休暇②
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「さあて、今日の晩ご飯の準備をするか」
学校から帰って洗濯物の取り込みを終えた僕は、キッチンに立って冷蔵庫から食材を取り出す。
「ええと……大根にイカに里芋に……」
全ての食材を出し終えたら、早速調理に取りかかる。
じゃあ最初に大根とイカの煮物から。
イカの身と内臓が繋がっている部分を手でちぎり、ゲソの部分を引っ張って内臓を取り出したら、骨を抜いて中を綺麗に水ですすぎ、一センチ幅の輪切りにする。
内臓とゲソの部分は切り離し、くちばしを切り取ったら、ゲソを食べやすいサイズに切り分ける。
大根は厚さ一センチ半の半月切りに。
鍋に水、酒、みりん、砂糖とイカ、大根を入れ、沸騰したら中弱火にして十五分ほど煮る。
待っている間に豚汁も作ろう。
里芋、大根、ニンジン、しいたけを小さめに切り、ごぼうの皮を剝いてささがきに、豆腐も小さく角切りに、こんにゃくは手でちぎって一口サイズにする。
次に、鍋に火をかけ、ごま油を引いたら豚肉の小間切れを入れて炒めて、赤い部分がなくなったら豆腐以外の具材を入れて混ぜながら炒める。
今度はそこへ水と豆腐、顆粒だしを入れ、一煮立ちさせたら一旦火を止めて味噌を溶く。
これで、豚汁は完成、と。
さて、煮物の大根は……うん、柔らかくなってる。
じゃあそこに醤油を入れて、もう一煮立ち。
あとはこのまま冷まして、食べるときに温め直せばオッケーだ。
ブリとアジの刺身は……食べるときに盛り付ければいいか。
「うん、今日の晩ご飯の準備もこれで終わり……」
すると。
「耕太くん、ただいまー!」
「おかえりなさい!」
ちょうどこよみさんも帰ってきた。
じゃあやっぱり刺身も盛り付けよう。
「なあなあ耕太くん! 今日の晩ご飯は?」
「はい、今日はブリとアジの刺身に大根とイカの煮物、それと涼しくなってきたので豚汁を作ってみました」
「はわあああ……今日も美味しそう!」
こよみさんは献立を聞いて、瞳をキラキラとさせている。
本当に、僕の彼女は可愛いな。
「それで、今から刺身を盛り付けますから、手伝ってもらってもいいですか?」
「うん!」
僕はこよみさんに刺身のパックを手渡すと、ネギをみじん切りにする。
そして、煮物と豚汁を温め直し、器によそったら上から刻んだネギを乗せる。
「耕太くん、盛り付け終わったで!
「うん、相変わらずこよみさんの盛り付けは綺麗ですね」
「えへへ、耕太くんに褒められた」
「じゃあ、ちょっと早いですが晩ご飯にしましょう」
「はーい!」
僕達は晩ご飯の準備をしてテーブルに……おっと、缶ビールがないと。
「こよみさん、今日もお疲れ様でした」
「耕太くんもお疲れ様!」
「じゃあ」
「せーの」
「「いただきます!」」
◇
「へ? 休暇ですか?」
「そやねん……」
晩ご飯を食べながらこよみさんから告げられたのは、ヴレイファイブの活動を一旦休止し、明日から一か月の休暇になったということだった。
「で、ですが、怪人が現れた場合はどうするんですか?」
「それが、怪人が現れたらブラックとイエローの抜けた穴を埋めるメンバーの選抜の試験代わりに対応するとか言うて……」
ええ!? 選抜っていっても、怪人と闘ったことのない素人に任せるの!?
しかも、ブラックとイエローが抜けたって!?
「し、素人に闘わせるんですか!? おまけに、ブラックとイエローはどうしちゃったんですか!?」
「あ、うん……それがな……」
こよみさんが言うには、選抜メンバーは五十人程いて、ヴレイスーツ及びヴレイシリーズの武器も支給されるらしい。
それに、怪人一人程度なら五十人という数で押せば対処できるというのが、司令本部の考えとのことだ。
そして、驚いたのがブラックとイエロー。
なんと、アリスとの戦闘で精神を病んで、隔離病棟で治療中というのだ。
「…………………………」
「な、なあ耕太くん、急に考え込んでどうしたん?」
「……あ、い、いえ……ちょっとブラックとイエローのことが気になって……」
「二人が?」
「はい……思い過ごしだといいんですが……」
……多分、思い過ごしじゃないだろう。
二人は司令本部に拘束……いや、最悪の場合、もういないかも……。
すると。
「耕太くん……大丈夫やで。耕太くんにはウチがいるさかい」
「……ええ、そうでしたね」
こよみさんが僕の隣に来て、そっと手を握ってくれていた。
こよみさん……。
「あ、そ、それで、一か月休暇になったんですよね?」
「う、うん。せやから、一か月の間何しよかなと思てて」
そうだ、これは絶好の機会かもしれない。
「で、でしたら、旅行……行きませんか?」
「旅行? う、うん! 行きたい!」
こよみさんが目を輝かせ、身を乗り出した。
「なあなあ、せやったらどこ行こう! 温泉とかもええし、北海道とか沖縄とか……なんやったら海外旅行でも……!」
「そ、その! 僕、ぜひ行きたいところがあるんです!」
「え、そうなん? それってどこ?」
こよみさんは興味深そうに僕の顔を覗き込む。
「はい。奈良の吉野です」
「……それって……」
こよみさんが口元を手で押さえ、息を飲む。
「はい……こよみさんのご実家に行きたいです」
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次話は明日の夜投稿予定です!
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