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クライマックスなう!~彼女の秘密とおれのうそ~  作者: このはな
3.彼女のひみつとおれのうそ
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 桃ちゃんから出された宿題とは、次のとおりのものだった。

『普通の男子高校生+(プラス)パンダ傘=(イコール) その答えは?』


 なんのことなのか、さっぱりわからなかった。いや、その答えは紛れもなく、おれ自身だ。でも、それでは簡単すぎるしな。……うーむ。

 桃ちゃんのことだから、仕事から余りにもかけ離れた問題ではないだろう。

 そう考えたおれは、ヒントをつかむため、この数日ネットで検索したり、片っ端からビジネス本を読んだりした。その努力の甲斐があり、母ちゃんのおかげでもって答えを知ることができた。

 ようし、待ってろよ。桃ちゃん!

 次の日、おれは宿題の回答を持って意気揚々とバイト先へ向かった。


 ああ、それなのに。


「佐古くん、準備はできた?」

 桃ちゃんのくぐもった声が聞こえてくる。

「あ、はい。だいじょうぶです」

 と返事をかえしたものの、厚い障壁により、おれは外界と隔たれている状態であった。声が届いたか心配になる。しかし、そんな心配など無用であった。

「だめじゃない、佐古くん。しゃべったりなんかして。今の君は人間じゃないのよ!」

 桃ちゃんに叱られてしまったからだ。

 なんだ、返事をしたらダメだったのか。訊かれたから答えただけなのに。それならそうと、最初からはっきり言ってくれよっ。

 仕方がないので、わかったの返事のかわりに、手で大きな丸をつくって合図をする。

「そうそう、その調子。今のを忘れないでがんばって。段差には気をつけてよ」

 おれは、おそるおそる足を一歩踏みだした。



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