怪人グリフォニア②
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■グリフォニア視点
「……そして、ピンクの“ブリューナク”により、カネショウ……並井十蔵は消滅いたしました」
「そうか……」
司令室で事の顛末を報告すると、高田様は椅子に深々ともたれかかった。
「ふふ……だがグリフォニアよ、随分と嬉しそうな顔をするじゃないか」
「お戯れを……」
ええ、高田様がおっしゃったように、私の胸中は歓喜に震えておりますとも。
あれほど私を辱め続けた並井十蔵が、髪の毛一本残らず、この世から消滅してくれたのですから。
ですが……。
「口の軽いあの男のせいで、ヴレイピンクに高田様のことを知られてしまったのは痛いところですね……」
「ふふ、それは些細なことだよ。だって、もうアリスは完成するんだ。そして、それによってこの私も」
「はい」
そうでした。
アリスもまもなく第四段階の怪人化を終えて生まれ変わり、そして高田様も……。
「……だが、“ヴレイヴブロッサム”とあの“ブリューナク”の威力は特筆すべきではある。さすがは反町一二三の最高傑作ではあるな」
「はい……それに、あの“アイギスシールド”も……」
「うん……アリスはアレを打ち破ることはできるかな?」
「それはもちろん! アリスは……アリスこそは高田様の最高傑作です! 高田様のお力が、あの反町一二三に劣っているとは、到底思えません!」
「ふふ、ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
「高田様……んっ……はあ……ちゅ……」
ああ……高田様が私を求めてくださっている……!
あのおぞましい並井十蔵とは違い、高田様の全てが愛おしい。
このまま、永遠に溺れていたい……。
◇
高田様と私は、お互い裸のまま並んでソファーにもたれる。
「高田様……」
「ふふ……グリフォニア、まだ足らないかい?」
「……はい」
そう言うと、彼の手がまた私の身体をまさぐり始める。
「ああ……!」
「ふふ……っ!?」
突然、高田様が身体を起こし、司令室の扉を睨みつける。
「……誰だい?」
「…………………………」
扉の向こうに誰かがいる!?
私はすぐさま怪人へと変化すると、臨戦態勢をとる。
「高田様……」
「やれ」
私は背中の翼を大きく羽ばたかせると、巨大な爪へと変化させた右腕で扉を引き裂く。
扉には四本の筋が走り、その向こう側が露わになる。
だが。
「いない……?」
扉の向こう側に人の姿はなく、ただ私のデスクと観葉植物だけが見え……ハッ!?
「くうっ!?」
咄嗟に両腕で庇うと、そこに長さ三十センチ程度の針が数本突き刺さった。
「この針……まさか!?」
私は慌てて高田様を庇うように立つ。
「ガネホッグウウウウ! 貴様かああああ!」
私がそう叫ぶと、扉が激しく破られ、ヌウ、と巨大な姿が露わになる。
巨大な頭に長い鼻、異様なほど太い手脚、そして、全身は先程受け止めた針で覆われている。
「……グリフォニア」
「ガネホッグウウウウ!」
私はガネホッグ目がけ突進すると、両手の爪を突き出す。
いかにガネホッグの針が鋼鉄より固いとはいえ、私の爪も鋼鉄すら易々と切り裂く代物だ。
奴の身体に、風穴を開けてやるっ!
「フンッ!」
ガネホッグは鼻息荒く全身に力を籠めると、射出された針が私へと迫る。
「舐めるなあああ!」
私は翼を大きく羽ばたかせて身体を弾丸のように回転させ、襲い掛かる針を全て弾く。
そして。
「ああああああっ!」
私の爪がガネホッグの身体へと突き立て……られていない!?
「……俺は三回目の怪人化を果たしているぞ?」
「な!?」
「フン!」
「キャアアアアアアアア!?」
私の身体に、ガネホッグの鼻が横から薙ぎ払うようにぶち当たる。
私はそのまま壁へと叩きつけられ、ずるずると床へと滑り落ちた。
「う、うう……高田、様……」
私は彼の身を案じ、彼を見据えると。
「な!? ガハ!?」
「よそ見はいけないな」
高田様はいつの間にか“かの姿”へと変貌し、ガネホッグの鼻を切り落とし、その肩に腕を突き刺していた。
「き、貴様……!?」
「ふふ……どうだい、なかなかの姿だろう?」
あのガネホッグよりも大きく姿を変えた高田様が、せせら笑いながらガネホッグを見下ろす。
「さて、ネズミは駆除しないとね」
そう言って高田様が左腕をガネホッグへと振り落とした時。
「ムッ!?」
突然ガネホッグがスタングレネードを投げ、司令室の中が閃光に包まれる。
その光を見てしまった私と高田様はしばらく目を開けることができず、ようやく目が慣れてきた頃には……ガネホッグの姿は消えていた。
「ふ、ふふふ……ハハハハハ! 反町一二三よ! これは私への宣戦布告、ということか!」
高田様が嬉しそうに高笑いする。
その猛々しいお姿を眺め、あの時のことが蘇り、私の全身が得も言われぬ快感で疼いていた。
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次話は明日の夜投稿予定です!
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