第17回「ガメラ、ギャオス、イリスの新説!?」~お題「平成ガメラシリーズ」~
~お題「平成ガメラシリーズ」~
――最後の希望・ガメラ、時の揺りかごに託す。災いの影・ギャオスと共に目覚めん。――
これは平成ガメラシリーズ第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』の中に出てくる超古代文明が残した碑文の一節です。
平成ガメラシリーズは
1995年 公開「ガメラ 大怪獣空中決戦」
1996年 公開「ガメラ2 レギオン襲来」
1999年 公開「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」
上記の一連の3部作の事をさしています。
平成ガメラシリーズでは、大怪獣ガメラ、又それと敵対する鳥型の怪獣ギャオスは、地球上に遥か太古の昔に栄えた超古代文明が作って残した怪獣である・・・と設定されていました。
超古代文明が遺伝子操作技術を確立。そしてそれを駆使して人工生命生物ギャオスを作りました。
ギャオスはいろいろな生物の遺伝子を融合させて誕生したキメラでもあります。
音速で空を飛び、超音波で相手を攻撃する、獰猛で残忍、且つ肉食性、頭も良い・・・当然、人も襲う。
成長スピードも他の生物とは段違いの速さで成体にまでなる。
さらにギャオスは雄雌関係なく、単為生殖で大量繁殖も猛スピードでできる化物でした。
ギャオスは何の為に誕生したのか?作られた・・・・生み出されたのか?
最初は愛玩用の人工ペットとして誕生したのか。はたまた生物兵器として誕生したのか。
劇中では「栄えすぎてしまった文明、増えすぎてしまった人類をリセットする為」という説が語られていました。
現代で言えば、「核兵器・核ミサイル」のような物と同じ存在です。
どっちにしろ、ギャオスは、それを作り出してしまった超古代文明人達に取っては手に余る存在になってしまったのです。
ギャオスによる暴走が始まったのでしょう。もうギャオスは自分たちの存在を脅かす脅威でしかなかった。
そして超古代文明人達は慌てて、ギャオスを倒す為の存在、「ガメラ」を作った・・・という設定でした。
ガメラというのは実は古代人が甲羅状の「器」に地球の生命エネルギーとされる「マナ」を集めて創り出された存在です。器に「マナ」を定着させた生物兵器でした。
現代に蘇ったガメラは成功作・完成形であり、他には「マナ」の定着に失敗してしまって海底で眠っている失敗作・試作品の「ガメラ」達もいました。(「ガメラ3」より)
また、不思議な勾玉でガメラのコントロール、交信・対話、シンクロ、力の増幅も出来るようでした。
劇中では草薙浅黄なる少女が不思議な勾玉を通してガメラと心を通わせて、シンクロするようなシーンがありました。
彼女はガメラと心通わせる巫女のような存在となったのです。
恐らく、古代人達は勾玉を大量に使ってガメラのコントロール、ガメラとの交信、「マナ」の定着や、「マナ」を与える等を行っていたと思われます。
ギャオスのように、ガメラを暴走させない為の処置だと考えられます。
劇中では、発見された勾玉=ガメラの擬似コントローラーであり、現代ではちゃんと機能していた勾玉が1つしか存在しなかった為に、うまい具合にガメラのコントロールが出来なかったのではないか?とも見られます。
恐らく勾玉が沢山機能していれば、ガメラの完全なる制御も出来るかもしれません。
ちなみに平成ガメラシリーズの劇中においては「亀、またはそれに類似する生物は大昔に滅んだ」とされていました。
だから、劇中の登場人物達は1回もガメラの事を「巨大な亀」とは言っていません。
太古の地球でガメラはギャオスを倒して、古代人によって封印されます。
そして結局、超古代文明(アトランティス大陸?ムー大陸?)も滅び去り、遥か時は流れて現代・・・・・・。過ぎ去った太古の脅威が蘇りました。
実はギャオスは完全に滅んだ訳ではなく、卵を世界中の各地にいくつか残していました。
それが自然破壊や、生態系の変化、地球の温暖化の影響なども合間って、その卵が今頃になって孵化してしまい、ギャオスが現代に蘇ってしまったのです。
その一例が95年の日本の九州の五島列島・姫神島において発見、確認された3体のギャオス達です。
ギャオスが蘇った事により、それと呼応するような形でガメラも現代に復活しました。
ガメラはギャオスが復活、暴走した際の抑止力なのでしょう。
そういう風に古代人が予めプログラミングしていたとも見られます。
そして、ガメラは日本で復活したギャオスを倒して何処かへ去っていきました。
翌年にはガメラは外宇宙から地球に飛来した宇宙生命体「レギオン」なる宇宙怪獣と死闘を繰り広げました。
レギオンは昆虫のような形の宇宙怪獣でした。
「昆虫=大昔に地球来た宇宙生物」なる学説もあるので、元ネタはそれかもしれません。
基本的にガメラは、地球を守るために行動しており、守るべき対象は人間だけに限らず、全ての生態系を守るのが目的という原理に基づいて戦っているようです。
レギオンの目的は地球の環境や生態系を無理やり変異させて、自分の都合の良い惑星、自分達の巣にするのが目的でした。当然、ガメラは地球の為にそれと戦う訳です。
