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【コミックス3巻発売中!】採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~  作者: 一色 遥
第1章 新しい世界と出会い

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21. 良薬は口に……?

 さてと、とりあえずはアルさんに渡した[最下級ポーション(良)]を増産するところから始めようかな?

 そう決めて、おばちゃんが片付けてくれていた道具類をもう一度広げ、薬草を1束手に取る。


 ざくざくと、1束切ってはまた1束切って……山積みになっていた薬草から5束ほど刻み続ける。

 そして、その間にシルフが用意してくれていた、水の入っている鍋を火にかけ、薬草を投入。

 あがってきた灰汁を取って、出来たら瓶に入れて、シルフに冷ましてもらう。


 その工程を繰り返し続け、50束を超えていた薬草は、おばちゃんが止めに来てくれるまでに、その数を15束まで減らしていた。


「あんた、熱心なのはわかるけど、根の詰めすぎは失敗の元だよ」

「え? あれ? もうそんな時間?」


 慌てて窓から外を見れば、すでに日は落ちているのか、見えるところ全てが真っ暗になっていた。

 ちなみに、どうやらシルフも気付いてなかったみたいで、視界の端で慌ててる姿が見える。


「しかし、なんでこんなに最下級ポーションの良品ばっかり作ってるんだい? あんた、すでに下級が作れるだろうに」


 その言葉に、片付けをしながら顔だけおばちゃんの方に向けて、アルさんからの依頼であることを僕は伝えた。

 それを聞いて、おばちゃんは少し苦笑いのような表情を見せて――


「なら、下級の良品を作れるようになった方がいいね。その方がもっと飲みやすいはずさ」

「そうなの?」

「そういうもんさ。あの苦味の中に、悪いやつまで入ってるからね」


 おばちゃんが言うには、最下級の不味さは薬草の中から、薬効成分の他にも色々しみ出してしまっているから不味い、ってことらしい。


「つまり、回復量が高いものは、基本的に味とか喉ごしとかがスッキリに?」

「そういうことさね。ただ、すっごい不味いモノの中にも効果が良いものがあるからね。全部がそうだとは言えないよ。あと、良品じゃなかったら、まだそれよりも下の良品のほうが飲みやすいって人もいるね」


 薬草をメインに使ったポーション系は、回復量が高ければ高いほど飲みやすいってことかな。

 ただ、良品じゃなかったら人によるって感じなんだね。


「んー、一度下級ポーションを飲んでみるかな?」

(そうですね。おばさまのご説明通りなら、最下級よりは飲みやすいはずですので)


 それに、飲んでみることで、どんな不味さかを感じることができれば、良品を作るヒントになるかもしれないし。

 そう思って、早速……とインベントリから先ほど作った下級ポーションを取り出す。


 よし、いざ――


「あんた、今からまたなんかする気かい?」


 瓶を傾け、飲もうとした僕の横から、いつもと違うおばちゃんの声が聞こえた。


「お、おばちゃん?」

「根詰めすぎは失敗の元だって、さっき言っただろう? なのに、こんな時間からまたなにか始める気かい?」


 その言葉、というよりも、その気迫に、急いで手に持っていた下級ポーションの栓をしてインベントリに仕舞う。

 それから、なんとか頑張っておばちゃんの機嫌を取り、今日のところはログアウトすることにした。


 ちなみに、シルフは僕が下級ポーションを仕舞うよりも前に逃げていたみたいだ。



「と、いうわけで……今日は下級ポーションの良品を目指そうと思います!」


 ログインして、まずはシルフと今日の予定の話。

 アルさんの依頼があったこともあり、下級ポーションは通常版と即効性の2つしか作っていない。

 おばちゃんが言うには、通常版でも最下級よりは飲みやすいみたいなんだけどね?


(まずは飲んでみて、味からヒントを得てみる、でしたよね?)

「そうだね。味が悪いなら不純物が混ざってる可能性が高いと思うし」


 実際、最下級は苦味が強く、原因と思わしき灰汁を取ることで良品になった。

 だとすれば、下級も同じように考えられるはず。


 それにもし違うなら、手順を変更したり、加えたりすれば良くなる可能性もあるだろうし……ひとまずは飲んでみてかな?


「よしっ!」


 早速インベントリから下級ポーションを取り出して、勢いのまま飲んでみる。

 見た目よりもドロッとした舌触りで、粘つきが強く……なかなか喉を通らない……。

 味は最下級よりも全然マシなんだけど、これは……。


 考えながらもなんとか飲み干して、心配そうに見てくるシルフに向かって頷く。


(だ、大丈夫ですか?)

「うん。味は全然マシ。ただ……これはたぶん、飲みにくいのがダメなのかも」

(飲みにくいのが、ですか?)

「そう。すっごい粘つきがあって、なかなか喉を通らない」

(つまり、下級は味よりも喉ごしが問題ということですか?)

「たぶんね。これは手順の見直しとか、分量とかの問題がありそうかも」


 そういえば、下級ポーションを作ったときって、なかなか混ざらなかったような……。

 アレが原因なのかも?

 たしか、水と油みたいに混ざらなくて、結局5分近く混ぜてたはずだし。


「あの時はたしか……温度が上がってきたら混ざりだした……? でも、その上でサラサラになるまで混ぜたけど……」

(アキ様。お手伝い致しますので、ひとつずつ手順を見直していきましょう)

「うん。そうだね。やってみようか!」


 お互いに頷きあい、僕らはおばちゃんの雑貨屋へと向かうことにした。


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スタプリ!―舞台の上のスタァライトプリンセス
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