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【コミックス3巻発売中!】採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~  作者: 一色 遥
第2章 現実と仮想現実

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96. 普通過ぎる露店商

(それで、シルフが見つけたお店はあそこ?)

(はい。あちらのお店が、他のお店と比べると値段が真ん中あたりかと)

(なるほど……)

(ただ、なんだか……。変な感じがしまして……)

(変な、感じ……?)


 シルフと念話で話しながら、少し遠めからお店を見る。

 ごく普通の露店で、置いてある商品も他のお店で見るくらい普通の商品だ。

 お店の人が変なのかと思って見てみても、これと言って変なところもない、普通の男性に見える……。


(んー……。どこが変? 僕が見る限り普通の露店に見えるんだけど)

(どこ、と言われますと……分からないです……)


 んー……、見ててもよくわかんないし……。

 悩んでても仕方ないし、とりあえず買いに行ってみるかなぁ……。


「すみません。ルコの実を売って欲しいんですが……」

「ん? あぁ、いいぜ。どれくらいだ?」

「えっと……、使うのが初めてで、量がわからないんですが……」


 話しながら、横目で店員さんを見てみても、特に変なところもない。

 強いて言えば、普通過ぎる……?


「お嬢ちゃん。人を見るときはもっと視線から気配を消して見るもんだぜ?」

「ひぅッ!?」


 声に驚いて、変な声が出る。

 目を店員さんの顔の方へ恐る恐る向ければ、店員さんの目とがっちりと合ってしまった。


「あ、あはは……」

「……、へたくそな笑い過ぎるぜ? ごまかすならもう少し魅力磨いてから出直しな」

「えっと……、ごめんなさい……」

「それで、この皿1杯分が大体1回分と思え」

「あ、はい」


 見せてくれたお皿は、木を削って作られた小さいお皿。

 お刺身を食べるときの醤油皿みたいな大きさだろうか……。


「で、どれくらい必要なんだ?」

「んー……、5……いや10回分くらい……」

「そんなもんでいいのか?」

「え、もしかして少ないんですか?」


 僕としては結構多めに見積もったつもりだったんだけど……。

 もしかして、もっと多く買っていく人が多かったりするのかな……。


「まぁ、買っていくやつは両手で抱えるくらい買っていくな」

「えっ!? そんなに……?」

「そりゃ、色々使い道があるからな。あって困るもんじゃないぜ?」

「あー……」

(アキ様、その方の言われてることは本当のようです……。先ほど探している時に買っていかれる方は、皆様多く買われてました……)


 んー……、僕が使うとしたら、薬草とかの苦みを取るためだから……。

 まぁ、沢山買っておいても問題ないといえば問題ないんだけど……。

 でも、本当にこれで合ってるのかどうかも分かんないしなぁ……。


「んー……、やっぱり10回分でいいよ。試しに使ってみるわけだし、使えそうなら追加で買いに来るよ」

「あいよ、そんじゃそれで用意する」

「うん、お願いします」


 店員さんは、両手で持てる大きさの木の箱に、木のお皿を使ってルコの実を移していく。

 ちょうど10回移したところで、木の箱の蓋を閉め、僕へと渡してくる。

 僕はそれを受け取る代わりに、インベントリからお金を出して渡す。

 お金自体はアルさん達へポーションを卸す代わりに貰ったりしてるから、それなりにあったり……。

 と言っても、無駄遣いはできないくらいしかないけど……。


「ちょうど確かに。まぁ、俺は大体ここにいるから、もし次も買うならよろしく」

「あ、はい! ありがとうございます!」


 頭を下げて、踵を返す。

 ひとまずは帰って、薬草で苦みが取れるか試してみないと……。


――あんまり……、いいぜ。


「え?」


 何か言われたような気がして後ろを振り返る。

 けれど、そこでは僕の方を見ず、お客さんの相手をする店員さんの姿があった。


「気のせい……かな?」


 そう結論付けて、おばちゃんの雑貨屋を目指し、また道を歩いていく。

 ぁ、そういえば名前も聞いてないや……。

 また今度聞いてみようかなぁ……。

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