最終決戦!怪神デミウルゴス!③
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「っ! 今です!」
「やああああああああ!」
僕の合図で、こよみさんは雄叫びを上げながらデミウルゴスに突撃する。
“第二形態”への移行のために硬直している今なら隙だらけだっ!
そして。
「グムウッ!?」
“ブリューナク”はデミウルゴスの胸に深々と突き刺さった。
「よっしゃあ! ……って、な、何や!?」
喜びの声を上げたかと思ったら、こよみさんは突然困惑した表情に変わる。
「ど、どうしました!?」
「か、感触があらへん……」
「感触? ……ああっ!?」
見ると、“ブリューナク”が突き刺さった箇所の周辺の“肉”が、突然ドロドロと溶け出し、真下に流れ落ちていく。
こ、これは一体!?
「だからイヤなんだよ……いくら『DS-n細胞』で補完するといっても、自分の“肉”をそぎ落として、別の身体に作り替えるだなんて……」
「何だって!?」
バ、バカな!?
『DS-n細胞』は本来、肉体に“結合”する性質のものだぞ!?
だから、『DS-n細胞』そのものが本来の肉体に成り代わるなんてことはあり得ない!
なのに……!?
「あ、クフフ……優秀な上代くんでも、これは分からないかもしれないね。多分、君はこう思っているんじゃないか? 『DS-n細胞』が本体そのものになるなんてあり得ないって」
「っ!?」
元の肉体をボトボトと下へと垂れ流しながら含み笑いをするデミウルゴスに、僕は思わず息を飲む。
「だけどね? それが可能なんだなあ……だって、私は“神”なのだから」
そう言うと、デミウルゴスがあり得ない角度に首を曲げ、ニタア、と口の端を吊り上げてこよみさんを見た。
「うわっ!? 気持ち悪っ!?」
こよみさんは“ブリューナク”を引き抜くと、慌てて僕達の元に戻ってくる。
そして、全ての“肉”が流れ落ち、デミウルゴスは剥き出しの内臓と骨のみとなった。
だけど……。
「あ、あれは……!」
どうやら飯綱先生も気づいたようだ。
そう、あれは……。
「……骨と内臓が、いや、身体の全てが『DS-n細胞』でできている……?」
「正解」
そう呟いた瞬間、突然デミウルゴスの身体を『DS-n細胞』の膜が覆う。
その膜はみるみるうちに膨張し、直径十メートル前後の球体になった。
「い、一体何なの!?」
「だから言ってるじゃないか。私は“第二形態”に移行しているんだよ」
先輩の叫びに、球体の中からデミウルゴスがとぼけた声で返答すると、膜の球体は柑橘系の果物の皮を剝くようにペリ、ペリ、と剥がれていく。
そして。
「フウ……ホント、この形態への移行は不便だなあ。オマケに、こんな見た目だし」
中から現れたのは、“第二形態”に変化したデミウルゴスだった。
髑髏の身体を漆黒の鎧で包み、下半身は馬の骸骨に変化していた。
そして、右手には骨のようなものでできた大剣を、左手には同じく骨でできた六角形の盾をそれぞれ持っていた。
その姿はまるで。
「骸骨の騎士……?」
先輩がポツリ、と呟く。
「うん、そうだね。この姿が私の第二形態、“デミウルゴス=ペイルライダー”とでも言っておこうかな」
「“ペイルライダー”……」
その名前って……。
「フン……死を司るとでも言いたいのか……!」
飯綱先生がデミウルゴスを睨みながら叫んだ。
「ああ、そうだよ。私はこの地上の、全ての人間の死を司る。だって、私は全ての生物の頂点に立つ、“神”なんだから」
デミウルゴスはカタカタとその剥き出しの顎を鳴らしながら、さも当たり前だと言わんばかりにそう語る。
まさに傲慢。
まさに不遜。
このデミウルゴス……いや、高田光機という男は、なぜそこまで勘違いできるのか、不思議でならなかった。
「一つ尋ねるけど……」
「オヤ? なんだい上代くん」
「オマエはどうして、自分を“神”だと自信を持って言えるんだ?」
「どうしてって……ハア……」
僕の問い掛けに、デミウルゴスは薄く口を開き、深い溜息を吐いた。
「聞いてなかったのかい? 私は全ての生物の頂点に立つんだよ? それだけじゃない、私は人間を超える存在である“怪人”も生み出すことができる。そんな超越した存在である私を“神”と呼ばずして、なんと呼ぶんだい?」
なんと呼ぶかって?
そんなの。
「……“愚者”、じゃないのか?」
その言葉を聞いたデミウルゴスは、ガキン、と思いきり歯を噛み鳴らした。
「”愚者”!? ”愚者”だって!? この私が!?」
「そうだけど?」
キョトンとしながら僕がそう答えると、デミウルゴスが風のように疾走して僕に詰め寄る。
「っ!? 耕太くん!?」
慌てて僕の前に割って入ろうとするけど、デミウルゴスは一足早く大剣の切っ先を僕の喉元に突きつけた。
「動くな」
「な!? ……クソアホンダラッ!」
デミウルゴスの低く唸るような声と、身動きできない状況に、こよみさんが悪態を吐いた。
「答えろ。この私のどこが“愚者”だと言うんだ?」
「決まってるよ。オマエは人間より優れた“怪人”を生み出せると自慢するけど、所詮は反町一二三にも劣るし、何より、オマエは万能じゃない。大体、その“第二形態”とやらになれたのだって、アリスの『DS-n細胞』を吸収したからじゃないのか?」
「…………………………」
僕の言葉に、デミウルゴスは無言になる。
だが、大剣の切っ先からは異様なほどの殺気を感じた。
「そもそも『DS-n細胞』だって、反町一二三が開発したものなんだぞ? それなのに、他人の手柄をさも自分の功績だとばかりに自慢して、あまつさえ自分を“神”だと名乗るなんて……厚顔無恥とはこのことだよ」
そう言うと、僕へと突きつける大剣が小刻みに震える。
さっきもそうだけど、デミウルゴスは無駄にプライドが高いせいで、煽り耐性が全くない。
……この辺り、闘う上で狙い目、かな。
「そんなオマエに“デミウルゴス”という名はふさわしくない。オマエが名乗るべきは、偽の神“ヤルダバオート”そのものだよ」
「キサマあっ!」
とうとう堪えきれず、デミウルゴスはその大剣を大きく振りかぶった。
あーあ、冷静に一突きすれば、簡単に僕を殺せたのに。
そんなだから。
「っ!?」
「させへんっ!」
こよみさんが今度こそ割って入り、デミウルゴスがその大剣を振り下ろす前に“アイギスシールド”で押さえつける。
そして僕は、先輩のヴレイウィップでその場から退避した。
「さあ! 第二ラウンドの開始や! 今度こそオマエの息の根を止めたる!」
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次話は明日の夜更新予定です!
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