怪人カネショウ④
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「ちょ、ちょっと待て! 並井十蔵、それはどういう意味だ!?」
僕はこの男が放った言葉……こよみさんが“ファースト”だって言葉が離れない。
「ク、ククク……儂ガ財産ノ全テを投ゲウッテ研究シタ『DS細胞』ト、ソレヲ発展サセタ『DS-n細胞』、ソノ開発ノタメニ選バレタ被験体ノウチ、数少ナイ成功例トナッタ五人……ソレガ“ファースト”ダ」
「そ、そんなことは知っている! そうじゃなく、どうしてこよみさんを“ファースト”と呼んだんだ! こよみさんは怪人じゃないだろ! 取り消せ!」
「こ、耕太くん!」
僕は怒りのあまり並井十蔵につかみかかろうとしたけど、こよみさんに制止される。
「フハハハハハハ! 滑稽! 滑稽ジャ! 何モ知ラントイウノカ! 本当ニオメデタイ連中ジャ!」
何も知らずに戸惑っている僕達の様子がよほど愉快なのか、笠井十蔵は高らかに笑う。
「ソウジャ! ソコノヴレイピンクハ、アノ反町一二三ガ見出シ、ソノ技術ト知識、全テをツギ込ンダ最高傑作、“ファースト”ノラストナンバー、“ヴレイヴブロッサム”ジャ!」
「嘘だ!」
僕はこの男の発言を全否定したくて、受け入れたくなくて、遮るように大声で叫ぶ。
「本当ジャ! ソヤツガヴレイピンクヲシテイルコト、偶然ダト思ッテイルノカ? ソヤツハ“アノ御方”ガ“ヴレイヴブロッサム”ヲ超エル怪人エヲ生ミ出スタメ、ソノ研究トデータ検証ヲ行ウタメニ、研究中ニ死ンダコトニナッテイタ“ヴレイヴブロッサム”ヲ見ツケ出シテ引キ入レタノジャ!」
「嘘だ! 嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ——————!」
僕は認めない! 絶対に認めない!
僕が好きな……僕の大好きなこよみさんが怪人だったなんて!
「フハハハハハ! ショックカ! 惚レタ女ガ、マサカ人間デナク怪人ダッタコトガソンナニショックカ! 愉快! 愉快……ギャ!?」
「お前……お前、ちょっと黙れよ!」
笑い転げる並井十蔵に対し、先輩がその腹を思いきり蹴り上げた。
そしてこよみさんは……ただ茫然と立ち尽くしている。
「……ああ、お前の言う通り、僕はショックだよ」
そう呟くと、こよみさんの身体がビクッとなる。
「ソレハソウジャロウ、所詮人間ト怪人デハ、相容レルワケナイカラナア?」
「オイ……お前、何か勘違いしてないか?」
「勘違イ、ジャト?」
「ああそうだ! 僕が怒っているのは、僕の大好きな……世界一大好きなこよみさんにこんなつらい思いをさせて、お父さんやお母さんも悲しませて、そして、今なお下らない理由でこよみさんを巻き込んで……ああもう! 僕は! 僕は……!」
ダメだ、感情がグチャグチャで上手く言葉がまとまらない!
僕が本当に言いたいのは……!
「こ……耕太……く、ん……」
こよみさんが身体を震わせ、僕の名を呼ぶ。
そうだよ……僕がまず最初に言わなければいけないこと……。
それは。
「貴様等! 一人残らず僕とこよみさんで潰してやる! 髪の毛一本でも残してやるものか! それとなあっ! 人間と怪人が相容れない? ハッ! 僕とこよみさんはなあ! そんなもの関係ないくらい、大好きなんだ! 愛してるんだよ! 何があっても! 誰であっても! 引き離せると思うなよ!」
そうだとも! 僕が好きなのは、“人間のこよみさん”じゃない!
“こよみさんそのもの”が世界一大好きなんだ!
そして、こよみさんを不幸にした全員を、世界一許せないんだ!
だから……だから!
「こ……こう、た……くう、ん……こうたくうううううん……!」
ヴレイピンクのマスク越しに、こよみさんの号泣する声がこだまする。
僕はこよみさんを思いきり抱きしめた。
「耕太くん! 耕太くん! うわあああああああああん!」
「こよみさん! こよみさん……!」
僕達はお互いを抱きしめ合いながら泣き続ける。
「フハハハ! ドレ程粋ガッタトコロデ、事実ハ変ワランノ……グギャ!?」
「黙れええええええええええ!」
先輩が叫び声とともに並井十蔵の身体をズタズタに引き裂く。
もはや虫の息となった並井十蔵の目が、その光を少しずつ色あせていく。
「……並井十蔵、最後に一つだけ答えろ。こよみさんをモルモットにした、お前の言う“あの御方”というのは誰だ!」
「フ……フハ……オオ、言ッテヤルトモ……! “アノ御方”コソ、儂ニ不老不死ヲ与エテクダサル御方……高田……光……アエ!?」
その黒幕の名を最後まで告げられないまま、笠井十蔵の頭に“ブリューナク”が突き刺さり、そして、全てが消滅した。
「耕太くん……ウチ……ウチ……怪人、やったあ……」
「こよみさん! こよみさんはこよみさんです! 僕の大好きな、世界一大好きなこよみさんなんです!」
「せやけど……せやけどお……!」
「僕はこよみさんと一緒になるんです! 添い遂げるんです! 僕には……僕には、こよみさんだけなんです……!」
「耕太くん……耕太くん……」
「こよみさん……こよみさん……」
先輩だけが見守る中、僕達は二人抱き合ったまま、その場でただ泣き崩れていた……。
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次話は明日の夜投稿予定です!
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