第20話 襲来!ギガントアーク ゴウザンバー最後の日!?
【ザンバーバリスタ】
ブラストザンバー用の大弓。
理論上のブラストザンバーの最大火力を担当する武装であるメイン武装。アーロの魔導力を限界まで振り絞ったうえで破壊力だけに特化させる必要がある。
「ふむ、ゴウザンバーはいないか……知らない機体があるようだが」
漆黒の巨人ギガントアークが目の前にいる二機を睨みつけている。
「あらっ、偽りの正義などと言って来るだなんて」
その姿に対してザンバーバリスタを構え突き付けるブラストザンバー、ギガントアークを貫かんとすでに限界まで引き絞り確実に仕留めてやると気迫が感じられる。
「では貴方方のどこに正義があるのです! 正当な理由なく力なき民にすらその力を振るう皇国のやり方のどこに正義があるといえるのですか!」
その言葉とともにアーロは矢を解き放つ、限界まで魔導力を注ぎ込み、限界まで破壊力だけに特化したそれは確かにギガントアークに命中した。
「決まっている、俺こそが正義だ」
そしてその攻撃を受けてなお、傷一つない姿をギガントアークは見せつけていた。
「ふむ、F.D.Fの性能は確かのようだな」
その防御性能の証とばかりに謎の光がギガントアークの前面に展開されているのが見えた。何らかの力場によってザンバーバリスタの一撃が防がれた。そう推測するだけの要因がそこにはあり、それが真実であるはずだという確信がそこにはあった。
「っ、これでアレは関係ないただの演出、とかだったら笑えないわよ」
なんて苦笑いを浮かべながらも、諦めてはならないと無理矢理にでも覚悟を決める。
「困りましたわね、こちらができる最大火力の一撃のザンバーバリスタでノーダメージ、となりますと……私では攻撃は通りませんわ」
ひょうひょうとした声色でそれを告げるモノの、明らかにこの状態がまずいことだとそう断言するようにその顔色は青ざめたもの。声色だけでもごまかしていないと、自分では絶対に勝てないという現実に押しつぶされてしまうことを自覚していた。
「ザンバーバリスタの破壊力、他のザンバーと比べてどうって言われてた?」
「理論上の最大火力でゴウザンバーのザンバーバスターよりは威力が劣ると、とはいえ本来の想定であればそれだけの火力は不要だったのですが」
「必要になったという現実があるわけね」
ここでブレイドザンバーが評価として出てこなかった段階でエストは理解していた。もともとブレイドザンバーに求められたのは機動力と正確な動きができること。パワーははっきりと言って二の次だったことをエストは思い返し、その判断をしたことに後悔をしていた。
「さて、今のが攻撃だったというのなら笑わせてくれる、本当の攻撃という奴を教えてやろう!」
その言葉とともにギガントアークの上空に暗雲が発生する。そこから何ということか、ギガントアークの頭部にある角に何度も何度も雷が落ちて行くではないか。
「何が攻撃……ですのっ!?」
その間もギガントアークの右腕が持ち上がり、ブラストザンバーに向けてただ指を向ける。その次の瞬間であった。
「ライトニングクラァァァッシュ!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」
その指から高出力の雷光が解き放たれブラストザンバーに直撃する。その一撃は装甲はおろか内部メカ、それどころか搭乗者であるアーロすらも貫いて行く。
「ほう、かのクレアーツィが作っただけのことはある、ライトニングクラッシュを受けてなお立っていられるとはな」
その放出が終わってもなお、地に膝をつくことなくブラストザンバーは睨みつける。しかしながら表面装甲は黒く焼かれ、立っているのがやっとという様子がありありと見えていた。
「勝ったなんて思わない事ねっ!」
余裕を持っているといった様子で指を向けたポーズのままと待っているギガントアーク目掛け、超スピードでブレイドザンバーが飛びかかる。その手にあるのは当然ザンバーソード。それも最大まで巨大化させた破壊力にたけた状態だ。
「ふっ、手加減してやっても勝負にすらなっていないという現実を見ろっ!!」
その行動すらわかっていたとばかりに首を動かすギガントアーク、そしてそのまま左腕を上げていく。 その次の瞬間であった。
「覇道剣!」
何もない空間から剣が生じ、それを軽く振るうことでブレイドザンバーが弾き飛ばされたのだ。
「まさかこれって!?」
