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第16回「ゴジラは何故強いのか?」~お題「ゴジラ」~

~お題「ゴジラ」~

 1954年に東京を襲撃した初代ゴジラは東京湾において、化学者の芹沢博士が開発し最強兵器、水中酸素破壊剤「オキシジェンデストロイヤー」によって倒されました。


 そして、山根博士による「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかに現れてくるかもしれない」というセリフで映画は終わりました。


「ゴジラは死んだ・・・いや、殺された。」

 ゴジラは人間が生み出した水爆によって目覚め、その影響で誕生した怪獣です。

 つまりゴジラは「人間が生んで、その人間に殺された」訳です。


 怪獣映画では怪獣の正体とか、怪獣の誕生の原因の背後には、人間達の身勝手なエゴが見え隠れしている場合がほとんどです。


 その方が、話を作りやすいというのもあるかもしれません。

 昔話でも「悪い人間には何か天罰が下る」というパターンが多い訳です。

 人間は「因果応報」な物語を好き好む傾向があります。

 怪獣映画でも「文明の発達のせいで悪さをしている人間達に怪獣達が怒って天罰を下す」というのをやっているのです。


 文明の発達というのは何も良い事ばかりではなかったはずです。

 文明の発達で多くの人間の命が救われた事もあれば、それとは逆に多くの人間の命を奪った事もあるわけです。

 水爆、核兵器も文明の発達によって誕生してしまった悪魔です。

 それにより誕生したゴジラや他の怪獣達もある意味、悪魔の申し子達です。


 そんな人間のせいで誕生したゴジラを1954年公開のシリーズ第1作では完全に殺してしまいました。

 それを映画館で見たお客さん、または出演者からは「これではゴジラが可哀相ではなないか!」との声が挙がりました


 ゴジラというのは人間がやった水爆実験がなければ、本来は海で大人しく過ごしていた生き物だった訳です。

 水爆実験のせいでゴジラは凶暴な怪獣へと変化しました。

 ゴジラの東京襲撃はある意味ゴジラなりの人間達への警告活動や報復活動でした。

 その警告や報復に耳も貸してやらず、人間達はゴジラを殺したのです。

 ゴジラは加害者であり、被害者でした。

 だから「ゴジラが可哀相」と言われるようになったのです。


 そんな声を受けた事もあってか「ゴジラ殺し」はある種のタブーになりました。


 翌年公開の続編「ゴジラの逆襲」では前作で死んだゴジラとは別の個体の新しいゴジラ(2代目)が出てきます。

 その2代目ゴジラは大阪に上陸して怪獣アンギラスと激闘を繰り広げた後、北海の冷たい凍りの中に閉じ込められて封印されます。


 2代目はあくまで凍り付けされただけであり、死んではいません。

 前作の設定上、芹沢博士が死んでしまって最強兵器「オキシジェンデストロイヤー」が作れないからというのも理由としてはありました。

 ですから、2代目ゴジラはあくまで封印されているだけです。そして、ゴジラは長い眠りに付きます。

 そして、氷の中で眠っていたゴジラは1962年公開の「キングコング対ゴジラ」で復活します。


 それ以降のゴジラは暴れるだけ暴れて海に帰るとか、他の怪獣と一緒に海に落ちるとか、そういうパターンが多く、死ぬことはありませんでした。


 死ぬシーンが滅多に描かれる事がないおかげで「ゴジラは死ぬことはない不死身の最強の生物」という印象が強くなりました。

 ですが、「ゴジラは死ぬことはない」と言い切るのは語弊があるかもしれません。

 「ゴジラが死ぬシーン」がある映画も確かにあります。


 1996年公開の「ゴジラVSデストロイア」は平成ゴジラVSシリーズ完結作です。

 キャッチコピーはズバリ「ゴジラ、死す!」と銘を打って制作されました。

 ファンの間では「今度こそあのゴジラが死ぬ」と話題騒然になりました。

 確かに劇中でゴジラの体内の核融合炉が異常を起こして最終的にメルトダウンを起こして死にますが、そのゴジラの撒き散らした放射能を、ゴジラの同族であるゴジラジュニアが吸収します。

 そしてジュニアが新たなるゴジラになって映画は終わりました。


 「ゴジラVSデストロイア」のラストは「ゴジラは死ぬが、完全に死ぬことはない!」とも見られる終わり方でした。

 親ゴジラの命を(義理の)息子のジュニアが受け継ぐという形だったからです。


 『シリーズ完結編で「ゴジラ、死す!」というからにはゴジラを殺す必要があるが、何らかの形で復活できるようにしておく。後々シリーズが再開できるように』という取り決めの元、制作された映画なので、あの「新しいゴジラ誕生」ENDになった訳です。


 また2001年公開の「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」に登場する白目ゴジラは、歴代ゴジラの中でも凶暴かつ残忍なゴジラでした。

その白目ゴジラは、太平洋戦争で死んでいった者達の怨念を吸収した化物であるという独自な設定がされました。

 「恐竜が放射能を浴びただけではあんな凶暴かつ強力な怪獣にならない。そうなってしまった原因は死者の怨念をゴジラが吸収しているからである」というオカルト風味な設定です。

