表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/186

妹、襲来③

ご覧いただき、ありがとうございます!

■こよみ視点


「ハア……ウチは何をやっとるんや……」


 ウチは部屋を出た後、コンビニには行かず、近所の公園のベンチで一人黄昏てた。


 多分、妹さんは耕太くんのことがホンマに好きなんやろ。


 せやからウチのことも、きっと気に入らへんやろなあ……。


 とは言うても、なんでウチは勝手に落ち込んで、いたたまれへんようになって、そんで部屋を飛び出してしもたんやろ……。


 こんなんしたら、耕太くんに迷惑かけるだけやし、妹さんにも印象最悪やろなあ……。


「……もし、妹さんにウチと耕太くんの交際を反対されたら、どないしよう……」


 耕太くんの口ぶりから、耕太くんが妹さんをホンマに大切にしてるんがよう分かる。


 それに、前に耕太くんからは聞いとった。


 耕太くんが料理上手な理由は、共働きのご両親に代わって、耕太くんがいつも家事をして、妹さんのお世話をしてたからやって。


 そんな環境やったんや。耕太くんが妹さんを大切にする気持ち、よう分かるし、妹さんが耕太くんを慕う気持ちもよう分かる。


 せやけど。


「ウチ……ウチ……!」


 妹さんに嫌われて、耕太くんと別れるなんてことになってしもたら、ウチ、もう生きていかれへん……!


 耕太くんがうちの傍からおらへんようになってしもたら、ウチなんかなんの価値もあらへん……!


 耕太くんがいてくれるから、耕太くんがウチのこと好きって言ってくれるから、ウチは自分が好きになれたんや。

 その耕太くんがおらへんようになるやなんて……!


「イヤや……そんなんイヤや……!」


 ウチの瞳から、ぽろぽろと涙が零れる。


 妹さんに嫌われたかどうかもまだハッキリと分かれへんのに、耕太くんと別れた訳でもあれへんのに、考えるだけで、想像するだけでウチの涙が止まらへん。


 その時。


「こよみさん……」


 息を切らして、ウチを見つめる耕太くんがいた。


 ◇


■耕太視点


「こよみさん……」


 思った通り、こよみさんは近所の公園にいた。


 ベンチに座りながら、涙を零して。


「こよみさん!」


 僕はこよみさんの元に慌てて駆け寄る。


「こよみさん、一体どうしたんですか!?」

「耕太くん……! う……うう……」


 するとこよみさんは、僕の胸に飛び込み、嗚咽を漏らす。


 僕はこよみさんの背中を優しくさすりながら、落ち着くまでそのまま抱き締め続けた。


 しばらくすると、こよみさんはようやく落ち着いたのか、泣き腫らした目で僕の顔を覗き込む。


「ウチ……ウチ……!」

「こよみさん……さ、帰りましょう。妹も、こよみさんのことを心配してましたよ?」

「妹さんが……ウチを……?」

「ええ。小夜は、こよみさんと仲良くなりたいそうです」


 すると、こよみさんは僕の胸に顔をうずめる。


「……ウソや……耕太くん優しいから、そう言うてるだけや……」

「違いますよ。僕がこよみさんに嘘を吐いたこと、ありましたか?」


 そう言うと、こよみさんはコクリ、と頷いた。アレ?


「え、ええと……こよみさん?」

「……納豆騙して食べさした……」

「あ……いや、あれは……」


 くそう、まさかあのことをまだ根に持ってただなんて……。


「……でも、それ以外は耕太くんが嘘吐いたこと、ない……」

「こよみさん……」


 こよみさんが僕の胸にゴシゴシと顔をこすりつけると、パッと顔を上げた。


「耕太くんごめんな……ホンマにウチ、メンドクサイ女で……っ! ん……」


 こよみさんがまた自分のことを卑下しようとしたので、僕は自分の唇でこよみさんの唇を塞いだ。


「ん……ちゅ……ぷは……」

「……こよみさん、僕もすいませんでした。僕の家族に会って、不安になっちゃったんですよね? なのに僕は、そんなこよみさんの不安に気づかないで……」

「っ! う、ううん、それはちゃうよ! 耕太くんは何も悪ない! 勝手に飛び出して勝手に落ち込んだ、ウチが悪いんや!」

「いえ、僕のせいです。もっとこよみさんの気持ちに気づいて、こんなことにならないように、ちゃんと気遣えば良かったんです。こよみさんにも、そして、小夜にも」

「耕太くん……」


 そうだとも。

 小夜の様子がおかしかったことに僕がちゃんと気づいていたら、小夜が何を考えていたか分かったはずなんだ。


 最初から小夜にちゃんと伝えて、こよみさんのことを知ってもらって、理解してもらえていれば、こんなことにはならなかったんだ。


 本当に、僕はバカだ。

 それを、こよみさんが飛び出して、こよみさんの涙を見ないと気づかないだなんて……。


「……もう、こんな失敗はしません。絶対に」


 僕は反省と決意を込めて、こよみさんを強く抱き締めた。


「……ウチも、ゴメン……って、そうやないな。ウチももっと強くなる……そして、もっと自分を信じる。耕太くんが信じてくれる、ウチ自身を」


 下から僕を見つめるこよみさんの瞳は、すごく力強くて、凛としていて、そして、地球上のどんな宝石よりも綺麗だった。


「さあ、帰りましょう」

「うん!」


 僕とこよみさんは手を絡め、強く握り合いながら部屋へと帰った。


挿絵(By みてみん)

お読みいただき、ありがとうございました!

次話は明日の朝投稿予定です!

少しでも面白い! 続きが気になる! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キネティックノベルス様から8/30発売!
どうぞよろしくお願いします!


【戦隊ヒロインのこよみさんは、いつもごはんを邪魔される!】
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