告白、二人
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ダークスフィア四騎将の一人、怪人ゴライドウを倒した後、ようやく他の隊員達も到着し、園内は事後処理に追われていた。
そして、今回の最大の功労者であるヴレイピンク……こよみさんは、ゴライドウが放ったジオイヅナによってその一部が破壊された、ここ東京デスティニーワールドのシンボル、白雪姫城の前で、一人体育座りをしながらたたずんでいた。
そんな彼女の元に、僕は後ろからそっと近づき、そして。
「こよみさん」
「……………………耕太、くん……」
僕の呼びかけにこよみさんが振り向く。
彼女の顔は、涙で濡れていた。
「隣……いいですか?」
「…………………………(コクリ)」
こよみさんは視線を白雪姫城へと戻し、無言で頷く。
「白雪姫城、壊れちゃいましたね」
「…………………………」
「こよみさん、このお城にすごく思い入れがあるみたいですけど……」
そう切り出すと、こよみさんの身体がビクッとなった。
「……………………なあ耕太くん、ウチのメチャクチャカッコ悪くて、恥ずかしい話、聞いてくれる……?」
膝を抱え、顔をうずめたこよみさんが、おずおずと尋ねる。
「ええ、もちろん」
僕はすぐに首肯すると、こよみさん訥々と話し出した。
「ウチな、子どもの時、クラスの女の子がデスティニーワールドに行ったっちゅう話を聞いて……その時、その子が言うたんよ……『そこには白雪姫城いうところがあって、そこに行けばみんなお姫さまになれる』って……」
「…………………………」
「それからずっと、その白雪姫城いうんがどんなところかすごく気になって、お母ちゃんに聞いたりとか、色々調べたりしたんや。そんな時、テレビでデスティニーワールドの特集があって……」
こよみさんは少し顔を上げ、また白雪姫城を上目遣いに見つめる。
「白雪姫城が映し出されて、その中はホンマにお姫さまが住んでるみたいで……ああ、ウチもここに行ったら、お姫さまになれるかなって……」
そう言った後、こよみさんはまた視線を落とす。
「ウチの実家、奈良の山奥で修験者相手の民宿しとって、旅行とか行けへんかってな。お父ちゃんとかお母ちゃんにどんだけ頼んでも、連れてってくれへんかった。せやから、大きくなったら、その、彼氏さんと一緒に行こう……そう決めてたんや……」
「…………………………」
「……けど、無理やった。当たり前や。こんなチンチクリンで馬鹿力な女なんか、相手にしてくれる人なんておらへん……」
「それは……」
僕がすぐに否定しようとすると、こよみさんは人差し指を立て、沈黙を促す。
「……そんなんやさかい、このお城も、素敵な彼氏さんも、ウチには一生縁がない……そう思って諦めてた。せやけど……」
そして、こよみさんは僕を見つめた。
「……耕太くん、君に出逢って、そして……そして、今日、ウチの長年の夢が叶った」
「…………………………」
「でも……その夢の最後は、この有様や……多分、ウチが分不相応なこと考えたんがアカンいうて、神様がウチを戒めたんや……せやから……」
「違う!」
僕は大声で否定した。
だって、こよみさんが語る言葉が受け入れられなくて、許せなくて、絶対認められなくて。
そんな僕の態度に、こよみさんがハッとした表情になる。
それは、諦めていて、でも、否定してほしくて、だけど、そうじゃなかったら怖くて……そんな顔。
だから。
「なんでこれがこよみさんのせいなんですか!? 違いますよね、ダークスフィアのせいですよね! それになんですか! ここがこよみさんに一生縁がないと思ってた? だったら!」
こよみさんが苦しそうに、唇をキュ、と噛む。
だけど、僕は言わなくちゃ!
こよみさんの言葉、全力で否定しなくちゃ!
「僕は何度だってここに来ますよ! こよみさんと一緒に! 夏だって! 冬だって! 来年だって! 再来年だって! その次の年だって! ずっと……ずっと! だって……!」
僕はそっとこよみさんの肩を抱くと、こよみさんの身体がビクッ、となった。
そして——
「——こよみさん、僕はあなたが……あなたが世界中の誰よりも好きだから!」
「っ!?」
こよみさんが息を飲む。
「僕は……僕はあなたが大好きなんです! 誰よりも可愛くて、誰よりも優しくて、誰よりも素敵で、そして、僕が作ったご飯を最高の笑顔で食べてくれる……そんなこよみさんが、世界一大好きなんです……!」
「せ、せやけど! ウチはチンチクリンで、馬鹿力で、そんで、そんで……」
これ以上こよみさんに自分を否定する言葉は言わせない!
僕はこよみさんを少し強引に抱き寄せる。
「あ……」
「こよみさん……こよみさんは本当に素敵な女性なんです。それこそ僕にはもったいないくらいに……だから、僕はあなたの隣に立ちたい! あなたと支え合って生きていきたい!」
「…………………………」
「だから……僕と、付き合って、くれますか……?」
僕の心臓は、今まで聞いたことがないほど高鳴って、痛いほどに耳に響く。
僕とこよみさんを、静寂が包む。
すると。
「ウチ……ウチ……こんなんやけど……ええの?」
「こよみさんが……こよみさんだけがいいんです」
「ウチ……メンドクサイ女やし……また耕太くんに迷惑かけるかもしれへんよ……?」
「僕のために迷惑かけてくれるなんて、最高です」
「ウチ……耕太くんしかおれへんさかい、ずっと耕太くんに付きまとって、そんで、他の女としゃべっとったりしたら、絶対に嫉妬するよ?」
「こよみさんがずっと傍にいてくれるなんて、僕は本当に幸せです」
「ウチ……ウチ……!」
こよみさんが僕の胸の中に顔をうずめ、その小さな身体を震わせる。
「ウチ……ウチは……耕太くんが好き! 大好き! もう自分でもどうしようもないくらい好き! 耕太くんとずっと一緒にいたい! 耕太くんともっと触れたい! 耕太くんが……大好きい……!」
「僕もです! 僕もこよみさんが……こよみさんが、心から好きです!」
僕はこよみさんを強く抱き締める。
こよみさんも、それに応えるように抱き締め返してくれた。
世界一可愛くて、強くて、優しくて、そんな素敵な、世界一大好きなこよみさん……これからも、僕と一緒に、幸せになりましょうね。
お読みいただき、ありがとうございました!
次話は本日夜投稿予定です!
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