 この白目ゴジラは最終的に日本を守る護国聖獣、バラゴン(婆羅護吽)、モスラ(最珠羅)、キングギドラ(魏怒羅)と戦闘後、防衛軍の潜水艇を体内に飲み込みます。

 そして、潜水艇から体内を破壊され肉体が崩壊し、死にました・・・・・いや、死んだはずでした。

 実はこの映画は、死んだはずの白目ゴジラの心臓だけが海底で不気味に鼓動を打つシーンで終わりを迎えます。


 白目ゴジラは怨念を吸収したオカルト怪獣でもあります。

 またゴジラは再生力がとても強い生き物です。

 そういう観点からして、もしかしたら、あの心臓からだけでも再生可能とも考えられます。


 劇中で白目ゴジラが現れたのは、前回のゴジラ襲撃から約50年が経過した時代でした。

 もしかして、また50年の年月をかけて怨念等を吸収してゴジラの肉体が再生する?とも見られるラストでした。


 つまり今の所、ゴジラが完全に死んだのは1954年の第1作のみです。

 ゴジラが「怪獣王」とか呼ばれるのは、ただ単に強いだけではなく、やはりそう簡単に死なない最強の怪獣だからというのが1番理由なのでしょう。


 そう考えると、1998年のニューヨークに出たゴジラによく似た巨大イグアナは戦闘機の攻撃で簡単に死ぬので、やっぱり、ゴジラではないと思われます。残念ながら・・・・


 そして、第1作公開から62年後の今年、庵野秀明総監督が作った「シン・ゴジラ」が公開されます。

 果たして、庵野監督はゴジラをどうするのか?ラストでゴジラはどうなるか?

考えられるオチをいくつか予想しました。


①メルトダウンエンドまたは核爆発END?

3.11東北震災以降この「メルトダウン」という単語も世間では浸透しました。

メルトダウンとは簡単にいうと「融解現象」との事。つまり熱さで溶ける。

ゴジラは歩く核兵器です。メルトダウンを起こす可能性は充分考えられます。

実際に96年公開の「VSデストロイア」ではそういう展開もやりました。

でも今回は放射能を吸収してくれるジュニアがいません。

メルトダウン起こさなくても核爆発起こす可能性も充分あります。


➁ゴジラ暴れっぱなしエンド

東京でゴジラが暴れ続けているシーンで映画が終わりを迎える。

1999年公開の「ゴジラ2000 ミレニアム」はそんな感じの終わり方でした。

ただこれやると「また投げっぱなしENDか!?」と怒る輩もいそうです。


③好き放題、ゴジラが暴れて満足して海に帰るエンド

東京で暴れるだけ暴れて満足してゴジラが海へ帰る。

何故か歴代シリーズのゴジラは「最後は海へ帰る」というシーンが多いです。

対戦相手の怪獣倒したら、満足して帰るという終わり方のパターンも何回かありました。

今回は対戦相手の怪獣はいないみたいですが、東京火の海にして満足して帰るというのも有り得そうです。今回もそれをやるのでしょうか?


④超兵器によって倒される。

対ゴジラ兵器はこれまで何度か出てきました。

今回もゴジラを倒す為に作られた超兵器が出てくる?

メーサー兵器、スーパーXシリーズ、メカゴジラ、モゲラ、機龍、などなど。


ただ、今回の「シン・ゴジラ」は限りなく現実世界に近い世界観の話との事。

現実世界の自衛隊とほぼ同レベルの戦闘力を有した部隊がゴジラと戦うようです。

つまり平成ガメラシリーズのような「現実世界に怪獣が出現した場合の対怪獣シュミレーション映画になる」と見られています。

となると、超兵器は今回出てこない?

庵野監督世代なら間違いなく「轟天号」とか、そこら辺を出したいと思いそうですが・・・・。


 または芹沢博士のように唐突にゴジラを殺せるレベルの兵器・装置を開発できる化学者が出てくる可能性も無きにしも非ず・・・・とも考えられます。


 「ゴジラ」シリーズによくある話の流れだと、ゴジラ殺す為に核ミサイルぶつける展開もよくやります。

 1984年「ゴジラ」とか、2014年公開のギャレス・エドワーズ監督による「GODZILLA ゴジラ」も「ゴジラに核兵器をぶつける」とかいう作戦を立てるシーンがありました。

 ゴジラの餌は放射能なので、核ミサイル攻撃は正直、ゴジラに餌やっているだけの無駄な労力になります。


 恐らく「シン・ゴジラ」の劇中でも「ゴジラに核ミサイルをぶつけろ!」とかいうシーンが出てくるはず。多分、ゴジラは核ミサイル程度では倒せないという結果になると思われますが。


 今回の「シン・ゴジラ」では少し驚いた設定もありました。

 自分が驚いたのは「シン・ゴジラ」では、1954年のオリジンである最初の「ゴジラ」も今回は無かった事にされている件です。

 1954年「ゴジラ」の存在を抹消した「ゴジラ」映画は今回は初だと思われます。

 今までは、1954年「ゴジラ」があって今の「ゴジラ」があるという設定でした。

 今回の「シン・ゴジラ」のそういう設定はある意味、新しい試みだと自分は思います。

 但し、大戸島の「呉爾羅」伝説は今回も出てくるようで、そこも楽しみにしています。


 「シン・ゴジラ」は日本製では12年ぶりのゴジラ映画です。多くのゴジラファンが注目しています。

 果たして、庵野監督はゴジラを殺すのか?「ゴジラを殺してはならない」というタブーを破るのか?ゴジラ生かすのか?(活かすのか?)という話にもなっていきます。

 「シン・ゴジラ」でゴジラシリーズは完全復活するのか。

 またはこれ1回限りの復活で、再び深い眠りに付くのか?

 今月末公開の「シン・ゴジラ」に自分は凄く期待しております。


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