三人の乙女
GOMさんの作品とのコラボ企画!
「戦隊ヒロインのこよみさん」×「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」
第4話です!
「さあ……気を取り直してドンドンいくのじゃ! 次は帝国の魔の手によって追われた亡国のお姫様! ロリきょぬー二号の“ラーラ・ファビウス”なのじゃ!」
「にゃ! らーら、がんばる! そして……へいわ、とりもどす!」
距離を保ちながら狙撃をする武士さんに対し、変則的な動きで詰めるフォルさんのような姿をした女の子。
というか、参加者の中で一番まともな願い事なんじゃないだろうか。
そして、何事もなかったかのようにシレッと紹介を始めるチエさん……フリーダム!
「お次は異界技術捜査室のバイリンガルにして縁の下の力持ち! ただし、調子に乗るのが欠点の“フォルトゥーナ・フェーリス”じゃ!」
「アハハハハハなのですぅ!」
チエさんの紹介に合わせて高らかに笑いながらナパーム弾を闘技場全体に放つフォルさん。この人が一番ヤバイ。
「そして、対異界災害対策局のリーダーでみんなのお母さん! マムとキャラが被っているのはナイショじゃ! タイガー、“秋月貴子”なのじゃ!」
「うふふ……この闘いで、わたくしは永遠の若さを手に入れるのよ! メイ! あーちゃん! ラーラちゃん! たとえあなた達が相手でも、容赦はしないわよ!」
高らかに宣言する芽衣さん達のお母さんは、恐ろしいほど自分の欲望に忠実な方でした。じょ、女性って歳を重ねるとそうなる……って、女性陣が全員僕を見てる!?
「さらに! 異界技術捜査室一影の薄いワンちゃん! だから紹介も控えめなのじゃ! ヴェイッコ・スシ・カルヒ!」
「拙者だけ自己紹介がおざなりでござる!? ヒドイでござるよ!」
リーヤさんの放つ魔法を躱して何とか近づこうと様子を窺うヴィエッコさんだけど、さすがにこの扱いは見過ごせなかったのか、猛烈に抗議する。
といっても、チエさんは既にヴィエッコさんに興味を失くしたみたいだけど……。
「さあ! 寡黙なのは見た目だけ! 誰よりも食い意地を張った、正真正銘の白銀の乙女の登場じゃ! 勇者戦隊ヴレイファイブのソードマスター、ヴレイシルバー、“飯綱江”!」
「は、恥ずかしい……!」
エレンウェさんとつばぜり合いの体勢から、恥ずかしさのあまり俯いてしまう飯綱先生……うん、またファンが増えそうだ。
「最後に! 異界技術捜査室の良心にして鍋にはうるさい兵器オタクの小姑! “守部武士”なのじゃ!」
「鍋にうるさくないですし! 小姑でもないですからね!?」
ラーラさんのトリッキーな動きすらも誘導するかのような精密射撃でその行動範囲を制限していく武士さん。兵器オタクは否定しないんですね。
そんな十三人は、互いに入り乱れながら、得意とする技を放っていく。
その様相は、さながら某格闘ゲームと遜色なかった。
え? 青乃司令?
青乃さんは……うん、みんなから真っ先に集中砲火を浴びて、早々にリタイアしております。
「ん? そういえば、どうしてコウタ殿は参加しないのじゃ?」
チエさんが不思議そうに僕を見るけど……。
「い、いえ、僕は戦闘は得意ではないですから……」
「そうかの? 全員同じ能力じゃから、コウタ殿でもワンチャンあったのじゃ!」
うーん、そうかもしれないけど……。
「いえ、やっぱり出ないです。だって」
「? だって?」
「こよみさんが以前言ってくれたんです。僕のこの手は、こよみさんを幸せにする大切な手、だって」
僕は両手を見つめながら、ゆっくり握った。
うん……僕の手はこよみさんを幸せにするために、こよみさんに『美味しい』って言ってもらえるような料理を作るためにあるんだ。
「なるほど! そうかそうか! 確かにそれも、一つの“強さ”じゃのう!」
僕の言葉に、チエさんがウンウンと頷く。
「あ! そうだ!」
今の話をしていて、いいことを思いついたぞ!
「チエさん、実はお願いしたいことがあるんですが……」
「ん? なんじゃ?」
僕は実況席に近づき、チエさんに耳打ちする。
「おお! それはよいのじゃ! というか、ワシが嬉しいのじゃ!」
「じゃあ……」
「うむ! 任せるのじゃ! そんなもの、すぐに用意するのじゃ!」
うん、さすがはチエさん。
じゃあ、僕は僕にしかできない闘いをしよう。
◇
「なあなあ耕太くん、ニンジンはこうやって切ったらええんかな?」
こよみさんが縦に半分に切ったニンジンを一枚だけ櫛切りにして、僕に見せる。
「そうですそうです、上手ですよこよみさん」
「えへへ……」
うん、照れるこよみさん、可愛いなあ。
「ええと……コウタくん、何を作ってるの?」
「はい。せっかくなので、お疲れ様を兼ねておにぎりと豚汁でも作ろうと思いまして」
僕はこんにゃくを手で一口サイズに千切りながら、武士さんに説明する。
「へえ、じゃあ僕も手伝っていいかな?」
「はい! ぜひお願いします! では武士さんは、おにぎりをお願いしてもいいですか?」
「うん、任せて。具はこれでいいのかな?」
「はい」
ということで、強力な助っ人を得た僕は、おにぎりを武士さんに任せてテキパキと豚汁作りに励む。
「あら、じゃあワタクシもお手伝いするわ」
「助かります!」
今度は芽衣さんのお母さんが名乗り出てくれた。
うん、大分はかどるなあ。
「えへへ、耕太くん楽しいなあ」
「そうですね、こうやってみんなで作るご飯もいいですね」
「うん!」
そう、あれからバトルロイヤルでは選手が次々と脱落していき、今では三人だけとなっていた。
まずは一人目、リーヤさん。
リーヤさんは持ち前の多彩な魔法で、適切に距離を保ちつつ遠距離からの攻撃で確実に仕留めて行った。
「此方は絶対に負けないのじゃ! タケと幸せな家庭を築くためにも、絶対に負けられないのじゃああああ!」
リーヤさんが、残る二人に向けて可愛らしい声で咆哮する。
はい。武士さん、照れてないで手を動かしてくださいね。
二人目、秋月芽衣さん。
彼女もその槍から繰り出す特殊攻撃で、スピードを活かして翻弄し、相手を倒した。
「あと少しで優勝なのー! お兄ちゃんとあまあまするの!」
「そういうこと言うのヤメロ!」
恥ずかしいのか、変身を解いた昭さんは真っ赤な顔で芽衣さんを窘めた。若いなあ……って、僕もまだ二十歳だけど。
そして……最後の三人目は飯綱先生。
先生も二本のショーテルから繰り出す見事な剣技とスピードで、危なげなく他の選手を倒していった。
「あと少し……あと少しで上代くんと……! 負けん! 私は絶対に負けられないんだああああ!」
イヤ、何言ってるんですか!?
大体僕には、こよみさんがいるんですからね!?
そして。
「いくのじゃ!」
「いくのー!」
「参る!」
三人がそれぞれ最後の力を振り絞り、想いと力が闘技場で交錯する。
決着の時は近い。
……おっと、早く作り終えないと。
お読みいただき、ありがとうございました!
ラストとなる次話は22時を予定!
なお、異世界CSIの武士視点の番外編は下記からお読みいただけます!
物語本編と一緒にどうぞ!
「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」
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