レギオンはガメラだけではなく、人類や地球の全体脅威です。
そしてガメラはレギオンと戦って勝ちます・・・が、その後に大きな問題が発生しました。
レギオンはガメラでも正直、勝てる見込みがない強すぎる相手でした。
そこでガメラはイチかバチか、自分を中心として、地球上にある生体エネルギー「マナ」を大量に集めた超必殺技「ウルティメイト・プラズマ」を撃って、レギオンを完全に倒しました。
「ドラゴンボール」で言うと「元気玉」みたいな技だと思います。
レギオンには勝った!・・・・だが、しかし、その代償として地球上の「マナ」が大量に消費されました。
「マナ」というエネルギーは実は生態系のバランスを司る存在でもあったのです。
それが地球上から無くなってしまいました。当然、生態系バランスの崩壊が世界各地で起こり始めました。
そして、生態系のバランスの完全なる崩壊の影響より、日本だけではなく世界各地に眠っていた ギャオス達の一斉復活が始まったのです。
蘇ったギャオス達は餌を求めるような形で世界各国への襲撃を行いました。
人を襲い、街を壊し、時には飛行機にも群がりそれを落とす・・・まさに世紀末の地獄絵図です。
ガメラに取っても対レギオン戦における「マナ大量消費攻撃」は正直使いたくなかった技のようです。ある意味「諸刃の剣」というべきでしょう。
結果的に本来、自分が戦うべき天敵達を沢山復活させてしまった羽目になったのです。
レギオン戦でガメラの擬似コントローラーでもある勾玉も壊れてしまったので、それ以降のガメラは完全に自分の意志で蘇ったギャオス達と戦っていると思われます。
「ガメラ3」のガメラは地球の為にギャオス達と戦っているが、もう人の手を完全に離れて、若干暴走している様子も見受けられました。
「ギャオスを倒せ!」という自分の中にインプットされた本能に基づいて行動しているのかもしれません。
映画の冒頭の渋谷での対ギャオス戦では、渋谷の街が完全に火の海になっていました。
今までのガメラなら、あそこまでやらないはず。まさに「暴走状態のガメラ」というように見えます。
さらに世紀末の日本では悪い事が続きます。
奈良県の明日香村には、実はギャオスの亜種(突然変異体)とされる謎の怪獣が封印されていました。でもそれも、マナの大量消費により封印が弱まってしまいました。
何故、日本の奈良にそんな物があるのか!?
太古に栄えた超古代文明は滅んでしまったが、その人間達の末裔達は世界各地に散らばったようです。
そして、その一派がたまたま奈良県明日香村に辿り着いて、ギャオスの亜種とされる怪獣の卵をそこに封印したようです。
「柳星張」の名で遥かな昔から卵の状態で封印されていた、その謎の怪獣は比良坂綾奈という少女の手によって封印が解かれました。
卵から出てきた、幼体の謎の怪獣・・・・そしてそれは彼女により「イリス」と名付けられました。
何故、綾奈は謎の怪獣を「イリス」と名付けたのか・・・・それは彼女が昔「イリス」という猫を飼っていたからです。
比良坂綾奈(演:前田愛/回想シーンは前田亜季)は95年のガメラとギャオスの東京での戦いに巻き込まれてしまった被害者でした。
綾奈はどうやら当時、秋葉原付近に住んでいたみたいで、ガメラとギャオスの戦闘により、彼女は両親と飼い猫「イリス」(猫に付ける名前じゃねぇ!)を失ったようです。
怪獣同士の戦いのせいで、自分の家が崩れて家族を失った綾奈はガメラの事を恨んで過ごしていました。
そして、死んだ飼い猫の代わりというような形で「イリス」という同じ名前を謎の怪獣に与えたのです。
「ガメラ3」のキャッチコピーが「私はガメラを許さない」という衝撃的な一文なのもその為です。
「ガメラ3」という作品は「正義の味方が悪い奴と戦うのが絶対的に正義か?そのせいで不幸になっている人間もいるのではないか?」という難しいテーマに踏み込んだ映画でもありました。
ちなみに比良坂綾奈の企画段階の名前は「綾波レイ」だったという噂を昔、どっかで耳にしました。当時エヴァブームだったせいか。ホントかどうかは知りません。
謎の怪獣「イリス」はギャオスの亜種、突然変異体でありました。
ですが、イリスは「正直、どこがギャオス?」というフォルムをした怪獣です。頭のシルエットはギャオスっぽいのも分かりますが。
ギャオスには全く見えませんが、個人的にイリスのデザインは怪獣映画史上最高の美しさを誇っていた怪獣だと思っています。
見た目も全く違いますが、その特性もギャオスとは似ても似つかないような物でした。
ギャオスは口から餌、獲物である対象を捕食し栄養を摂取するのに対し、イリスは自身の身体に付いた触手のような物で餌、獲物を突き刺し、そこからエナジーを摂取する行動を繰り返し、成長を続けていました。色んな人間、生物を襲い続けて巨大な成体になります。
一応「イリスはギャオスとよく似た遺伝子配列をしている」とも言われていましたが、あの見た目、そして特性から、イリス=ギャオスの変異体とは正直考えにくいです。
イリスの繁殖能力については謎のままでした。イリスもギャオスみたいに卵を大量に産むのでしょうか?
