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歯車の損傷と対策~表面疲労~


「次は表面疲労で、これは3つ紹介していくぞ。まずは初期ピッチング。非進行性ピッチングとも言うぞ。これは歯車の表面に孔を生じる現象が運転開始後まもなく発生するもので、歯面がなじむにつれてその進行が停止する場合をいい、小さいピットが歯のかみあいの下の歯元側に多数発生する」

「下の部分だけばーっと出てますね」

「そこが次のやつと見分けるポイントにもなるな。で、ここから歯面や歯の内部の浅い部分で繰り返し荷重による応力が材料の疲れ限度を超えた時、微細な亀裂が発生して剥離する」

「ふむふむ」

「対策は歯面の歯当たり修正と潤滑油の粘度を上げて歯面をなじませることだ」


 初期ピッチングは運転後すぐに歯面が馴染めば進行が止まる。歯の噛み合いの下、歯元側に小さい孔が複数現れる。

 対策は歯当たり修正と潤滑油の粘度を上げる。


「次が破壊性ピッチングだ。これは進行性ピッチングとも呼ぶぞ。歯車の使用と共にピッチングの発生面積が広がりを示し、孔の大きさも大きくなってくる状態の損傷をいう。噛み合いピッチ線の下の歯元側歯全体に発生するが、歯末側まで広がることもあるぞ」

「ピッチングまみれって感じで怖いですねこれ」

「もう限界ですって感じだからな。実際原因は歯面の疲れ破壊、つまり荷重に耐えられなくなった状態ってわけだ」

「ひえ」


 限界まで酷使される歯車達。

 こんなに頑張ってるのに世知辛いね……。


「その局部的な集中応力が発生する具体的な要因としては、荷重に対する歯車の精度、組み立て精度、歯車の材質、潤滑条件に不具合がある、なんかだな。だから対策は高粘度の潤滑油を使用する、歯当たりの改善を行う、表面層の硬化を行う、荷重の低減を図る、歯車の強度を向上して更新する、だ」

「負荷を下げるか強度を上げるか、って感じですね」

「その通りだ。損傷の名前とセットでただ丸暗記するだけじゃなく、この原因に対してはこうする、って感じで一括りにしておくと実際の保全活動で役に立つ知識になるからな」

「はい!」


 破壊性ピッチングの原因は歯面の疲れ破壊。

 局部的な集中応力が発生する原因は荷重に対する歯車の精度、組み立て精度、歯車の材質、潤滑条件に不具合がある、等。

 対策は後年度の潤滑油を使用する、歯当たりの改善、表面層の硬化、荷重の低減を図る、歯車の強度を向上して更新する。


「表面疲労の最後がスポーリングだ。これは表面硬化した歯車に多く発生する損傷で、高い荷重の為に歯の内部に材料の疲れが出て、歯面からかなり大きな金属片が剥離、脱落する損傷だ」

「わー、ほんとに派手に剥がれ落ちちゃってる感じですね」

「そうだろう? 他の原因として、表面硬化層が適性に得られていなかったり、歯面または歯の内部のきずや材質欠陥、あるいは熱処理による過大な残留応力が原因となることもある」

「なるほど」

「対策は、歯面層の硬化熱処理を材質切欠きができないように実施することだ。ようはムラのないように歯元まで均一に熱処理を行うことだな」


 スポーリングは歯面からかなり大きな金属片が剥離・脱落する損傷。表面硬化した歯車に多く発生する。

 原因は高い荷重のために内部の材料の疲れが出る事。他に表面硬化層が適正に得られていなかったり、歯面または歯の内部の傷や材質欠陥、あるいは熱処理による過大な残留応力。

 対策は歯面層の硬化熱処理を材質切欠きが出来ないように実施すること。

 歯元まで硬化していなかったり、層の厚みが違うとダメみたい。


「さてさて、お次は熱的影響だな」

「はい!」



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