怪人カネショウ②
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■カネショウ視点
「……ナンジャ?」
誰かが本部にやってきたようだ。
儂は老体に鞭打って無理やり身体を起こし、扉へと目を向ける。
すると。
「カネショウ、ごきげんよう」
「貴様カ……」
現れたのは、予想通りグリフォニアの奴だった。
「ナンジャ、『DS-n細胞』ヲ儂ニ返シテクレルノカ?」
「フフフ、いいえ? まだアリスの進化が終わっていませんから、もうしばらくかかりますよ。それより、あなたにお願いしたいことがありまして」
「フン、オ願イダト?」
どうせ碌な頼み事じゃないんだろう。
儂はグリフォニアを忌々し気に睨みながら、軽く鼻で笑った。
「ええ、あなたにはヴレイピンク=ヴァルキュリアの抹殺をお願いしたいのですが」
「ナンジャト!?」
儂にヴレイピンクの相手をしろと!?
この、『DS-n細胞』を抜かれて出涸らしとなっているこの儂に!?
「ム、無茶ダ! コノ身体デアヤツトマトモニ闘エル訳ガナイダロウ!」
「ふふ……彼女には決定的な弱点があるじゃないですか」
「弱点……ダト?」
「ええ、“上代耕太”という弱点が」
「ッ!」
ナンダト!? アノガキヲ人質ニスルトデモイウノカ!?
「ダ、ダガ、ソレハ逆効果デハ……」
そうだとも。そんなことをすれば、むしろあのヴレイピンクの潜在能力を引き上げることになるおそれが……!
「ふふ……だから良いんじゃないですか」
グリフォニアはさも愉快そうに微笑む。
「ナ!? ソ、ソレデハ貴様、儂ヲ当テ馬ニスルツモリカ!」
「ええ、その通りです」
「バ、バカナ! 今マデ“アノ御方”ニコレホド貢献シテキタ儂ヲ、捨テ駒ニスルノカ! 大体、“アノ御方”ガソンナコト認メルハズガ……!」
「ええ、“あの御方”はあなたを捨て駒にせよとはおっしゃっていませんよ?」
「ナ、ナラ!」
「ですが、こうもおっしゃいました。『グリフォニアに全て一任する』と」
「ッ!?」
そ、そんなの、“あの御方”は儂を切り捨てると言っているも同然ではないか!?
「フ、フザケルナ! コレホドマデニ陰日向ニ“アノ御方”ニ貢献シテキタコノ儂ヲ……“並井十蔵”ヲ切リ捨テルトイウノカ!」
「誰もあなたを切り捨てるとは言っておりませんが?」
「言ッテイルノト同ジデハナイカ!」
そんな……そんなことになってしまえば、儂の若々しい不老不死の身体……ハッ!?
「ナ、ナラ、儂ノ『DS-n細胞』ハ!?」
「ふふ……ですから、それはあなたがヴレイピンクを無事倒せるかどうか、それにかかっていますよ」
クソッ! 結局やるしかないのか……!
「ワカッタ……ダガ、コレダケハ約束シロ! ヴレイピンクを屠ッタアカツキニハ、『DS-n細胞』ヲ必ズ儂ノ身体ニ戻スコトヲ!」
「ええ、もちろんすぐにでも」
ならば、こうしてはおれん!
儂は重い身体を動かし、部屋を出る。
「ヴレイピンク……ドンナ手段ヲ用イテモ、コノ儂ガ貴様ヲ殺シテヤル……!」
◇
■グリフォニア視点
「ふふ……あはははは! 本当に老害も甚だしいですね! もはや組織に居場所などないというのに!」
ダメですね! あまりにも滑稽過ぎて、笑いが止まりません!
「そもそも、今まで“あの御方”のパトロンとして君臨してきたのに、気づけば“あの御方”に取って代わられ、今まさにその命を散らそうとしているのですから!」
この国の政財界の頂点に君臨していた男が、ただの老害となり、さらに人ですらなくなったなれの果て。
私の全てを奪い、蹂躙し、私を玩具として扱ってきた、並井十蔵のなれの果て。
“あの御方”が私を見いだし、救い出してくださらなければ、今もあの男のペットだったかと思うと、めまいと吐き気が治まらない。
だが。
「フ、フフフ……精々無様に踊って、そして、無残に跡形もなく散ってください。二度とこの世に痕跡すら残さないほどに」
それで、私の想いは成就する。
私はこの汚泥の底から、とうとう這いあがれるのだ。
……たとえ既に人でなくなったとしても。
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次話は明日の夜投稿予定です!
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