111話 この状態でドラゴンは鬼畜過ぎだろぉお
「まーた、コカトリスかよ………。何度も言うが、やつの目見るなよー!それと毒撒くから気をつけろよ〜」
先頭に立って大剣を構えるベルクールが後ろの面々にそう声をかける。
あれから数日進んでいるが森を抜ける感じも、出口も他の階層もない。
そして、ある程度の間隔で魔物が現れる。
どういう原理なのかはわからないが、魔物達は個々に彷徨ってるわけではなく一定の場所に集まっている。
その魔物溜まりはある程度の間隔……約半日から一日くらい歩いた距離で点在していた。
そしてまた、魔物溜まりに行き着いた。
ベルクールが言った通りコカトリスがかなりの数いるのだが、A+魔物であるコカトリスはかなり面倒な魔物だ。
ステータスを見ると固有魔法は、
[毒生成/LV.MAX]
[毒息/LV.MAX]
[飛行/LV.MAX]
[邪眼/LV.MAX]
[猛毒領域/LV.MAX]
この毒関連と邪眼も驚異的だが魔法が使えない現状飛行されるとかなり厄介である。
そして、なぜか魔物は我々とは違い魔法を使用できる。
アルスは理不尽なダンジョンだなーと頭を掻く。
「どうするー?殿下ー」
「とりあえずベルクールは正面のオーガを頼む!それと他の皆はBランクの魔物を積極的に相手してくれ」
「コカトリスはどうするんだ?」
「しゃーなしこれで何とかする」
「はい?」
アルスが創造のスキルで創り出した手に持った大きな槍を見せるとベルクールは何を言ってるんだ?こいつ……という顔でアルスを見る。
「A+の飛行する魔物だぞ?魔法なしでそんな槍でどうすんだ?」
「コカトリスってなんか硬そうなイメージだったんだけど、何度か戦ってわかった。奴らは毒を撒くのと邪眼は厄介だが防御力はそこまで高くない………だから、」
アルスは手に持った槍を握り、遠投のようなフォームでステータス任せにビュンッと音がなるほどの速度でそれをコカトリスに投げる。
突如飛んできた高速の槍が一体のコカトリスの眉間にズドンッッ!!!!と轟音をたてながら直撃する。
それで死んだのかは分からないが、そのコカトリスは力無く地面に向かって落下していった。
「そんなんありかよ………」
さすがのベルクールもそのあり得ない状況に引き気味である。
他の面々は慣れてきたのか気にせずBランク魔物達に向かっていく。
最後のコカトリスにアルスが槍を投げ放つ。
ビュンッッッ!!!と凄まじい風を切る音が鳴り、その槍が光線のように真っ直ぐにコカトリスの眉間に突き刺さる。
「ていうか、コカトリスって毒あるから食べられないんだよな〜鳥のくせに」
アルスは残念そうに落ちてきたコカトリス達を眺めている。
十数体のコカトリスの小山。
その辺りから毒の煙が上がっていた。
さすがのアルスもその危険な煙には近付かない。
まだ息のありそうなコカトリスに少し離れた場所から新たに槍を投げながら辺りを見るとまだ皆は少なくなってきた魔物と交戦していた。
やはりこの中で飛び抜けて強いのはベルクールであり大剣を棒切れのように軽々と振るって魔物達を殲滅していた。
アンバーもさすがは駐屯地のトップというべきか前線で卒なく敵を倒している。
虎獣人のローマンは獣人の高いポテンシャルを活かしてかなりの速度で移動しながら全体をフォローしている。
ワーグナーもベルクールに続けとばかりに大剣を振るって意識してなのか実力が少し劣るシルフィエッタを助けながら奮戦。
ジスはいつもの軽薄そうな雰囲気からは想像できない集中した顔で、細めの剣を振るう。
その姿はどことなく前世の侍に似ている、とアルスは思った。
構えも居合い斬りのようである。
しかし、魔法による強化が出来ないからなのか一撃で討伐とはいかない。
斬っては下がり、前に出ては斬りを繰り返して倒している。
力任せなワーグナーとは真逆の戦い方だった。
シルフィエッタも額に汗を浮かべながらも何とか戦っていた。
ワーグナーとローマンの誘導で、シルフィエッタの前に出てくるのはBランクの中でも割りと戦いやすい魔物だが、それでも魔法の使えない魔導師が四霊山と同じレベルのBランクの魔物を相手取るのは厳しいだろう。
