第22話 気持ちの整理
私達は、ローレリムさんを連れて、とある場所に来ていた。
そこは、ある人達のお墓である。ここが、ローレリムさんの思いに決着をつけられる場所だ。
「ここは……」
「ええ、お母さんと……お父さんが眠っている場所です」
ここは、私のお母さんとガランが眠っている場所である。
ガランが亡くなった際、お母さんと一緒の場所に埋葬することにした。死後くらいは、一緒にいてもらわないと、お母さんが可哀そうだったからだ。
「そうか……ここにあの子と奴が……」
ローレリムさんは、二人のお墓の前で目を伏せた。
色々と思う所があるのだろう。その隣で、私は黙っておく。言葉をかける必要はない。ローレリムさんの思いに整理がつくまで、待っているとしよう。
「馬鹿な子だったよ……あんな男に惚れて、家を出て……子供を残して死んで、まったく何をやっていたのか……」
「ええ……」
静かに涙を流しながら、ローレリムさんはそのように言ってきた。
その言葉は、とても共感できるものだ。
私のお母さんは、はっきり言って馬鹿である。あんな男に惚れて、家を出て行くなんて、愚かなことだ。
まだ幼かった私を残して亡くなったことは、仕方ないことだが、個人的には恨んでいる。それも含めて、ローレリムさんの言葉には共感できた。
「奴も馬鹿だね……惚れた女と娘を放っておいて、何をやっていたのだか……私からしたら、恨みしかない」
「そうですよね……」
ガランについて語るローレリムさんの言葉も、共感できる。
あの男については言うまでもない。本当に、愚かな男だっただろう。
「まあ……死んじまったんだ。そういうことは、全部水に流してやるべきだろうね」
「ええ、そうだと思います……」
ローレリムさんは、そのように結論を出した。
確かに、その通りだ。亡くなってしまったのだから、色々と水に流すべきなのだろう。
「……アノン、ありがとうね」
「はい?」
「ここに連れてきてもらったこと、感謝するよ。あんたのおかげで、気持ちの整理ができた」
「……いえ、気にしないでください」
気持ちの整理がついたのか、ローレリムさんは私にお礼を言ってきた。
別に、私はお礼を言われるようなことをした訳ではない。母親を娘の元に連れてくるなど、普通のことである。
「ローレリムさん、あなたにもう一カ所行って欲しい場所があるんです」
「もう一カ所?」
「ええ、もう一人、ローレリムさんを待っている人がいるんです」
そこで、私はローレリムさんにその話を持ち掛けた。
そもそも、私達の目的はこちらだ。色々とあったが、それを忘れていた訳ではない。
この人がレイコさんの待ち人なのだ。私は、そのことを確信していた。
なぜなら、ローレリムさんはクラーナやラノアを見ても、特に驚きもしなかったからである。この人は人の隣に獣人がいることに、何も疑問を抱いていない。キーラさんとサトラさんのことがあるとしても、その反応はできないと思う。
だが、それは後から考えた理屈かもしれない。なんとなく、私は本能的にローレリムさんがレイコさんの待ち人だと思った。その方が正しいかもしれない。
こうして、私達はローレリムさんと一緒に家に帰るのだった。




