140話 巨人の里×規格外×モーマンタイ
タイトル思いつかなかったのでフザケました。すいません
ハンター×ハンター大好きです...
あれから5日が経った。
さすがにクロが空から現れても巨人達はもう驚いてはいない。
よく見かけるようになった二人の巨人に関しては友好的に手さえ振っている。
だからといってアルスには巨人族全体が友好的になったとは思えない。
いつまでこうやっていれば良いのかも分からなくなってきている。
ファナだけがいつか受け入れられるとなぜか確信しているが。
だが、この日変化が訪れた。
今日の分の肉を下ろして、よし戻ろうとクロに言おうとした。
その時、脳内に声がした。
聞いたことのない声だ。
“敵対する気がないのじゃったら、下りてこぬか?”
その声を聞いて周りを見るが他の気配は感じない。
それにベルクール達も目を見開いている。
一応全員聞こえているのか。
冷静に考えれば普通に話しかけられたのではない。
この脳内で響く感じは………念話だ。
クロとよく念話で会話しているから分かる。
「殿下、今のは?」
「……誰も、いない」
「……」
「念話の魔法だ。巨人の誰かだろうな」
「どうする?」
「ちょっと待ってくれ」
俺は今の念話の送られてきた場所を脳内で考えた。
あの一際大きな建物か?
“驚かしたならすまんのぅ。これは念話という魔法なんじゃが”
再び声がして、やっと正確な位置を把握できた。
これならこっちも言葉を返せる。
なるほど、下に降りなくてもそんな方法があったか。
“すみません。少し驚きましたが大丈夫です”
“ほう……念話の魔法はまだ知られておったか”
“いや、殆ど知られてないですね。龍族と話す時に使っていたので”
“なるほどのぅ。して、敵対する気はないのじゃろ?”
“はい、まったくありません”
“では、下りてこぬか?客として迎える”
“素性の知らない我々を客としてですか?”
“わしが興味があるのじゃ”
“わかりました”
「下に降りよう」
「いいのか?罠じゃ?」
ベルクールはまだ警戒している。
「もしもの時はファナを連れて逃げてくれ。まぁ大丈夫な気がするが」
「わかった。その時はチビ姫を連れて離れる」
「エリスプリナもだぞ?」
「……御意?」
クロに言って巨人族の村の中に降りた。
さっきの声の主から指示があったのか、急に襲ってくる者はいない。
とりあえず一安心だ。
とはいえ、皆がアルス達から距離を取っていた。
突如現れ、素性も分からず、毎日肉を贈ってくる不審人物達という印象は根強い。
気まずい空気を感じつつ念話を送ってきていた人物がいるであろう屋敷に向かって進む。
その際も「なんだあの小さいのは」とか「あの肉を落としてきていた奴らか?」という会話が聞こえる。
「殿下、気まずいっすね」
「かなりな」
「……殴る?」
「だめに決まってるだろ」
「やっぱり受け入れてもらえましたねー!」
「チビ姫だけテンション高いな」
一人だけニコニコしているファナを見て、ベルクールが苦笑いしている。
とそこで二人の巨人が近付いてきた。
巨人の中でもかなり大柄で、見上げる程である。
その二人を見てアルスはもしやと思った。
あの手を降っていた巨人達だ。
「あの肉凄いなぁー!」
「あれは凄い!あんなのが居るんだなー!」
挨拶もなく唐突にそう話しかけてきた巨人達は、アルス達の目の前まで来ると目線を合わすために中腰になる。
「あれはダークネスホーンボアっていう魔獣なんだ。俺達も最近見つけて、その美味さに驚いた」
代表してアルスがそう返すと、「そうだよなぁ驚くよなー」と二人同時に同じ事を呟く。
この二人はかなり友好的なようだ。
「元老のとこ行くんだろー?」
「俺たちが連れてってやるよー!」
元老、というのはあの念話の人物だろう。
二人がそこまで案内してくれるらしい。
それは普通に有難い。
アルス達は二人に案内を頼み、後ろをついて歩いた。
「俺はアルスだ。二人の名は?」
「俺は兄のオロロ!」
「弟のノロロだ!」
「オロロとノロロか!よろしくな」
二人は似ていると思ったがやはり兄弟らしい。
名前も一文字違いだ。
「俺はベルクール!」
「ファナと申します!!お二人は大きいですね!」
「……エリスプリナ」
全員が名乗りを終え、それからは基本的にファナが二人に質問したり、二人がアルス達に質問したりで和やかに会話が進んだ。
二人の話をまとめると、この村……二人は里と呼んでいたが、この場所に住む巨人達は生涯この里を出ないらしい。
