妹、襲来④
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■こよみ視点
「あ、おかえり……」
ウチ達が家に帰ると、妹さんがおずおずと出迎えてくれた。
「うん、ただいま」
「そ、その……ただいま……」
「う、うん……」
……アカン、どうしてもぎこちなくなってしまう……。
それは妹さんも同じみたいで、やっぱりどこか落ち着かへんみたいや……。
すると。
「あ、そ、そうだ! お兄ちゃん、桃原さんも帰ってきたんだし、早くシフォンケーキの準備してよ!」
「そうだな……じゃあすぐ準備する……っていっても、生クリーム作らなきゃいけないから、ちょっと時間かかるけど」
「いいよそれでも! ホラ! 早く早く!」
そう言うて、妹さんは耕太くんの背中を押し、キッチンへと押し込んだ。
「あ、そ、その、桃原さん……少し、お話ししませんか?」
「う、うん、そやね……ウチも、お話ししよ思とったし……」
ウチと妹さんはリビングで向かい合わせに座る。
「「あ、あの!」」
アカン! 被ってしもた!?
「あ、桃原さんからどうぞ!」
「い、いや! その、さ、小夜ちゃんからどうぞ!」
あ……勝手に下の名前を、それも“ちゃん”付けで呼んで大丈夫やったやろか……。
「あ、じゃ、じゃあ私から……」
そう言うと、妹さん……小夜ちゃんが真剣な表情でウチを見つめる。
「そ、その! 桃原さんは、いつからお兄ちゃんとお付き合いされてるんですか!」
「はわ、え、ええと……正式にお付き合いさせてもろたんは、二、二か月前……」
いきなり小夜ちゃんからそんなこと聞かれるとは思わんかったウチは、少しだけ驚いてしもた。
や、やっぱり、ウチと耕太くんが付き合ってるのに反対、なんやろか……。
「あ、や、やっぱり本当に……」
小夜ちゃんは何か納得したかのようにそう呟いた。
「あ、あの! さ、小夜ちゃん!」
「は、はい」
「ウ、ウチ、こんなチンチクリンで見た目もこんなんやさかい、小夜ちゃんがウチのこと気に入らへん気持ちも分かる……せ、せやけど! ウチは耕太くんが好きなんです! 大好きなんです! ウチには耕太くんが全てなんです! せやから……せやから、ウチが耕太くんと付き合うこと、どうか許してください……!」
「チョ、チョット!?」
ウチは感情が抑えられへんようになってしもて、思わず小夜ちゃんに土下座して懇願した。
もう……もう、ウチは耕太くんとこのまま付き合えるんやったら、土下座でも何でもする。
せやから、せやから……!
「あ、そ、その、やめてください! わ、私はお兄ちゃんと桃原さんが付き合うこと、もう反対してませんから!」
「…………………………え?」
小夜ちゃんから出た言葉に、ウチは勢いよくバッと顔を上げた。
「あの……お兄ちゃんが正月に実家に帰って来た時、私達家族に『初めて彼女ができた』って報告してくれたんですけど……普通だったら嬉しそうにするはずなのに、お兄ちゃんすごくやつれてて、すごく疲れてて、目も虚ろで……」
それって……耕太くんがあのアホのアリスと付き合ってた時の……。
「私が心配してお兄ちゃんにいくら尋ねても、いくら問い質しても、お兄ちゃんは乾いた笑顔で『大丈夫』としか言わなくて……」
「うん……」
「ずっと気がかりだったんですけど、そんな時、急にお兄ちゃんが今まで住んでたアパートから引っ越して、ひょっとしたらお兄ちゃんがその彼女に騙されて、なにか大変な目に遭ってるんじゃないかって、居てもたってもいられなくなって、だけど、お兄ちゃんを訪ねる理由もなくて……」
ああ……そうやったんか……小夜ちゃんは耕太くんがホンマに心配で、それで……。
「だから、お兄ちゃんから桃原さんが彼女だって紹介された時、『ああ、コイツがお兄ちゃんをひどい目に遭わせた奴なのか』って思ったら、どうしても許せなくなっちゃって……だから、だから……だから、本当にごめんなさい!」
そう言うと、小夜ちゃんは額を床にこすりつけながらウチに謝った。
せやから。
「小夜ちゃん」
ウチは小夜ちゃんの名前を呼んで、彼女の身体を起こした。
「小夜ちゃんはホンマにお兄ちゃん想いの優しい子なんやね。そういうトコ、耕太くんにそっくりや」
「桃原さん……」
「せやから、そんな小夜ちゃんが許してくれるんやったら、ウチはこのままずっと耕太くんと付き合っていきたいし、そして小夜ちゃんともこれから仲良うしたいな」
そう言って、ウチはニコリ、と微笑んだ。
「は、はい! 私こそよろしくお願いします!」
「うん、よろしくお願いします」
良かった……小夜ちゃんに耕太くんとのお付き合い、認めてもらえた。
「そ、それだったら、桃原さんにお願いしたいことがあるんですけど……」
「ウチにお願い?」
い、一体なんやろ……やっぱり耕太くんとのお付き合いはアカンってことやろか……。
「その……“こよみお姉ちゃん”って呼んでも、いい、ですか……?」
顔を赤らめながら、小夜ちゃんはおずおずとそんなことを聞いてきた。
なんやねんもう! 小夜ちゃん、メッチャ可愛いんやけど!
「も、もちろん! いくらでも言うて! ウチもそう呼んでもらえたらメッチャ嬉しい!」
「は、はい! その、こよみお姉ちゃん!」
「はわ!?」
ア、アカン……! 小夜ちゃんが可愛すぎて、キュン死しそうになる……!
そして耕太くんがリビングに戻ってくるまでの間、ウチは小夜ちゃんとお互いについて色んなことを話した。
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次話は本日夜投稿予定です!
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