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【コミックス3巻発売中!】採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~  作者: 一色 遥
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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353. 知らないけど、知っている

コミカライズ版『採取はゲームの基本です!!』の2巻が、8月24日に発売になります!

1巻を手に取ってくださった方も、まだ手に取ってない方も、ぜひぜひ手に取って読んでいただければ!

 フェンさんの勧めのまま、南通りの東側に足を進めた僕は、突然やってきた刺激に、顔をしかめた。


「いきなり来たなぁ……」


 ピリッとして、少し苦みや痛みと共に鼻につく独特の香り。

 嗅いだことのある匂いもあれば、覚えのない匂いもあり、まさに混沌とした謎の匂いの塊が飛び込んできた、という感じだ。


 多分、建物の配置と風向きの関係で、大通りの方には臭いが来づらくなってるんだろう。

 だから、こんなに強い香りでも、僕は今の今まで気づくことができなかった。

 ……つくづく視野というか、自分の見えてる世界って小さいんだなぁ。


「あの、アキ様? 大丈夫ですか?」

「あ、うん。大丈夫。ちょっと自分の小ささに凹んでただけだから」

「小ささ……大丈夫です、アキ様はまだまだ成長期ですから!」


 どこを見て言ってるのかな、シルフさんや?

 などという気持ちは微塵も顔に出さず、僕は「そうじゃなくてね?」と、僕の考えていたことをシルフに伝えた。


「なるほど……。でも、あえて匂いが蔓延しないよう、このような場所を選ばれているのかなと思いますし、見つけられなくても仕方ないのではないでしょうか?」

「まあ、そうなんだけどね……」

「それよりも、アキ様。早く見に行ってみましょう!」


 言いながらシルフは僕の腕を掴んでグッと前へと引っ張る。

 空中にいて踏ん張るところが無いはずなのに、彼女は僕の足をしっかりと前へ出させ……露店の立ち並ぶ広場へと身を滑らせた。


「おい、嬢ちゃん! キチョウな商品並べてんだ! コケたりしねぇように気ぃつけろ!」

「え? あ、はい! すみません!」


 そう、広場の入口すぐそばの露天商のおじさんに怒鳴られ、僕は咄嗟に頭を下げる。

 シルフの姿が見えないおじさんには、お店の目の前に僕が体勢を崩して近づいてきたように見えたんだろう。

 ……なんだか、すごい無駄に怒られた気分。


「あー、えっと……なんだか見たことないものばっかり、ですね?」

「あん? そりゃそうだろ! 南のジャワから持ってきてんだ、その辺に転がってるもんじゃねぇ!」

「この中で薬に使えるものって、あったりしますか?」

「クスリだぁ? うちは食材を売ってんだ! そんなもん余所で訊きやがれ!」


 シッシッと手で払われながら言われた言葉に、"取りつく島もない……"とすごすご退散。

 しかし、そんな僕らのやり取りを見てたのか、隣の屋台の方から「お嬢ちゃん、ちょっと良いかい」と声が掛かる。

 その声に隣を見てみれば、先ほどのおじさんと同じくらいの年齢のおじさんが、笑顔で手招いてくれていた。


「盗み聞きで悪いけど、お嬢ちゃんは薬の材料を探しているのかい?」

「はい。[下級ポーション]の材料を探していまして……」

「なるほどなるほど。しかし薬の材料と言われてもなぁ。そういったことに使えるのかもしれんが、私らはそのつもりで持ってきてないから分からないんだよ」

「あー……そっか、そうですよね。すみません」


 言われてみれば当たり前で、それはそう。

 ただ、僕からしてみれば"飲めるモノだから、食材なのも間違いじゃない"って感じなだけで。

 でもそれは、僕が実際に調薬をしてるからだろうし、やってない人からすれば"そもそも、そういった視点で見てない"ってことだ。


「いやいや、謝らなくて大丈夫だよ。むしろそう言った面でも使える商品があれば、私らとしても、売り先が増えるかもしれない。もしそうなら、とても良いことだから」

「そう、なんですか?」

「近隣に住んでる者なら残ってもそこまで苦じゃないだろうけど、先ほど君が話してた方はジャワから来てる。馬車でも数日……いや、あの荷物だと十日……そのくらいはかかる距離だから、売れてくれないと困っちゃうと思うんだ。だからこそ余計に……ピリピリしてるんだと思うよ」


 最後の言葉は身を乗り出して、内緒話みたいに小さな声でおじさんは口にする。

 言われて横目で先ほど追い払われたお店の方を見てみれば、僕の後に来たらしいお客さんには笑顔で、「香りも味も一級品なんでぇ!」と営業トークが炸裂していた。

 ……僕が悪いのはわかるけど、態度違い過ぎない!?


「それでお嬢ちゃん。君の探してる材料はどんなものなんだい? もしウチにあるようなら、是非買っていって欲しいね」

「他のものを混ぜてる可能性が高いので、絶対に"これ!"とは言えないんですが、水に溶かしたり煮詰めたりするとオレ……赤と黄色が混ざったような色になって、結構辛い味のもの、です」

「赤と黄色の混ざった色になって辛い……ジョンガの根がそんな感じになるね。すりおろしたり、刻んだりして料理に使ったりもするから、ウチに置いてるものだよ。ほら、コレ」


 そう言っておじさんが取り出してくれた手のひらサイズの根は……どうみても生姜だった。

 あ、ああー……。

コミックス1巻発売中!

ヤンチャンwebでも掲載してます。

無料で今までの話が読めたりするので、ぜひ読んでみてください!

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スタプリ!―舞台の上のスタァライトプリンセス
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