歯車の損傷と対策~まとめ~
「じゃあ最後にまとめだ。まずは損傷は基本的な原因で言うと5つに分けられる。歯車の歯面仕上げ程度、潤滑油中の異物、機械的な損傷、金属材料的な損傷、潤滑上の損傷だ。ざっくり説明するぞ」
歯車の歯面仕上げ程度。
歯面は精度よく仕上げられていても凹凸がある。この歯面の凹凸が歯面接触による繰り返し応力の為に時間の経過と共に疲労し、亀裂を生じて小さな孔を残して剥離していく。
潤滑油中の異物。
油中に剥離した金属片、錆、砂などのように大粒で硬い異物が混入していると、歯面に圧痕、かききず、摩耗が発生する。
機械的な損傷。
熱処理不良などに起因する歯の欠損片、脱落したナットなどが噛み合い面に入ることによって歯の曲げ変形、折損、大きなかききずが発生する。
金属材料的な損傷。
破面荷重に対して歯の材質の弾性限度が小さい時、ピニオンの歯の表面硬度が低いときなど使用材料に起因する損傷。
潤滑上の損傷。
歯面にかかる荷重が、使用する潤滑剤に必要な油膜強度よりも大きい場合や潤滑供給量が不足した場合など、潤滑剤がその性能を十分に発揮できていないときに発生する損傷。
とのことだ。
確かにさっき習った損傷は大体このどれかに当てはまる気がする。
「あとは代表的な損傷をポイントと一緒に覚えておく事」
「はい!」
ピッチング。
歯車が繰り返し荷重を受けることによる疲れにより損傷する。
塑性流れ。
過大荷重および潤滑不良などによる歯面の変形。
スポーリング。
材料、熱処理不良などによる大きな剥離。
スコーリング。
歯面間の油膜破断による微小焼き付き。
噛み込み傷。
歯面の間に硬い異物を噛み込んで起こる。
異常摩耗。
潤滑不良、異物などによる激しい摩耗。
これが代表的な損傷とポイント!
すくなくともこれだけでもすぐに覚えないと!
「よし、それじゃあ今日の勉強はここまでにして、昼飯にすっか」
「はい!」