なぜ出ないのかとファナが聞いても、当たり前のこと過ぎてなぜ出るのか?と逆に聞かれていた。
だからこそ俺達のような彼らからすれば≪小さい種族≫と出会ったのも初めてで皆が警戒している理由の一つらしい。
そもそも里には古くから結界があり無闇に外に出ることは不可能だった、らしい。
だったというのはその結界が現在消滅しているからだ。
この里の中で今までそんな事はなかったらしい。
アルスは消した張本人なので、黙って下を向いた。
が、そのやりとりとアルスを見てベルクールはニヤついていた。
話しながら歩いていたので、気が付けば目の前にあの屋敷があった。
大木をくり抜いて造られた建物がこの里の主流なのだが、その屋敷の大木は特に大きくオロロ曰く世界の始まりからあったとされる大木らしい。
世界の始まり?いやいや!と思ったが言われれば確かにそう見えなくもない程に大きく、そしてどこか神聖な空気を感じた。
その屋敷の入口の前まで進むと、中から言い合う声が聞こえてきた。
「元老!!なぜ彼らを里に入れたのです!?」
「興味があると言っておろう」
「しかし未だかつて外部の人間を入れたことなどなかったではないですか!」
「そもそも魔獣以外でここに辿り着いた者がいなかったからであろう?」
「しかし!素性の知れない者達など危険では!?」
「「「そうだそうだ!」」」
言い合っている片方はかなり怒っている様子である。
それに反論している元老と呼ばれる人物は念話の人だろうと推測できる。
その言い合いを聞いてアルス達が苦笑しながら気まずそうにしていると、オロロがアルスの肩に、ノロロがベルクールの肩にそっと手を置き申し訳なさそうな顔をする。
二人はまったく悪くないのだが、同族が言い争っているのは気まずいのだろう。
ここで割って入るわけにもいかずアルス達は入口の扉の前で様子を伺った。
周りもヤジを飛ばしていて収まりそうにない。
どうしたものかとアルスが考えていると、ふぅーと一息吐いたオロロが意を決して扉を開いた。
「元老!連れてきたぞ!!」
言い争う声に負けないようにか大声でそう叫んだオロロ。
言い争っていた者達はパッと振り返って、声の主とアルス達を見た。
「連れてきてくれたのじゃなオロロ、ノロロ。よくやった」
「美味しい肉の奴らだ!話せてよかった」
「ノロロも話せてよかった」
「そうかそうか。客人達、入ってきて構わんぞ!二人も入っておいで」
そう優しく声を掛けてくれるのは一番奥に座る三人の真ん中。
凄まじい巨体の古代種巨人族のなかでも一際大きな体躯であり、アルスやベルクール、エリスプリナが一瞬身構えそうになるほどの雰囲気を醸し出す、その風貌とは裏腹に温和な笑みを浮かべる人物だった。
その者こそオロロ達の言う元老だとすぐに皆が理解した。
集まっていた里の者達は元老の言葉を聞き、黙っている。
言いたいことはまだあるようだが、アルス達が通れるように場所を開け道をつくる。
言われたとおりに屋敷に入り、アルス達は元老と他二人の多分この里の上層部達の前まで進んだ。
周りを推定4~5mはある巨人達に囲まれているのは正直かなり気になるが、この中で一番力を持ってそうな元老が友好的なので突然戦闘にはならないだろうと思う。
「客人。そこまで固くならんでよいぞ。そこに座ってくれ。口調も気にせんでいい」
「ありがとうございます」
元老の言葉にアルスが礼を言い、その場に皆で座った。
座るとさらにでかいなと思ったがそれは心に留めておく。
そして、座してアルスは元老を見た。
「まずはこちらから名乗ろう。わしはこの里の元老、ベルオーガじゃ。横にいるこっちの男が先代の族長アベル、そしてこっちが現族長のアバン」
「アベルだ」
「アバン...」
なるほど。
この三人が元老、先代族長、族長か。
確かに他の二人も周りにいる巨人達より一回りは大きい。
「それでは我々も自己紹介を。と、その前に元老ベルオーガ、オロロの話ではこの里のものは外には出ないと聞いたのですが、世界の国々などは把握していますか?」
「ベルで良いぞ!...確かに我々はこの里から出ない。外を知っているのはもはや、わししかおらん。とはいえそのわしでも地上の国々となると、把握しているのは8000年も前じゃ」
「8000年!?」
「そうじゃ」
8000年前?
そんな大昔の情報しかないのか?
そもそもそんな昔にあった国などもうこの世にはないのでは?
