第13話 難しい考え方
私は、クラーナとラノアとともに、ガランのアジトに来ていた。
とりあえず、レイコさんの待ち人のことは伝えられた。手がかかりは少ないが、見つかる可能性もあるだろう。
「はあ……」
「アノン、どうしたの? ため息なんてついて」
「いや、ここに来るとどうも変な感じがしてさ……」
私達は、ガランのアジトに留まっていた。
せっかく来たので、様子を見ておきたかったからである。
「変な感じね……二代目と呼ばれるのに慣れていないから?」
「そうだね。というか、ここに来ると特別扱いされるから、なんだかよくわからない感じになるんだ……」
私は、ガランのアジトではいつも変な感じがしてしまう。
なぜなら、ガランの娘である私がいい様に特別扱いされるからだ。
ガランの娘として、悪い様に扱われたことは何度もある。だが、いい様に扱われることは非常に少ない。そのため、とても変な感じがするのだ。
「それだけ、お義父さんが慕われていたということじゃないかしら?」
「まあ、それ自体は喜ばしいことかもしれないけど、でも、結局私がガランの娘だから、慕われている訳でしょ? そういうのは、素直に喜べないというか……」
「中々難しいのね」
私は、基本的にガランの娘だから悪いと思われるのは嫌だった。
だから、ガランの娘だからいいと思われるのも気が引けるのだ。
なんというか、その事実を受け入れてしまうと、今までの自分の考えを否定することになってしまう気がする。そう思うと、慕われているという事実を受け入れることができないのだ。
「でも、そんなに難しく考えないでいいと思うわよ」
「難しく考えないでいい?」
「ここにいる人だって、アノンがどういう人間かは知っているわ。それなりに、長い付き合いだもの。ガランの娘であるという色眼鏡がない訳ではないけど、あなたという一人の人間を見て、ガランを引き継ぐのに相応しい人間だと思って、慕っていると思うわ」
「そうなのかな……」
そんな私に、クラーナはそのように言ってくれた。
ここにいる人達が、私個人を見てくれている。クラーナがそう言うなら、そうなのだろうか。
「まあ、アノンがどのように思うかは、アノン次第よ。私としては、そんなことを気にしない方がいいと言いたけどね」
「うん……」
クラーナの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
結局は、私がどう思うかなのだ。クラーナが気にしなくていいと言ってくれているのだから、あまり気にすることはやめておいた方がいいだろう。
そんな話をしながら、私達は過ごすのだった。




