帰宅
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「ウーン、やっぱり家は落ち着くなあ!」
部屋に帰り、こよみさんが大きく伸びをする。
「そうですね、この部屋は僕とこよみさんだけの空間ですから」
「うん……えへへ……」
そう言うと、こよみさんは僕の傍に寄ってギュ、と抱きついた。
なので僕は、慈しむようにこよみさんの頭を優しく撫でる。
「色々、あったね」
「そうですね、色々、ありました」
僕達は今回の旅行で、とうとう一つに結ばれた。
僕は今、どうしようもない幸福感で一杯になっている。
「なあ、耕太くん……キス、しよ?」
「はい……」
「ん……ちゅ……」
――ピンポーン。
「……まさか」
「……だ、だけど僕達が帰ってきたの、ついさっきですよ!?」
な、なんであの人は僕達が帰って来たのを知ってるんだ!?
――ピンポンピンポンピンポン。
「あああああ! やっぱりアイツや!」
「なんでこういつもいつもこのタイミングで!」
僕とこよみさんは思わず頭を抱える。
――ドンドンドン!
「二人とも帰って来たんでしょ!」
ああもう! いつもいつも邪魔して!
「こ、耕太くん……怒るのはごもっともやけど……」
「え?」
ぼ、僕、そんなに怒ってたかな……。
「はあ……とりあえず、出てきますね……」
僕は渋々玄関に行き、ドアを開ける。
「ヤッホー! お土産もらいに……」
「さようなら」
「ちょ、ちょっと!?」
僕はそのままドアを閉めようとしたら、先輩が無理やり身体をねじ込んで阻止した。
「ええと、僕達は帰って来たばかりでやることがあるんですが」
「何だか今日の上代くん、すごく冷たくない!?」
冷たい? 仮に僕が冷たいとしたら、それは先輩が僕達の時間を邪魔したからです。
「こ、耕太くん、入ってもろたらええやん」
「はあ……先輩、どうぞ……(チッ)」
「やっぱり上代くんどうしたの!?」
こよみさんがそう言うので、僕は渋々先輩を中へと招き入れた。
先輩、こよみさんに感謝するんですね。
「(……ね、ねえねえピンク、一体上代くんはどうしたの!?)」
先輩はこよみさんの傍に寄り、耳元でヒソヒソと話してますけど、聞こえてますからね?
というか、僕のこよみさんにちょっと近寄り過ぎじゃないですかね?
「(そ、その……えへへ……)」
「(はあ……邪魔しちゃったわけね……)」
先輩よくそれで分かりましたね!?
「ま、まあ二人には悪かったとは思うけど……お土産もそうなんだけど、ちょっと相談したいこともあって」
そう言うと、先輩は真剣な表情になる。
「相談って?」
「うん……ほら、私達が休暇に入ってからもう二週間以上になるけど、まだ怪人が現れてないでしょ?」
「え? この前もなぜか京都で……」
「あんなのノーカンよノーカン! とにかく、怪人が首都圏に一度も出現していない……こんなこと、今までなかったでしょ?」
そう言われてみれば……。
「……たしかにおかしいですね」
「そうなの! まるで、私達の休暇と合わせてるみたいじゃない?」
うん……先輩が言いたいこと、少しだけ分かったかも。
「つまり先輩は、司令本部が意図的に僕達を休暇にして、怪人が出ないように調整していた……そんな風に考えているんですね?」
「う、ううーん……そ、そこまでではないけど、それに近いところまではあるんじゃないかって……」
僕の指摘に、先輩は少し言い淀む。
まあ、高田司令とは先輩の昔からのお知り合いみたいだし、言いづらい部分もあるんだろう。
だけど、僕にはそんなことは正直関係ない。
僕の行動原理は、あくまでこよみさんのためだけなんだから。
「わかりました。ですが、そうなるとこれから二週間は何事もなさそうですね」
「え? どうして?」
先輩がキョトンとした表情で尋ねてくるけど……先輩が言ったんですけど……。
「アンタ、自分で言うたやないか。ウチ達の休みに合わせて怪人出さへんようにしてるんちゃうかって」
「あ、ああ……」
珍しくこよみさんがこの手の話題で先輩にツッコミを入れる。
「まあ、そういうことですので、僕達は僕達で、いつでも対処できるように準備だけは怠らないようにしましょう」
「そやな」
「ええ、そうね」
僕達は決意を込めて強く頷き合う。
「……ところで、お土産はいつくれるの?」
「結局お土産がメインになっとるやないか!」
うん、こよみさんナイスツッコミです。
とはいえ、いい加減お土産を渡さないと帰ってくれないからなあ……。
「じゃあ先輩、これ、お土産です」
僕は、こよみさんのご実家と京都で買ったお土産……腹痛に効く丸薬と金平糖を渡した。
「やったー! ……ええと、金平糖は分かるけど、コレって何?」
「それは腹痛に効くお薬です。こよみさんのご実家がある地域では有名ですよ」
「へえー」
先輩はさして興味がないのか、一通り眺めた後、金平糖の袋をおもむろに開けた。
「こ、ここで食べるんかいな!?」
「ええー、ダメなの?」
「「ダメです(アカン)!」」
何で居座る気なんですか。
「じゃあとりあえず帰るけど……晩ご飯になったらまた来るから」
「来るな!」
こよみさんは先輩の背中を押して、無理やり玄関に連れて行く。
「ハイハイ、帰りますよー! フン、もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃない?」
口を尖らせ、先輩が悪態を吐く。
はあ……やっと帰……。
「あ、そうそう」
ま、まだ何かあるの!?
「二人とも、おめでとう」
「はわ!?」
そう言って、先輩は手をヒラヒラさせながら出て行った。
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次話は明日の夜投稿予定!
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