表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/59

番外編2.バイトをすることになったんだけど その4

 買い出しが終わったのでお店へ行き、店長に材料を渡した俺達は新製品の完成品を待っている間、手が空いたので紅茶を淹れることにした。双葉ちゃんに習った手順で淹れると本当に味が変わるからすごいよね。



「どう、俺のお茶を入れる技術もそこそこ上達したかな?」

「すごいですね、もう、お店に出せますよ!! 頭はおかしいのに無駄にセンスと記憶力はあるんですね……」

「わーい、褒められた。やったね!!」



 これで認められた。しかもセンスと記憶力まで褒められちゃったよ、やったね。前のマックもハンバーガーを作るの上手いねって褒められたんだよね。その後、接客してたら、なぜかお客さんに怒られて、よくわからなかったから、ニコニコしてたら余計怒られて代わりに店長が謝るって事件がおきたんだ。それ以降はホールに出してもらえなかったなぁ。なんだったんだろうね。



「いや、メンタル強すぎないですか? 例えるならば、江戸時代が舞台の映画でカーボンの盾をみた気分です。ちょっと傷ついたら、冗談ですよ、てへぺろって言ってうざ可愛い後輩キャラを演じようとしたのに、ただの嫌な奴みたいになっちゃたじゃないですか!!」

「今度はハーブティーの淹れ方も教えてくれる? あ、お礼に今度アバ茶を入れてあげようか?」

「会話のみゃくらくー!! アバ茶……? ハーブティーか何かですか? 聞いたことないですね、例えるならばモンハンで未知の素材を聞いた気分です!! 楽しみにしてます」



 やっばい、アバ茶って一般常識じゃないんだね……満面の笑みで楽しみにしている双葉ちゃんを見て俺は罪悪感がわいてくる。委員長あたりなら冷たい目で「知ってる? 「ブッ殺す」と心の中で思ったならっ、その時スデに行動は終わっているのよ」くらい返してくれるんだけどな。あと双葉ちゃんモンハンはやるんだね。



「一条ちゃん、ちょっといいかしらー!!」

「はーい」



 俺と双葉ちゃんが会話を楽しんでいると、厨房から店長が呼んできたので向かう。試食させてもらえるのかなぁ……俺がわくわくして顔を出すと店長はちょっと悩んだ顔をして口を開いた。



「あの子何かあったのかしら……? ちょっと前も元気なくしてんだけど、その時と同じ顔をしているのよね……私も聞いたんだけど大丈夫って言うばかりで話してくれないのよ……一条ちゃん心当たりないかしら?」

「うーん、どうなんでしょうか……」



 店長の言葉に、さすがの俺も口を濁す。よくわからないけど双葉ちゃんが店長に言わないってことは秘密にしておいた方がいいと思うんだよね。俺が口をつぐんでいると店長は俺の手を握って祈るように言った。



「やっぱり同世代の子がいるから嬉しいのか、一条ちゃんが来てからあの子元気が戻ったのよ。あの子も一条ちゃんを信頼しているみたいだし、もしよかったら、あの子が助けを求めていたら力を貸してほしいの、お願いできるかしら」

「ええ、もちろんです!!」



 店長の言葉に俺は即答した。俺だって双葉ちゃんには元気でいてほしいしね。それにあの子は笑顔が似合うと思うんだよね。俺は店長から新作のケーキをもらう。



 俺は厨房から戻って、スマホをみて画面を睨んでいる双葉ちゃんに声をかける。紅茶冷めちゃったからもう一度入れなきゃね。



「双葉ちゃん、新作持ってきたよー」

「……」

「双葉ちゃん?」

「うわぁ、何ですか、顔が近いですよ。まるで恋愛映画で言うちょっと気になっている先輩に、いきなり声をかけられててんぱったヒロインになった気分……いえ、今のはなんでもないです。忘れてください」



 俺は心ここにあらずといった感じの彼女の顔を覗く。すると彼女はびっくりしたようにのけぞった。相変わらず楽しそうだなぁ……でもさ、やっぱりおかしいよね。



「双葉ちゃん大丈夫? やっぱり元気ないけど……」

「そんなことないですよ!! 元気ですって、例えるならばファンタジー映画で傷を負ったけど全快した気分です!!」

「……」

「やっぱりわかっちゃいます? お店で会ったせいか、さっきの子達と仲良くしてた時の事を思い出しちゃって……でもしばらくしたら落ち着くと思うので気にしないでください」



 そういって彼女はえへへと笑うのであった。その笑顔は心なしか寂しそうな気がした。そして俺達はケーキを食べる。甘いケーキのはずなのになぜかしょっぱく感じてしまった。



「双葉ちゃんは、また、その子たちと仲良くしたいの?」

「はい……できたらですけど……でも、私にはこの店がありますし、お父さんや、一条先輩もいますから全然寂しくなんかないですよ」

「そっか、わかった」



 ケーキを食べ終え片づけをすまして、店から出ると視線を感じた。誰かがこの店を凝視しているようだ。入ろうか悩んでいるのかな。だから声をかけてみる。



「すいません、今日はお店はお休みなんですよ。明日にでも来てくれると嬉しいです。ちなみに、おすすめはパンダのパンケーキですね、『キャッチフレーズはパンダだけにパンケーキです」

「あ、双葉といた男の人……」

「いくよ」



 声をかけた女の子二人組はさっさと行ってしまった。やっぱり双葉ちゃんとショッピングしていたときの二人組だよね。なんで見てたんだろうね。双葉ちゃんの態度とあの二人の反応から考えてみる。だめだ、よくわからないや。だから行動するしかないよね。

 俺が考えているとスマホがなった。桔梗からだ。すごいなぁ、今俺も連絡しようとしていたんだよね。

まるで盗聴器でも仕掛けられているか、どこかでみているようなタイミングだ。なんてね、やっぱり幼馴染だから以心伝心なんだろうね。俺は桔梗に電話をして今後の作戦会議をすることにした。







アバ茶って一般常識ではないんですね……わからない方は「ジョジョ アバ茶」で検索してもらえると嬉しいです。


面白いな、続きが気になるなって思ったらブクマや評価、感想いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【散々搾取された上、パーティーを追放された技能取引者<スキルトレーダー>スキルショップを開き、S級冒険者や王族の御用達になる~基礎スキルが無いと上級スキルは使いこなせないって言ったはずだけど大丈夫か?】 こちらがハイファンタジーの新作です。 クリックすると読めるので面白そうだなって思ったらよろしくお願いいたします。 【モテなすぎるけど彼女が欲しいから召喚したサキュバスが堅物で男嫌いで有名な委員長だったんだけど~一日一回俺に抱き着かないと死ぬってマジで言ってんの?~】 ラブコメの新作です。よろしくお願いします。 クリックすると読めるので面白そうだなって思ったらよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
[一言] いやアバ茶はちょっと……例えるならメルヘンの少女マンガなのにいきなり「クソビッ○」って叫んでるようなものじゃないですか。というか委員長がオタク過ぎる(笑)
[一言] アバ茶は歯をクラゲにして吸収するから大丈夫!!(何も解決してない
[良い点] あれ、店長の口調…??ごついからだであの口調はテンプレ…????
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