「一般的に流通していない創造を司る魔導石、むろんこれに対する適正を持つものなどこの大陸でも俺を除いても一人いればいいほどのじゃじゃ馬だがな」
創造を司る魔導石、適性を持っている者が存在せず一般的に流通することのない魔導石。しかしそれを扱える存在という者がここにいる故にその性能が発揮される。
無から有を発生させる伝説となる力が振るわれている。その事実がエストの足をすくませた。
「さて、命乞いをするなら助けてやらんでもない」
「するかバカっ!」
それでもなお、気丈に振る舞うエストの返答を受け、ギガントアークの左腕が変化する。創造の力により確かに可能となった異常なる力。それによりその腕は巨大なドリルへと変化した。
「メガスパイラルブレイカァァァァ!!」
そのドリルがブレイドザンバーに突き刺さらんとするその瞬間、天空からが純粋なる破壊のエネルギーが降り注いでいく。
「ザンバァァァ! フルバスタァァァ!!」
その声に反応してギガントアークは天を仰ぐ。そして即座に守護領域であるF.D.Fを展開していく。
「ふむ、それが最大の一撃か……もう少し威力があれば貫けたかもな」
その破壊エネルギーすらも防ぎ切ったギガントアークの視線の先。照射した存在、ゴウザンバーが舞い降りていた。
「はははっ、ゴウザンバーに限れば確かにその通りだな最大の一撃だ……エスト、アーロ……死んでないな」
「死んでないっ、ていうか遅いわよクレアーツィ」
「ふー、なんとか生きてますわ……とはいえ、打つ手なしですわよね?」
クレアーツィの問いかけに対して返答をするエストとアーロ。ゴウザンバー最大の一撃すら通用しないギガントアークの防御能力。さらには理不尽なまでの攻撃能力がそこに在るのだからこその絶対的絶望。
「ま、一つだけ残ってはいるんだが……相手がさせてくれるかねぇ」
「ほう、ここから逆転の手段があると? はははは冗談はよせ……と言いたいが言ってみろ」
「おやおや、皇国の最強兵器の搭乗者は気になったのかな?」
「気にならないはずがないだろう? 大陸一の機械技師の秘策とは」
「成功確率ほぼゼロの行動さ」
「はははははははっ! そんな神にすらすがれない何かに賭けるしかないと……やれよ、待ってやるからさぁ!」
げらげらと品のない笑いをしながら、その秘策とやらをやれと迫る庄司の声が戦場に木霊する。不可能なことをしなければ勝てないのだと認めた。それが彼を優越感に浸らせそう行動させたのだ。
「ふっ、それはそれはありがたい……という訳だ、エスト、アーロ……ちょっとそっちのコントロールももらうぞっ!」
「はっ!?」
「なんですとっ!?」
その言葉とともにブレイド、ブラスト両ザンバーのコントロールがゴウザンバーのほうに移っていく。そしてその次の瞬間であった。
「合体するんだよぉっ!」
その言葉とともに、三機のザンバーが変形を始める。ブレイドザンバーが両足に、ブラストザンバーが両腕へと変化していく。
「我合なるザンバー、今こそ三身合神!」
そのままその叫びと共にゴウザンバーへと両腕両足が結合していく。今三機のザンバーが一つへと変わろうとしていた。
「ぶっつけ本番で成功するとはなぁ……」
「何感慨深げに言ってるのよ!?」
「こんなの聞いてませんわよ!?」
「おいおい、ゴウザンバーは合なるザンバーだとずっと名前にも書いてあるじゃないか」
エストとアーロの問いかけに対しても大したことはないとばかりにへらへらと笑いながら返答するクレアーツィ。
「ふふっ、合体、合体と来たか! 限りなく不可能なそれを成功させた豪運だけは褒めてやるぞゴウザンバー!」
そしてその光景を見ては笑いを堪えきれないままに口にする庄司。
「ゴウザンバー? 違うぞギガントアーク」
そしてその問いに対して間違っていると断言するクレアーツィ。
「これこそは三位一体、三つの心を一つとする新たなるザンバー! ゴウザンバートリニティだ!!」
【創造を司る魔導石】
それ自体は珍しいモノではないものの使える人間があまりにもいないせいで一般的に流通しない魔導石。
この魔導石のみの特性として、無から有を生み出すという凄まじい力を発揮することができる。
しかしながら適性を持っている存在が誕生することは稀で、数千年に一人の逸材とされている。
黒沢庄司はその適性を持っているため、彼の搭乗機であるギガントアークに搭載された。実はギガントアークには武装と言えるものは存在しておらず、攻撃のすべてはこの魔導石と庄司の運用によってその場で構築されている。




