休暇⑧
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こ、今回は朝チュン回……。
家族の宴もお開きになり、僕とこよみさんは部屋へと戻った。
「さて……もう一回お風呂に入ってこようかな」
うん、あの檜風呂、すごく気持ちよかったし、それに、ひょっとしたらアレだし、ねえ……。
「あ、ウチも一緒にいく……」
そう言うと、こよみさんもお風呂に行く支度を始めた。
あう……す、すごく緊張してきた……。
「ええええと、そ、それじゃ行きましょうか……」
「う、うん……」
支度を終えた僕達は、一緒にお風呂へと向かう。
途中、一度も会話をしないまま。
だけど、その手はいつもよりも強くつないだままで。
そして。
「そ、それじゃ、男湯はこちらですから……」
「こ、耕太くん!」
男湯の暖簾をくぐろうとしたところで、こよみさんに浴衣の袖をつままれた。
「こ、こよみさん……?」
「あ、あんな……? そ、そこ、実は家族風呂になってんねん……」
か、家族風呂!?
そ、それって……!
「か、貸し切り……?」
思わず聞き返すと、こよみさんは無言で静かにコクリ、と頷く。
と、ということは……。
「そ……」
待て僕! ここでこよみさんに聞き返すなんて、それこそ野暮だろ!
ここで僕が取るべき行動は……。
「あ……」
僕はこよみさんの手を握り、その家族風呂への戸を開け、そして。
「い、行きます……」
「は、はい……」
僕達は、一緒に家族風呂の脱衣所に入った。
◇
「ふう……」
家族風呂も檜風呂になっていて、こじんまりとした作りになっているけど、これもまた風情があって気持ちいい……んだけど。
「き、緊張で吐きそう……」
僕達は別々に浴衣を脱ぐことにし、先に僕が家族風呂に入ってこよみさんが来るのを待っている状態だ。
「し、静まれ僕……!」
う、うう……なのに言うことを全く聞いてくれないんだけど……。
——カララ。
脱衣所からこちらを隔てていた戸の開く音が聞こえる。
こ、こよみさんがとうとう中に……!
「こ、耕太くん……」
後ろから、こよみさんの恥ずかしそうに僕の名を呼ぶ声が聞こえる。
僕は緊張で爆発しそうな身体を抑え、ゆっくりと振り返ると。
「あ……」
思わず言葉を失った。
淡い月の光に照らされたこよみさんの身体は透き通るようで、降ろされた髪が少し冷たいそよ風になびく。
上気したその頬は、暗がりの中でもうっすらと確認でき、その瞳は僕の心を掴んで離さなかった。
「こよみさん……」
「耕太くん……ん……は……あ……ああ……!」
僕とこよみさんは、月明りに優しく包まれながら、とうとう一つに結ばれた。
◇
——チュンチュン。
「ん……」
窓の外から聞こえる鳥のさえずりに目が覚める。
僕は目を擦り、首を左へともたげると。
「すー、すー……」
可愛く寝息を立てるこよみさんがいる。
その寝顔は天使のようで、僕の心をくすぐる。
……うん、この寝顔は誰にも見せたくない。
そんなこよみさんが愛おしくなり、つい僕はその柔らかい頬に触れてしまう。
「……ん」
あ……起こしてしまっただろうか……?
「ん、んう……」
どうやら天使の寝顔を鑑賞する時間は終了してしまったようだ。
「あ……」
「こよみさん、おはようございます」
僕は目が覚めてしまったこよみさんに朝の挨拶をすると、その頬に軽くキスをする。
「えへへ……」
はにかんだこよみさんは、今度は僕の頬にキスをしてくれた。
「お返し」
ダメだ……朝から我慢できない……!
「こよみさん……もう一度、いいですか……?」
「あ……うん……ん……ちゅ……は……ん、んあ……!」
——コンコン。
「はわわわわわわわわわわ!?」
「うわあ!?」
「こよみ、耕太くん、朝ご飯の準備できてるさかい、準備できたらおいで」
「ううううん、分かった!」
お、お母さんが朝食の声をかけてくれたけど、心臓に悪い……。
「あ、でもあと一時間後でもええよ?」
「はわわわわわわわわわわ!?」
んな!? コレ、お母さん絶対わざとやってるぞ!?
「こ、こよみさん、行きましょう……」
「そ、そやね……でも」
こよみさんが僕の手をキュ、と握る。
「東京帰ってからもまた……いっぱい、しよ?」
「っ! は、はいっ!」
うん、ダメだ……僕は心も身体も、こよみさんから一生離れられないや。
◇
「本当に、お世話になりました」
駅まで送ってくださったお父さん、お母さんに深々とお辞儀をする。
「ワッハッハ、耕太くんまたいつでもおいでや!」
「そうそう! ウチも息子ができて嬉しかったで!」
「もう! お母ちゃん、気が早いで!」
「あはは」
うん、既に僕はこよみさんとの結婚が既定路線になっちゃってる。
……これって、婚約状態、ってことになるのかな……。
で、でも、まだ正式にこよみさんにプロポーズしてないから、ま、まだだよね。
い、急いで婚約指輪の資金を貯めないと……!
「こ、耕太くん、拳なんか握ってどないしたん!?」
「……………………ハッ!? あ、こよみさん……い、いえ、これは決意の表れというか何というか……」
「分かる! 分かるで耕太くん! ワイもお母ちゃんとの時はそんな感じやった!」
「もう、お父ちゃんは……やっぱりこよみの妹、こしらえる……?」
お母さん、なんて生々しい話を……。
「ホンマにもう……ほな、ウチ達は行くさかい!」
「身体に気いつけるんやで!」
「二人とも、達者でな!」
「「うん(はい)!」」
そして僕達は、楽しかったこよみさんの実家への帰省を終え、帰路についた。
お読みいただき、ありがとうございました!
運営から警告が来ないことを祈っております……。
次話は明日の夜投稿予定!
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