第35話 悩みを打ち明けて
私は、夜中、クラーナとともにベッドから抜け出していた。
色々と話したいことがあったからだ。
鋭いラノアは、私達が抜け出したことに気づいているかもしれない。だが、私達のことを気にせず、また眠っているはずだ。流石のラノアも眠気には勝てないからだ。
「さて、アノン? 悩んでいるのよね?」
「まあ、わかるよね?」
「ええ、わからない訳がないわ。アノンのことを、私がわからないなんてことはあり得ないことだもの」
クラーナは、私が悩んでいることを理解していた。
私も、見抜かれている自覚はあった。そもそも私は、隠し事がそこまで得意ではない。だから、人から見ればわかりやすいはずである。
その中でも、クラーナに隠し事などできるはずがない。私をよく見てくれる彼女が、私の変化に気づかない訳がないのだ。
「実は、レクリアさんに言われたガランの部下達……というか、あそこの仕事のことが気になっているんだ」
「ええ、そうだと思ったわ」
私が気になっていたのは、ガランの部下達が運営している仕事のことだった。
レクリアさんは、私のことを皆が待っていると言っていた。恐らく、それは間違いではない。あそこにいるガランの部下達は、私に指揮を取って欲しいと思っているだろう。
「別に、ガランの仕事を継ぐことが、嫌という訳ではないんだ」
「ええ……」
「色々と思う所はあるけど、今の仕事は、ガランがきちんとした人間になってから、取り仕切っていた仕事だし、別に悪事を継ぐ訳ではないから、そこまで気が引けるとは思っていないんだ」
「そうよね……」
クラーナに対して、私は全てを打ち明けることにした。
私達は、お互いに色々と悩みを抱えることがある。そういう時は、全て吐き出すことにしているのだ。
全て吐き出してもいいという信頼感が、私達にはある。他の人に言えないことでも、クラーナになら言えるのだ。
誰かに聞いてもらえば、楽になる。どうすればいいのか、知恵も貸してもらえる。それができる相手がいる私は、とても幸福だ。
「でも、私は思っているんだ。あそこを継いだら、あっちに移り住まないといけない。私は、単純にそれが嫌なんだ」
「そういうことだったのね……」
「うん……」
私が、ガランの仕事を継ぎたくなかった理由。それは、とても単純明快なものだった。
私は、この地を離れたくないのだ。だから、仕事を継げない。継ぎたいと思っていても、そうすることができないのである。




