表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミックス3巻発売中!】採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~  作者: 一色 遥
第2章 現実と仮想現実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

217/350

221. 向きが違う

「ん?」


 ずっとまっすぐに進んでいくこと、あれから十数分ほど。

 だんだんと木もまばらになって、雑草の数が減ってきたところで、僕は妙な違和感を覚えた。


「ん? どうしたの、アキちゃん?」

「敵、いない」

「あぁ、うん。敵とかじゃないんだけど、変だなーって」


 立ち止まった僕に気付いて、2人もすぐ近くに寄ってくる。

 そして、僕の説明でもよくわからなかったのか、顔を見合わせて首を傾げた。


「変?」

「なにがー?」

「あぁ、えっとね。そこの雑草だけ、生えてる向きが違うなって」

「向き……?」


 ちょうどここから……ここまでと、実際に僕が行って示してみる。

 大体、半径2メートル弱の円かな?

 しかし、それを見てもまだ2人はよく分からないみたいに首を傾げていた。


「向きが違うって、何でわかるの?」

「あー、葉の方向とか茎の角度とか……」

「よくわからない」


 ハスタさんの質問に答えてみても、2人にはわからないみたいだ。


「えっとね、現実で言えば……ひまわりとかがわかりやすいかな? ひまわりが太陽の方向に花を咲かせるって話、聞いた事無い?」

「ある、かも?」

「僕も本で少し読んだだけで詳しくは知らないんだけど、光の当たる量で茎の中に生まれる成分に差が出るみたい。その関係で、茎の伸びる速度が変わって、太陽の方に向いて花を付けるんだって」


 実際は知らないんだけど、ひまわりは東向きに咲く……んじゃなくて、光の当たる方へと咲く。

 これは、群生地なんかで東から光が当たらないときは、西を向いたりすることがあるからだそうだ。


「つまり、今回も同じような事が起きてるとすれば……この辺だけど、環境が違うってことなんだよね」

「う、うーん……なんとなくは分かったけど……」

「環境が違うと、なにかあるの?」

「えーっと……そこは僕もまだ……」


 見た感じ、生えてる草の種類に違いは見られないから、光とか風の違いかな……?

 でも、円の形に綺麗に向きが変わってるってことは――


「あ、やっぱり」

「なになに、何かあったー?」

「しゃがんで向きを確認したらわかったけど、ちょうどここだけ木々に隙間があいてる」


 この島の中心には山があるんだけど、その山の中腹あたりに向けて、まっすぐに空間が空いている。

 まるで、何かが通ってるみたいにぽっかりと。


「あ、ホントだー!」

「ん」

「偶然かもしれないんだけど、一応メモして置いた方が良いかも」

「ラミナの地図に書いておく」

「ん、おねがいします」


 山の位置関係なんかから、大体の位置を確認して、地図にバツ印を付ける。

 位置的には……まだ解放されてない土の神殿の近く、かな。


「そういえば、土の神殿ってどうすることになったか知ってる?」

「たしか、今日の夜に攻略するって掲示板に募集があったかもー」

「2人は行くの?」

「んー……」

「行かない」

「じゃあ私も行かないかなー」

「そっか」

「でも、4つとも攻略したら、何か起きるんじゃないかーって噂だよー」

「そうなの?」


 話を切ろうとした僕に向けて、ハスタさんがそんなことを告げる。

 何かって、なんだろう……。


「うん。アキちゃんは気付いてないのか、仕様だと思ってるかもだけど、中心の山の中央だけまだ埋まってないの。不自然だな-って思って登った人もいたらしいんだけど、なんでか途中から登れないらしいよ」

「気にしてなかったけど、たぶん仕様なんじゃない? そこまでしかデータが無いとか」

「そういう人もいるけどねー。私は何か起きるんじゃないかって思ってるよー」

「ラミナさんは?」

「わからない。でも、起きたら面白い」


 そう言って、2人は笑う。

 登れない山……全部攻略したら登れるようになるのだろうか……?


「でも、登れるようになったとしても、僕は登らないかなぁ……」

「そこに山があるのに?」

「ハスタさんは登りそうだね」

「んー……現実じゃ登ろうとは思わないけど、こっちだったら登ってもいいかも。落ちても死なないし」

「姉さん。死ぬのは死ぬ」

「でも、ほら。現実みたいにそこで人生終了ってわけじゃないからー。 無茶もできるよねー」

「それはわかる」

「そ、そう……」


 破天荒なハスタさんの言葉に、ラミナさんが深く頷く。

 性格的には全然似てない2人だけど、やっぱり双子ってやつなのかなぁ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき、ありがとうございます!
スタプリ!―舞台の上のスタァライトプリンセス
新作連載中です!
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