どっちにしろ、もはやギャオスの存在を凌駕した最強クラスの怪獣です。ギャオスの進化系というべきでしょうか。
但し、イリスはどちからと言うとギャオスよりは、ガメラに近い、またはガメラによく似た性質を持った怪獣でもありました。
イリスも、ガメラと同様に人間と交信する、心を通わせる事で力を増幅する性質を持ち、イリス用の擬似コントローラーである勾玉も出てきました。
現代におけるガメラに取って心通わせる相手は草薙浅黄であり、対するイリスに心通わせるのはガメラの事を憎んでいる少女、比良坂綾奈でした。
しかし、ガメラと違ってイリスは心通わせる人間と融合して、真の完全体になるのが目的だったようです。
綾奈は「この子は仲間をガメラに沢山殺された。自分も家族をガメラによって殺された。だからイリスは自分と同じだ」とイリスに自分をダブらせて可愛がります。
イリスも綾奈に懐いていますが、それはあくまで演技であり、綾奈と融合して1つになるのがイリスの真なる目的でした。
ガメラを憎む者同士が融合して1つになる事で最強最悪の存在になる・・・それが「ガメラ3」の大筋な物語でした。
でも、ガメラによってイリスは倒されて、それも阻止されましたが。
いろいろと振り返ってみると、やはりガメラとギャオス・イリスは対になる存在のようです。
劇中でも「イリスは南方の守護獣である朱雀であり、対する北方の守護獣の玄武はガメラである」と示唆されるシーンもありました。
あのシーンを見てずっと自分が気になっているのは
「ガメラ=玄武、イリス=朱雀として、白虎、青龍に該当する怪獣はどこに!?」
と言う事です。
ガメラとギャオス・イリスが眠っていて蘇ったように、白虎怪獣、青龍怪獣もどこかで眠っている?と考えられる訳です。
「ガメラ2」と「ガメラ3」の空白期間を描く漫画「ガメラ対バルゴン」(著:近藤和久)では「バルゴン」なる怪獣が出てきて、ガメラと戦います。
バルゴンのフォルム的には青龍のようなデザインをしているので、青龍=バルゴンとも見られます。これで玄武、朱雀、青龍は揃いました。
でも、結局、白虎怪獣は謎のまま?どこかで眠っているんでしょうか?
古代人が何故怪獣達を作ったかについては、「文明の発達で起きた遺伝子技術発展の産物による暴走と弊害。ガメラはそれの抑止力である」と劇中では言われていましたが、では、そのガメラがもし、暴走してしまった時はどうでしょうか?
実際に「ガメラ3」のガメラは暴走状態に限りなく近い状態でした。
一応、「ギャオスを倒す」という意志は持っていましたが。
その暴走するガメラを倒すのは誰か?正直、人間には出来ないと思います。
ガメラを倒す事出来るのは恐らく怪獣。目には目を。毒には毒を。怪獣には怪獣を。
ガメラと互角に戦える怪獣とは・・・対になる存在の怪獣「イリス」!?
劇中ではギャオスの発展系、進化系であるイリスを何故古代人が作ったか明確に語られていませんでした。
「ギャオスもイリスも人類の数、文明の発展を制御する存在」であるとか、あくまで推測的な話はありましたが。
実はイリスの真の目的とは、暴走するガメラを止めるストッパーだったのではないでしょうか?
ガメラがギャオスのストッパーだったのに対し、イリスも同様にガメラのストッパーだった?
ガメラは災いの源であるギャオスを倒す為に作られましたが、そのギャオスさえも倒すガメラの姿を見て恐らく古代人もその姿に恐怖したはず。
「自分達はとんでもない物を作ってしまった・・・・」
渋谷のガメラ対ギャオスの戦闘はその時の再現だったのかもしれません。ガメラがギャオス倒すあの様は正直怖いと思います。
現代でもガメラは「正義の味方」であると証言する者もいれば、「いやガメラは人類の脅威である」と言う者もいました。
古代人達は守護獣であるはずのガメラも、何れかは暴走して、自分達の脅威になる可能性があると判断して、ガメラ同様のシステムを組み込んだ怪獣を作ったのではないでしょうか?
まぁそのイリスも結局倒されてしまいましたけど。
「ガメラとイリスは対なる存在でもあるが、お互いのストッパーである」有り得そうな説ではないでしょうか?




