第11話 物静かな人
私とクラーナは、基本的に二人で依頼をこなしている。
だが、例外的にリュウカさん達に誘われた場合は、彼女達とともに依頼をする。
「アノンは、クラーナによく甘えられますの?」
「え? えっと……そうですね。まあ、甘えられますよ」
「まあ、そうね……自覚はしているわ」
「羨ましいですわね……サトラは、あまりそういうことに積極的ではありませんの。どうすれば、積極的になってもらえるのでしょうか?」
「そうですね……でも、それは私達と二人の関係が逆だからなのかもしれません」
「逆……なるほど、私から甘えればいいということですわね?」
私とクラーナがリュウカさん達のパーティの中で一番よく話すのは、キーラさんだ。
彼女とは、以前はそこまで話す仲ではなかった。ただ、ここ最近は一番親しくさせてもらっていると言っても過言ではないだろう。
同じ犬の獣人のパートナーを持つ身として、私達は話が合うのだ。
「ティネ、目的の魔物まで後どれくらいかわかるか?」
「あ、はい。もう少しかかりますね」
「そうか……相変わらず、犬の獣人の鼻というのはすごいんだな」
以前まで私とよく話してくれていたリュウカさんは、最近ティネちゃんとよく話している。
恐らく、以前までは私に気を遣ってくれていたのだろう。それがキーラさんとよく話すようになったため、必要なくなったといった所だろうか。
「……」
そんなパーティの中で、静かなのはカルノさんだ。
彼女は、どちらの会話にも入ってこない。基本的に物静かな人なのだ。
「……キーラさん、少し聞いてもいいですか?」
「あら? なんですか? そんな小声で……」
「カルノさんって、あまり会話に入ってきませんよね? 普段から、あんな感じなんですか?」
「え? ああ、普段は基本的に私が一方的に話して、それに相槌を打つくらいですわね」
「そうなんですね……」
クラーナと出会う前から、リュウカさん達のパーティとは知り合いだ。そのため、カルノさんとはそれなりに長い付き合いである。
ただ、私は未だに彼女のことをそこまでよく理解できていない。
物静かで何事にも動じない人。それが私のカルノさんへのイメージだ。多分、それは間違っていないだろう。実際にそういう人であることは、事実である。
ただ、彼女の趣向だとか、そういうものについてはほとんど知らない。そう思った時、なんだかそれが少し気になってしまったのである。
「なんだか、気になるわね?」
「クラーナも、そう思う?」
「ええ、まあ、その……こうして知り合っているのに、あまり知らないというのも、なんだか変な感じよね?」
「うん、そうだよね……」
どうやら、クラーナも同じ気持ちのようだ。
単純に、謎が多い人なので知りたいという興味も、もちろんあるだろう。だが、私達が気になっているのは、それだけではないはずだ。
私とクラーナは、友達が少ない。そんな数少ない友人のことを何も知らないというのは、なんだか気分が悪いのかもしれない。
こうして、私達はカルノさんと少し話をしてみようと思うのだった。




