桔梗が家にいたんだけど
「なにやら、ほかの女の匂いがしますね。刹那……もう一度聞きます。どこに行っていたのですか?」
そう尋ねる彼女の目には先ほどまでの喜びの色はなく、まるで虫のように感情がなかった。どうしんだろうね? よくわからないけどそんな彼女が少し弱っているように感じた。だから俺は彼女を安心させるように微笑みながら答える。
「うん、双葉ちゃんと会ってたんだ」
「へぇ……私が心配していたというのに、あの子と……」
相変わらず虫みたいな目で可愛いなぁと思う。だけどこの時の桔梗はこれまでとは何か違っていて張りつめていて……だから俺は抱きしめ返してあげる。やっぱりおっぱい柔らかいなあ……そして彼女が何かを言う前にパンケーキの入った紙袋を渡す。
「刹那……これは?」
「俺のお手製のパンケーキだよ。双葉ちゃんにおそわってたんだよね。桔梗は俺の料理好きって言ってくれたからさ、本当は明日の朝一緒に食べようと思っていたんだけど、桔梗疲れてそうだから今食べちゃお」
「刹那……ありがとうございます!! 刹那はやはり優しいですね……これは私のために作ってくれたんですか?」
「そうだよー、喜んでもらえてよかった」
満面の笑みを浮かべる桔梗をみて俺は満足する。なんだかわからないけど元気になったみたいでよかった。そしてキッチンに行く前に声をかける。
「コーヒーも淹れようと思うんだけど桔梗も飲む?」
「はい、私は刹那の淹れたコーヒー大好きなんです」
桔梗は満面の笑みで答えてくれた。そう言ってもらえるとこっちもがんばらなきゃって思うよね。せっかくだしいいコーヒー豆を使おっと。
「そういえば今度の土曜日の水族館どうしよっか? 品川だよね。お昼もそっちで食べる?」
「そうですね……品川はあんまり言ったことがないんですが、刹那は何か食べたいものありますか?」
「研究も兼ねてパンケーキでもいいかな? せっかくだし何かのアイデアのヒントにもなるかもしれないし」
「いいですよ、刹那はパンケーキが好きですね。お店のもいいですが、私は刹那が作ってくれたパンケーキが一番好きですよ」
「ありがとう、照れるなぁ。もっとおいしいのを作るから楽しみにしててね」
そう言って桔梗は生クリームのたっぷりついたパンケーキを美味しそうにほおばった。多分お世辞だろうけど嬉しいな。でもさ、一個気になったことがあるんだよね。
「九時以降に甘いものをたべると太るっていうけど大丈夫?」
「何で今それを言うんですか!? 女子に太るっていうのは失礼ですよ!!」
俺の言葉に頬を膨らませて抗議する桔梗だったが、少し意識したのか、一瞬フォークをとめて、悩んだ後に、結局パンケーキに手を付けてくれた。「うーん」と唸りながら眉をひそめるすがたが可愛らしい。
「大丈夫だよ、女の子はちょっとふっくらしている方が魅力的だよ」
「だからふっくらとか言わないでください。刹那のパンケーキが美味しすぎるのが悪いんです!! それに私のために作ってくれたものを残せるはずがないじゃないですか!!」
そうして彼女はパンケーキを食べきった。やっぱり自分が作ったものを食べてくれると嬉しいなぁ……そして夜も遅いので桔梗を家まで送った。結局彼女がきた理由はなんなんだろうね? よくわからないけど桔梗が幸せそうだからまあ、いっかー。そういえばお風呂入る前にきがえようを探してたんだけどまたパンツなくなってるんだけどなんでだろうね……母さんに今流行りの布マスクにでもされちゃったかな……お気に入りだったから残念だなぁ…
桔梗編スタートです、ちなみにまだ正妻戦争ははじまってません。この土日で書きたいなと思っています。
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