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クライマックスなう!~彼女の秘密とおれのうそ~  作者: このはな
3.彼女のひみつとおれのうそ
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「みなさーん! 今日はパンダのパン太郎くんが遊びに来てくれましたよー。はい、拍手ー」

 元気でハツラツとしたお姉さんに紹介されながら、おれはステージに立った。パチパチという拍手のなか迎えられる。

 ふうー、緊張するなあ。

「よっこいしょ」と足の向きを変え、ステージの正面を向いたところまではよかったけれど。


 はううっ!


 想像以上にお客さんが集まっていたので、おれはびびってしまった。思わずたじろぎ、じりじりとステージの後方に後ずさりする。院内学級の部屋を借りて作られた狭いステージだったから、すぐ後ろの壁にぶつかってしまった。

 ど、どうしたらいいんだろうか。司会のお姉さんに任せて、ただ立っていればいいと、桃ちゃんには言われたが。どうにもこうにも、プ、プレッシャーが……。

 松葉杖をついたり車いすに座ったりしている小さな子供たちが、嬉しそうな顔で、おれの一挙手一投足を食い入るように見つめているのだ。沙幕の向こう側に広がる光景を思うと、心臓がばくばくする。

 ピンチヒッターだからといって、子供たちの期待を外すわけにはいかないよなあ。はやくウケることをしないと……。

 迷っている暇はない。

 えーい、ままよっ!

 思いきって手をあげてみる。


「パンダさーん」

「パンちゃーん」

 もみじのように小さな手が、いっせいに振り返されて。


 あっ……。


 嬉しいのと同時に胸が熱くなってしまった。



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