ビジネスの伝え方をなろうに応用してみましょう

　ビジネスにおいて、伝え方というのは重要なものです。仕事というものは一人でするには限界があります。なので大きな仕事をするときはチームを作って実施する場合があります。人には得意不得意があるため役割を決めて物事を実施します。そのため基本的にはコミュニケーションを実施して、目標に対して向かっていくという事をします。

　ビジネスには「ホウレンソウ」という言葉があります。もちろん食べ物の「ほうれん草」の事ではありません。報連相と書き、「報告」「連絡」「相談」となります。

・報告とは、通常の担当業務や指示された業務などについて、その経過や結果を部下から上司へ知らせること

・連絡とは、事実や決定事項などを、関係者に周知すること（自分の意見や憶測は不要です）

・相談とは、判断に迷ったり自分の考えを聞いてもらいたい時などに、上司や先輩に判断を仰いだりアドバイスをもらうこと

　さらにビジネスには教育というものがあります。ビジネスにおける教育は業務の仕方を上司から部下に伝える事になります。もちろんチームを組んでいるので「依頼」も多くあります。報連相、依頼、教育において「伝え方」が上手だととビジネスのやり手と呼ばれます。

　まず「報連相」からいきましょう。報連相は簡潔に「結果」から伝えるのが基本です。よくあるのですが、特に悪い結果の時ですが、自分は頑張ったんだと言う事をするために、ダラダラと話す場合があります。これは辞めたほうがいいです。まず、私の場合は基本的に報連相をすることを一言いい、整理してメールし、その後に対面コミュニケーションを実施します。

　面倒な事をするなと思いますが、これには狙いがあります。人間というのは第一印象において先入観を持つというケースが大いにあります。つまり、先入観を持たれてしまう事で自分が伝えたい意図が伝わらなくなることが多いのです。なので最初に一言入れる事で先入観に対する冷却期間を設けます。次に文字で事実情報を送る事で相手に情報を冷静にインプットさせます。最後にコミュニケーションをして憶測をいれる（正確には提案をいれる）と上手くいく事が多いのです。

　ここでの重要な点は最初の受け止め方という事が今後を左右するという事です。なろうの話になるのですが、短編で1万文字を書かれている方がいらっしゃいます。気持ちはわかるのですが、1万文字であれば数話に分けて欲しいです。ただ、私も短編で6000文字書いているものもありますので、人のことは言えませんが、ライトノベルは気軽に読めるということが重要なのでターゲットはスマホで読むことを考えると3000字ぐらいの入りが良いです。

　最初の受け止め方なので、人それぞれですが私は詩のような特殊なものは除いて、1000文字以下の作品は殆ど読みません。理由は落ちまでしっかりと読みたいからです。1000文字以内で上手く表現できている作品は殆ど見たことがないので最初から対象から外します。私のような人ばかりではありませんが、それだけ最初の入りというのは重要という事であることを理解してもらいたいです。

　私の周りでの活動報告コミュニケーションでは、「書き出し祭り」というものもあります。これは小説の序盤を書く事で誰が書いているかなどをみるイベントなのですが、この最初の入りというのが重要であることを示している例だと思っています。よくあるのは、10万字の長編でも最初の入りは1500字ぐらいにする書き手様もいらっしゃるぐらいです。このような工夫などをするのも良いかもしれません。

　次に「依頼」です。これに関しては有名なベストセラーがあります。

　伝え方が９割 佐々木 圭一著 ダイヤモンド社

　入社当時ダメダメ社員だった著者が、なぜヒット連発のコピーライターになれたのかという自身の経験を元に、心を揺さぶる「伝え方の技術」が書かれてある。 膨大な量の名作のコトバを研究し、「共通のルールがある」「感動的な言葉は作ることができる」という内容です。

　人間は一日何回もお願いをするけど、それを直接言っても誰も納得しないという話などかなり興味深いです。なろうに当て嵌めると読み手様の心理状況を操作する必要があるわけですから、この伝え方の技法を使えば、自分が書きたかった事を相手に伝える事ができるのではないでしょうか？

　この本で面白いと私が思ったのは、人を誘導するのにメリットを示したり、デメリットを示すことで人の納得を引き出すという考え方となります。例えば続きを読みたいと思わせる場合に、こういう展開になっていくから面白いんだよというニュアンスを文章中に含めたり、物語の展開としてデメリット方向にもっていってはいけないのに主人公が向かってしまうというような展開だったら引き込まれるのではないかと感じます。

　最後は「教育」です。私は自己啓発本をよく読みますが、最近の傾向として物語を踏まえた自己啓発本が多くなっています。物語風味にする事は記憶のメカニズムに準じているのだと思います。単純に物事を覚えるというのは凄く難しいと言われています。そのためストーリを一緒に覚えるという手法が良く使われます。ビジネスではよく似たシーンがあるので、エピソード記憶と絡める事で物事が覚えやすくなります。

　実はこの物語に繋げるという手法はマーケティングの世界でも使われており、「ストーリー・テリング」と言われています。「ストーリー・テリング」は聞き手に伝えたいことを物語で印象付ける手法で、いわゆる「あるある」と思わせる事によって頭の中に入りやすくするものです。

　先ほど話をしたように、物事のとっかかりは「入り」が重要になってきますから、「なろう」におきかえるのであれば、書き出しをしっかり行い、そのストーリーがイメージしやすいようにしてあげるという事が重要であるという結論になると思います。その時に現在にあるものを例えるような表現などを使って印象を上手くつければ読み手に訴える事ができるという形になるかと思います。

　いかがでしたでしょうか？　「なろう」の世界をビジネスとして捉え、「まだまだやれることがある！」と思われた方がいらっしゃれば、書いた甲斐があったかなぁと感じております。