上位の魔物のモノだ。

こだわりポイントとして、火魔法の術紋の為、その魔石も火魔法を使う魔物のモノを選んだ。

何が当たりなのかも分からない手探りな状態であるので、妥協はできない。




 そして、粉々にした魔石をクロの血に混ぜていく。

それも終わるとついに……




「(ゴクリ)………アルスくん始めるよ」


「あ、あぁ」




 術式を刻む為に使う特殊な筆を持ったポリオは現在長袖の上着の腕を捲った状態である。



 左手の甲から腕にかけて術式を書いていくポリオ。

彼曰く、その際にふわりと力が抜けていく感覚がありそれがないと馴染まないそうだ。

多分ドワーフ独自の魔力の使い方なのかもしれない。

そうやって描いた術式は消えることがないそうだ。

例え擦っても磨いてもその術式は消えない。

もちろん削れば消えるがそうなって少しでも術式が欠けると魔法は発動しないらしい。

  



 繊細な作業の為アルスは黙ってポリオを見つめる。

クロも空気を読んで静かに見ている。




 永遠に感じる緊張した空気の中、ポリオが筆を置いた。

どれ程時間が掛かっていたのかも分からないほどに本人も見ているアルス達も集中していた。




「はぁ〜、とりあえず……出来た……かな?」


「そうか………お疲れ!」




 ポリオの腕には前世で言うところの魔法陣とトライバル模様を組み合わせたような模様が描かれている。

皮膚を取らない限りは一生消えない、正しく刺青のような雰囲気だ。

だが、少し格好いい……とアルスは思う。

見た目が童顔でちっこいのにタトゥー………ギャップ?




「………似合う?」


「思ったより似合ってて驚いてる」


「なら、まぁ失敗してもいっか!」


「変なフラグを立てるなよ………さぁ、ポリオ。実験の時間だ」


「うん!!!」




 アルスとポリオの見込みでは術紋がある左腕を起点に魔力を集めれば火魔法を発動できるはずだ。

ここからは成功なのか失敗なのかも分からないがとりあえず試していくしかない。




「それじゃ初級の火魔法からな………まずは基礎だから、この魔導書通りでやってみてくれ」




 その魔導書は子供でも分かるという初級火魔法の本である為説明が細かく、表現が分かりやすい。

ポリオはその中で基礎の基礎であるファイアボールのところを読んでいく。

そして、少ししてポリオが顔を上げる。




「………やってみる」


「ポリオ………魔力を集めるときは術紋をイメージするんだぞ?そこを起点にして発動するんだ。普通の人よりひと手間多いからややこしいとは思うが」


「大丈夫………いくよ」




 ポリオはまず目を瞑って集中していく。

身体の中の魔力を感じる作業は今までしたことがなかった。

が、アルスが言うように確かにそこに魔力はある。

そう思えば魔力は少しずつ感じ取ることが出来た。

その魔力を今度は左腕の術紋に集めていく。

魔導具の武器と同じだ。





 ポリオが集中し始めてから少しして、ポリオの術紋が光り始めた。




 声を上げそうになるがアルスは集中を保たせる為に押し黙る。

術紋が光ってるのは謎だが、成功していると思ってよいのだろう。

確実に術紋は発動している。




 そして、ポリオが上に向けた手の平からボワッと火の玉が現れた。

ポリオも目を開いてそれを見つめている。

確かにファイアボールの中ではかなり小さく弱々しい、だがそれでも………




「…………出た………」


「成功だ!!!ポリオ!!!!」


「やったーー!!!!!」




 ファイアボールが消えるとポリオは瞳から涙を流しながらアルスを見て腕を上げて叫んだ。

アルスもまたポリオを見つめそしてガシッと抱きしめる。




「………やった。アルスくん………魔法使えたよね??」


「あぁ、確かに使えてたぞ!!」


「凄い…………本当に………」  







 この日、この世界で初めてドワーフの魔法使いが誕生した。



 実験好きな皇太子と、可能性を諦めなかった王子、その二人が友情の末に辿り着いたこの偉業は………後に歴史の中で広く語られていくことになる。



 そして、その逸話は後に………諦めないことの代名詞として親から子への教育にも活用されていくそうだ。

そんな未来を知らない二人はただただその成功を噛み締めて笑い合うのであった。













 ちびっ子キャラは女の子でしょ!?

と思っていたのですがポリオがこの作品のちびっ子キャラになりました。

友情って胸熱ですよね?恋愛も良いけど、泥臭い友情とか、肩を抱いて笑い合う感じとか、俺は結構好きです!!

今後も、ポリオはメインで関わっていくのでちびっ子ポリオも宜しくお願いしますm(_ _)m




 ブックマーク、いいね、☆の評価お願いします!!

皆様の一つ一つのその評価を噛み締めています。

もうしてるよ!!って人は…………好きですw




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