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【コミックス3巻発売中!】採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~  作者: 一色 遥
第2章 現実と仮想現実

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118. 友達

『アキさん、他のメンバーは揃っているが……』

「す、すみません! 今、走ってますぅー!」

『急ぐのはありがたいが、コケたりしないよう気を付けて』

「はいぃぃ!」


 アルさんとの念話が切れ、少しだけ聞こえていた念話特有のノイズも消えた。

 シルフに空気抵抗を減らしてもらいつつ、広場の端を駆け抜ける。

 まさかこんな日に限って、ログインの時間がズレるなんて!


「ホントもう! 直前になって買い物を頼まれるとかっ!」


 ログイン直前に買い物を頼んできたお母さんに、毒づきつつ足を動かす。

 よし、広場を抜けた!

 この大通りをまっすぐ抜けていけば――ッ!


「わ、わっ!?」

「あらあら……」


 物陰から現れた人にぶつかりそうになり……腕の中にぽすっと受け止められる。


「アキちゃん、急に飛び出してくると危ないわよぉ?」

「す、すみません……」


 抱かれていた腕から離れ、一歩後ろに下がる。

 そして改めて相手を見れば、金と黒の髪をした細身男性……フェンさんがいた。


「もぅ……。女の子なんだから、VRとはいえ不用意にオトコに触らせちゃダメよぉ?」

「あ、はい……」

「うん。いい子」


 そう言って、フェンさんは優しく微笑む。

 それだけで、なんだか場の空気が軽くなった気がした。


「それでぇ、どうしたの? 急いでたみたいだけど」

「あっ! そうでした! あの、友達と約束してるんです!」

「あら、そうだったの? この間と同じ人?」

「そうですね。その人たちもいます」

「あらあら。アキちゃんには、いっぱいお友達がいるのねぇ」

「あ、その……そういえば今日はリュンさん、いないんですか?」


 フェンさんの言葉に返さず、僕は咄嗟に話を変えてしまう。

 その、僕の話をされるのが恥ずかしかったこともあるけど……なんだかフェンさんの笑う顔が、少し寂しそうだったから。


「リュン? あの子がどうかしたかしら?」

「あ、いえ……。フェンさんの友達って、リュンさんくらいしか知らないので……」

「……友達。 ふふ、友達……ね」


 何かがおかしいみたいに、フェンさんは口元を手で隠して笑う。

 なんだろ、何か変なこと言ったかな……?


「あの、どうかしました?」

「いえ、なんでもないの。ただ、アキちゃん……訂正しておくわぁ」


 そう言って、フェンさんは手で口元を隠したまま、笑うことだけをやめて、僕の方をジッと見つめ口を開いた。


「あの子は、友達じゃないわ。大事な……『ビジネスパートナー』よ」

「ビジネス、パートナー……?」

「ふふ。ほら、アキちゃん。お友達を待たせてるんでしょぉ? 早く行ってあげないと……」

「あ、そうでした! すいません、ではまた!」

「はぁい。またねぇ」


 口元を隠したままのフェンさんに頭を下げて、横を通り過ぎる。

 やばいやばい、すっごい遅れちゃった!


 でも、フェンさん……ああ言ってたけど、ホントにリュンさんと友達じゃ無いのかなぁ……?

 2人でいたとき、楽しそうに見えたんだけど……。




「ごめんなさい! 遅くなりました!」


 カランと軽い鈴の音を鳴らしながら、待ち合わせ場所の喫茶店……Aurora(オーロラ)の扉をくぐりぬける。


「お、やっと来たか。遅いで」

「ごめん。ちょっと途中で人に捕まって……」

「まぁええわ。時間はまだあるしな」

「アキさんは空いてるところに座ってくれ。全員揃ったところで、そろそろイベントの話をしようか」


 トーマ君に苦笑いしつつ、アルさんの指示に従って空いてる席に座る。

 場所的には、カナエさんの隣。

 近くには、リアさんやティキさん、キャロさん……ってここ女性ばっかり!?

 空いてた席がここだったから座ったけど、僕こっちに混ざるの……?


「まず、目的の自己紹介と行きたいところだが……。アキさんが来る前に済ませておいた」

「あ、はい」

「アキさんは全員とお知り合いですから。大丈夫ということになりまして……」

「なるほど、わかりました」


 フォローしてくれるカナエさんに頭を下げつつ、唯一立っているアルさんへと視線を戻す。

 どうやら、進行役はアルさんがやってくれるみたいだ。


「そこで早速だが、イベントの話に移りたいと思う」


 アルさんの言葉に、みんながそれぞれのタイミングで頷く。

 それを確認して、アルさんはまた口を開いた。


「ただ、まだ内容が分かっていないため、これと言って話が「せやったら、情報手に入れといたで」……ならトーマ、頼む」


 アルさんの話を遮って、トーマ君が声を上げる。

 広場の掲示板が更新されたってことじゃないのかな……?

 そうだったら、たぶんアルさん達も知ってるはずだし……。


「そんじゃ、ちょっと説明すんで。これは……住民と行商人に聞いた話や」

 

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スタプリ!―舞台の上のスタァライトプリンセス
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