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14話:炎との戦い

※タイトル変更致しました!

 またぼちぼち投稿していきます。



「貫穿、砕氷槍!!」


 鋭い氷の槍を創り出し、クロアは向かって来るフレイムウォリアー達に投げつける。すると氷の槍は宙で爆散し、周囲に氷の棘をまき散らした。フレイムウォリアー達はその棘で串刺しになり、炎の身体を凍らされて叫び声を上げる。


「ゴァアアアアアアアア!!」


 だがそれでもフレイムウォリアー達の群れは怯まず、残りが襲い掛かって来る。それをクロアは見て今度は鋏を地面に突き刺し、魔力を一点に集中させた。


「そりゃ!」


 一瞬でその場に巨大な氷の壁が出来上がり、フレイムウォリアー達はその壁に激突する。そこへすかさずクロアは鋏を鳴らして更に魔力を込め、氷の壁を地面に倒す。


「グゴァァァァ!!?」

「よし……っと」


 氷の壁に潰されて動けなくなっているフレイムウォリアーを確認した後、クロアは残りの数を確認する。見れば周囲の岩の上にはたくさんのフレイムウォリアー達が現れており、まだまだかなりの数が控えているようだった。それを見て彼女は思わず頬を引き攣らせ、額から垂れた汗を手で拭った。


「数が多いなぁ……これじゃキリがないよ」


 愚痴を零しながらもクロアは油断せず、飛び掛かって来たフレイムウォリアーの攻撃を避けて囲まれないように距離を取る。その時、彼女の視線の端にアシリギの姿が見えた。


「ちょっとアシリギ、暇なら手伝って!」

「んぁ? ……暇じゃねーよ。今スケッチしてるんだ。スケッチ」


 見ればアシリギは紙を広げてフレイムウォリアーの絵を描いており、戦闘には全く参加する様子がなかった。それを見てクロアは思わず頭を抑えてため息を吐く。


「全く……あいつは……」


 完全に通常運転のアシリギのことは忘れることにし、クロアは目の前の敵に意識を集中させる。すると流石にフレイムウォリアー達もクロアの戦いぶりを見て警戒し始めたのか、すぐに襲い掛かるようなことはせず、距離を取って様子を伺っていた。


(そもそもこの魔物達は何で外に出て来たんだろう? やけに凶暴だし、どこか焦ってるみたい……やっぱりおかしい)


 警戒しているフレイムウォリアー達を見ながらクロアも疑問を抱き、思考する。

 火山が噴火したことと何か関係があるのかは分からないが、何か異常が起きているということは確かだ。きっとこの先のダンジョンの入り口に答えはある。クロアはそう思い、鋏を握り直した。


「グォォォアアアア!!」


 同時にフレイムウォリアー達も雄たけびを上げ、口から火の玉を吐き出す。近距離では分が悪いと考え、遠距離攻撃を選択したのだ。

 飛んでくる無数の火の玉を見てクロアはすぐに魔法を唱え、目の前に氷の壁を出現させる。だが数が多いせいで火の玉は次々と発射され、氷の壁は徐々に溶かされていった。


「くっ……あっつ!」


 大量の炎が氷の壁に激突し、クロア自身にまで熱が伝わって来る。だがここで下手に動けば火の玉で集中砲火されてしまう為、移動する訳にはいかない。クロアは鋏を前に突き出し、更に魔法を詠唱して氷の壁を厚くした。


「だぁ! もう! きっついなぁ……!」

「グルォアアアアアアアアアアアア!!」


 フレイムウォリアー達は好機と見て一気に攻め込む。次々と火の玉を吐き出し、氷の壁を貫こうと攻撃を続ける。このまま押し勝てると思ったのだ。だがクロアは焦ることなく一度目を瞑ると意識を集中させ、身体中の魔力を鋏へと込める。


「甘くみないでよね。これでも私、魔王の孫なんだから」


 一気に魔力を解放すると氷の壁が巨大な鳥へと形を変え、フレイムウォリアーへと襲い掛かる。放っていた火の玉など紙屑のように吹き飛ばし、彼らはあっという間に氷の波に覆われてしまった。


「ゴァアアアアアアアアアアアア!!」


 津波のように押し寄せる大量の氷に成すすべもなく、フレイムウォリアー達の殆どは拘束されてしまう。それを見てクロアは満足げに拳を握り締めた。


「ふぅ……これで終わりかな?」


 流石にあれだけの大技を使ったのだからもう襲って来る魔物も居ないだろう。額から垂れて来た汗を拭いながら彼女は大きく息を吐く。だがその直後、辺りの岩陰から炎が噴き出す。


「……!!」

「グルゥゥァアアアア!!」


 見ればそこから隠れていたフレイムウォリアー達が湧き出て、咆哮を上げながらクロアへと向かって来ていた。

 正面からでは敵わないと判断した彼らは不意打ちを選択したのだ。その魔物達のまさかの攻撃にクロアは反応し切れず、対処が遅れる。


「しまっ……!」


 炎の腕を刃のように鋭くしながら伸ばして来るフレイムウォリアー達。その灼熱の炎に少しでも触られればクロアの肉体は耐えられないだろう。衝撃に備えて彼女は思わず目を瞑る。だがその直後、フレイムウォリアー達に無数の白銀の槍が降り注ぐ。突然の真上からの攻撃にフレイムウォリアー達は串刺しにされ、あっという間にその炎の身体が崩壊してしまった。


「ほら油断するなよ、クロアー。こいつらは意外と頭が回る魔物なんだから」


 見れば先程まで岩の上に座っていたアシリギが立ち上がっており、金の筆を手にしていた。いつの間にか創造魔法で宙に無数の槍を出現させていたようだ。


「くっ……わ、分かってるよ。ちょっと疲れちゃっただけ。ていうか結局倒すなら手伝ってくれても良かったじゃん」

「スケッチが良いところだったんだよ。しょうがないだろー」


 クロアは戦闘に参加してくれなかったことに不満を述べるが、アシリギは気にした様子も見せず手をヒラヒラとさせる。そして金の筆をしまうとさっさと先へと進んでしまった。


「まぁ何にせよこれで先に行ける。さっさと行くぞ」

「あ、待ってってば」


 ずんずん先へと進んで行くアシリギをクロアは慌てて追いかける。こうして二人はフレイムウォリアー達を打ち倒し、火山ダンジョンの入り口へと向かった。



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