ヒグマの数倍は大きい巨大熊の魔物がシルフィエッタに向かって走る。
後ろから進むそれにシルフィエッタは気付くのが少し遅れた。
ワーグナーも他の魔物達に囲まれ、ローマンも少し離れている。
慌ててアルスは槍を創造し、力の限りに放つ。
シルフィエッタに襲いかかろうとした大熊は斜め後ろからアルスが放った槍に脳天を突かれ、その勢いのまま吹き飛ぶ。
シルフィエッタは目を見開いてアルスを見やる。
そして、戦いの最中だと言うのに一礼した。
その生真面目さに苦笑を浮かべながらアルスは片手をふわりと上げてそれに答える。
その時、アルスの視界外から凄まじい雄叫びが上がった。
「グルォオオオオオオオオオ!!!!!!」
声のする方、ベルクールの付近の上空を見ると大きな真っ赤なドラゴンが飛んでいた。
「ドラゴン………」
アルスは慌ててドラゴンのステータスを確認した。
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[レッドドラゴン]
称号/炎奏
ランク/S-
HP/10,000,000(10,000,000)
MP/9,900,000(9,900,000)
攻撃力/7,000,000
防御力/8,060,000
俊敏/850,000
器用/770,000
固有魔法/[炎息/LV.MAX][飛行/LV.MAX][炎身/LV.MAX][炎獄/LV.MAX]
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A+のコカトリスでも100万台が一番上だったのに、HPが1000万??
「おいおい、魔法なしでこれは無理ゲーすぎないか………Sランクとんでもないな」
剣を抜いてベルクールの元へ走るアルス。
他の面々も視界に入ってきた凄まじい雰囲気を放つドラゴンに目を奪われている。
アルスはそれを感じて声を上げた。
「あれは、俺とベルクールで何とかする!!他の魔物は任せた!!!!」
その声にハッとしてアンバー達は目の前の的に意識を戻した。
だがベルクールは、これをどうやって倒す?とゴクリと唾を飲む。
龍殺しと呼ばれているが、それは魔法ありきの話である。
単純な肉体のみで相手にしたことはない。
「軽い気持ちでドラゴンの肉とか言ったが、これはかなりまずいぞ?」
隣まで来たアルスにそう呟くベルクールは額に冷や汗を垂らしていた。
「飛ぶのも厄介だな………それにステータスを見たがブレスを使うみたいだ」
「ファイアドラゴンか?いや………その下位、レッドドラゴンだな」
「あぁ、ランクS-………レッドドラゴンだ」
「ファイアドラゴンじゃなくてよかったが、そういう問題でもねぇーわな」
「せめて、翼を破壊できればいいのだが………」
「槍投げはさすがに奴には効かねぇだろ?」
「だよな………」
会話している間にレッドドラゴンはアルス達の上空を少し近付いてきていた。
そして、スゥーーーと音が聞こえるほどに大量の空気を吸い込んでいる。
「あれは、やばいな………」
「お前らー!!!一旦離れろ!!!ブレスを吹くぞ!!!!!」
ベルクールの大声で慌てて皆が戦線を離脱して遠ざかっていく。
距離的にアルスとベルクールは逃げられない。
「火で死ぬの嫌だな」
「んなこと言ってる場合か?」
アルスは地面に手を置いて、瞳を瞑る。
そして心のなかであるイメージをしてこう唱える“創造”。
アルスとベルクールを包み込むように辺りに半円形のドームが現れる。
あまりスキルでHPを消費したくはないが、なんとかギリギリそれに耐えられるであろう強度にしたシェルター。
そのシェルターの外側にブレスが直撃した。
更新遅れましたm(_ _)m
仕事が忙しくて……(泣)
500万PV、1万ブックマークいきました!!
ありがとうございます。
誤字脱字の報告が山のようにきています。。
本当に申し訳ない。
余裕のある時に手直ししていきます。
読み慣れてくれてる方は脳内で正しく変換して読んで下さいww