「なるほど...ある程度把握しました。私は北の大陸の統一国家、ベルゼビュート大魔帝国の皇太子アルス・シルバスタ=ベルゼビュートです。彼らは私の部下であり旅の従者です」
「北の大陸の統一国家...今はそういう国があるのじゃな」
「皇太子とは?」
元老ベルオーガがふむふむと頷き、族長アバンは皇太子という耳なじみのない言葉に首を傾げた。
「地上の国々を治めるのは族長ではなく、王や帝です。そして、その王の子供でそれを継ぐ者が王太子や皇太子です」
アバンの質問にアルスが答えた。
「なるほど。つまり、そなたは次期族長なのだな」
「まぁ、そうですね」
族長、うん、まぁそうだね、うん。
ここで否定したらややこしくなりそうなのでアルスはやめた。
「して、なぜここの上を徘徊していたのじゃ?」
「旅の途中で通りまして、それで不思議な結界を見つけて...」
「見つけて?」
「私の悪い癖が出てしまって、軽い気持ちで、その...」
「結界を解除してしまったと?」
「申し開きもありません。本当にすいません」
「ガッハッハッハ!!やはりそうか!!ほら、言ったじゃろう!!」
アルスの告白に、ベルオーガはツボに入ったのか爆笑している。
そして周りは信じられないものを見る顔をしている。
「...今の地上の者からしたらあの結界を解除するのは容易いのかのぅ?」
「いやいや!!あんなことが出来るのは世界に数人もいないと思いますよ!殿下が非常識な存在なだけです!」
ベルオーガの質問に答えたのはベルクールだった。
「そうであるか...」
ベルオーガは納得したのか頷いている。
巨人で魔法に優れた者を今までアルスは見たことがないが、ベルオーガは明らかに魔法に優れた人物だと思う。
魔力量も規格外のアルスには及ばないもののそれでもかなり高い。
「結界はそのままでいいんすか?」
「我々にはもうあれは張りなおす手段がないのじゃ」
ベルクールの質問にベルオーガは困った顔をした。
「殿下も無理なんです?」
「いや、できるよ。解除した時に構造は把握したし」
「なっ!それはほんとかのぅ!?」
「問題ないです」
アルスの答えにベルオーガは驚愕の表情を浮かべている。
他の巨人達も驚きを隠せない。
とはいえ、アルスからすれば解けるのだから張れるだろうと思っている。
もちろんあの規模となると相当な魔力量が必要だが。
「では、お願いしたい」
「ですが、あの規模の結界を再構築するとなるとさすがの私でも相当キツイというか、下手したらその後半日程はここで休まないといけないかもしれないのですが...」
「泊まれる家なら用意する!この屋敷に泊まってもよいぞ」
「わかりました!それなら今からやりましょう」
「頼むぞ」
アルスは結界を張るため外に出た。
ベルクール達やオロロノロロ兄弟、そしてベルオーガ達も一緒にだ。
さあ再構築するか、とアルスは集中する。
そもそも結界を解くのと張るのでは使う魔力量が違う。
構造を理解さえできれば結界を創るよりも遥かに少ない魔力で解除ができる。
ただし構造理解が正確にできない場合は結界の構築に使った魔力量よりも多くの魔力を使って無理やりに破る事も可能ではある。
また、その応用としてそれよりも少ない魔力で結界全てではなく結界の一部を破る事も可能だ。
アルスは実は※天空都市の一件から結界にハマっていた時期がある。
そして魔力量や魔法の才もずば抜けている為、結界については世界でもかなり詳しい方だと自負している。
だが、解除したときのあの結界は複雑な方だった。
天空都市の結界に近い造りだが、あの結界は異世界の女神フレイの魔力というか神力を常時吸収して永続的に効果を出していたが、ここの結界はそれを巨人族達内部の人間から満遍なく吸収する構造だった。
見たことがなかった構造だが、それでもアルスは面白いと思って実際に解除してしまった。
張りなおすのも魔力を膨大に使えば問題はない。
アルスが集中しだしてからは、皆が周りから少し離れてそれを見ている。
巨人達はというと半信半疑であり、疑いの目を向ける者も少なくはない。
それでも精神統一をして、判然と立つアルスが嘘をついているようには見えなかった。
風が吹いた。
優しい風は徐々に暴風のように勢いを増し、アルスの周りで踊る。
まるで風が踊っているようだった。
それが膨大な魔力を暴風だと感じてしまっているとベルオーガはすぐに気づく。
「ほう...これほどまでか」
ベルオーガの呟きに反応する者はいない。
皆が暴風の中心に立つアルスを見つめた。
一つや二つではない、数多の魔法陣が展開されていく。
魔法を知る者も、魔法が使えない者も、同じようにその光景に息をのむ。
そして、暴風が止んだ。
打って変わっての静寂。
誰かの唾をのむ音さえ聞こえそうなほど。
そして、次の瞬間。
爆発的な魔力が周囲どころか里全体に広がった。
閃光のように眩い力強い魔力。
まるで天から一柱の光の束が、アルスを照らしているようだった。
神々しさすら感じるその圧力と輝きに皆が目を離せなかった。
いつの間にか。
ちゃんと見ていたはずの全員がそう思った。
アルスはふぅーと小さく息を吐いて振り返る。
「結界の再構築、成功です」
にこやかにそう告げるアルス。
ベルオーガや巨人達だけでなく、ベルクールやエリスプリナ、そしてファナも一瞬動きが止まっていた。
あんな魔法をこうも容易そうに。
ベルオーガは思った。
この青年は何者なのだろうか、と
※天空都市については67~70話です!!
投稿してすぐに誤字報告してくださった方,,,,神です。
ありがとうございます!!
それと暖かいコメント励みになりますm(__)m
他の事が忙しく長期で投稿できていない時がありますが、
生暖かい目で見守ってください。
年末は投稿頻度がんばりたい!!!
by尾上蓮虎




